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26.聖女と神使の魔力①
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魔法師長に会うために、王宮から少し離れた、魔法師の塔がある。本当は、ジェイドの魔法で早く移動出来るらしい。それでも、倒れてばかりの俺が外を見たくて歩いて移動してもらっている。
いわゆる研究機関でもあり、新しい魔法の開発、魔石採取に魔道具の作成などしているそうだ。
そんな話を教えてもらいつつ、王宮の建物を外から眺められるのは、海外旅行にでも来てる気分だ。ラノベのような世界だから、舞台はヨーロッパに近い異国感だった。
庭園というか、緑も多い。平和そのものに見えるのに。聖女が必要なのだと思うと、やっぱりここから出るには魔法は、不可欠なんだと改めて思う。
全員が魔力や魔法力が高いわけでもないから、補う必要はあるらしい。火属性が得意でも、別のは全く駄目だったりもあるあるの話みたいだ。
魔法師長は、四つのエレメント(火・地・風・水)全てを同じ力量で扱える人らしい。
そう言う意味でも、指導をして貰えるのは……本当に特別みたいだ。
「ね、ジェイドは、どれが得意なの?」
手はまだ繋がれている。
「俺? 一通り出来るはずだけど。雷属性と風属性が、感覚としては得意ですね」
「雷? へぇ。強そう」
「そう言う、琥珀様は……水晶を壊す勢いだった訳だから……最強かも知れない」
人目があるので、様つきで呼ばれるのは仕方がない。それでもかなりラフな話し方が嬉しい。ついつい話しかけてしまう。
「あれは、何故か手が離れなくて。掃除機みたいにぐんぐん吸い取られたんだよ~。自分で放出した訳じゃないから」
「掃除機? なんですそれ? 吸い取られるのも危ないから。そう言うのも、訓練しないと駄目ですね」
「掃除機は、ごみとか埃を吸い取って集めてくれる機械、魔道具みたいなものだよ。魔法の訓練ってさ、運動とか割と得意だからなんとかならないかな? そう言う事ではない?」
「琥珀様の所にも魔道具……みたいな物があるんですね。運動? 体力ありそうに見えない」
「足はかなり、早いよ」
ようやく辿り着いた魔塔は、それっぽい建物だった。
ただ、様子がおかしい。門の前で人だかりが出来ていた。
「──聖女様だ」
「何故ここに? 神殿の方でカークが、見るはずでは……」
ジェイドには、何も知らせが来てなかったって事だ。
「ジェイド様! 私もこちらで一緒に訓練させて下さい」
聖女の後ろに、神官長とカークがいた。カークが申し訳無さそうに頭を軽く下げた。
「魔法師長は、いませんか?」
ジェイドの声掛けに、魔法師長がスッと現れた。
「お待ちしてました。神使様」
「ちょっと待って。私も訓練するって言ってるでしょう?」
割って入って来たのは、聖女だ。練習嫌いで、チート頼みだったのに。やっぱり、俺にジェイドが付いたからかな?
「今まで、やる気が無かったのに……ですか? なら明日、指導します」
「まあまあ、魔法師長……今日は大目に見て上げて下さい。きっと神使様ともお近づきになりたいのですよ」
そう言ったのは、神官長だ。この人も大変だ。
せっかくやる気になったから、なんとかしたいんだな。
「俺、構いませんよ。一緒にやる方が効率が良ければそれで良いです。別の方が指導しやすいって分かったら、別にしましょう。聖女様も初めての訓練ですよね?」
ちょっとだけ、嫌味をつけてやった。
ジェイドが、顔を背け少し笑った。
いわゆる研究機関でもあり、新しい魔法の開発、魔石採取に魔道具の作成などしているそうだ。
そんな話を教えてもらいつつ、王宮の建物を外から眺められるのは、海外旅行にでも来てる気分だ。ラノベのような世界だから、舞台はヨーロッパに近い異国感だった。
庭園というか、緑も多い。平和そのものに見えるのに。聖女が必要なのだと思うと、やっぱりここから出るには魔法は、不可欠なんだと改めて思う。
全員が魔力や魔法力が高いわけでもないから、補う必要はあるらしい。火属性が得意でも、別のは全く駄目だったりもあるあるの話みたいだ。
魔法師長は、四つのエレメント(火・地・風・水)全てを同じ力量で扱える人らしい。
そう言う意味でも、指導をして貰えるのは……本当に特別みたいだ。
「ね、ジェイドは、どれが得意なの?」
手はまだ繋がれている。
「俺? 一通り出来るはずだけど。雷属性と風属性が、感覚としては得意ですね」
「雷? へぇ。強そう」
「そう言う、琥珀様は……水晶を壊す勢いだった訳だから……最強かも知れない」
人目があるので、様つきで呼ばれるのは仕方がない。それでもかなりラフな話し方が嬉しい。ついつい話しかけてしまう。
「あれは、何故か手が離れなくて。掃除機みたいにぐんぐん吸い取られたんだよ~。自分で放出した訳じゃないから」
「掃除機? なんですそれ? 吸い取られるのも危ないから。そう言うのも、訓練しないと駄目ですね」
「掃除機は、ごみとか埃を吸い取って集めてくれる機械、魔道具みたいなものだよ。魔法の訓練ってさ、運動とか割と得意だからなんとかならないかな? そう言う事ではない?」
「琥珀様の所にも魔道具……みたいな物があるんですね。運動? 体力ありそうに見えない」
「足はかなり、早いよ」
ようやく辿り着いた魔塔は、それっぽい建物だった。
ただ、様子がおかしい。門の前で人だかりが出来ていた。
「──聖女様だ」
「何故ここに? 神殿の方でカークが、見るはずでは……」
ジェイドには、何も知らせが来てなかったって事だ。
「ジェイド様! 私もこちらで一緒に訓練させて下さい」
聖女の後ろに、神官長とカークがいた。カークが申し訳無さそうに頭を軽く下げた。
「魔法師長は、いませんか?」
ジェイドの声掛けに、魔法師長がスッと現れた。
「お待ちしてました。神使様」
「ちょっと待って。私も訓練するって言ってるでしょう?」
割って入って来たのは、聖女だ。練習嫌いで、チート頼みだったのに。やっぱり、俺にジェイドが付いたからかな?
「今まで、やる気が無かったのに……ですか? なら明日、指導します」
「まあまあ、魔法師長……今日は大目に見て上げて下さい。きっと神使様ともお近づきになりたいのですよ」
そう言ったのは、神官長だ。この人も大変だ。
せっかくやる気になったから、なんとかしたいんだな。
「俺、構いませんよ。一緒にやる方が効率が良ければそれで良いです。別の方が指導しやすいって分かったら、別にしましょう。聖女様も初めての訓練ですよね?」
ちょっとだけ、嫌味をつけてやった。
ジェイドが、顔を背け少し笑った。
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