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9.ジェイドの帰還後 sideエドワード
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ジェイドがこちらの世界に戻ってきた。見たこともない服装は、聖女の世界の物なのだろうか?
「貴方達は、誰ですか? ここはどこですか? 俺は……」
聖女の手をはらい。拒む姿を見てしまえば、ますます召喚した聖女に対して不信感しか覚えない。ただ彼が不安定なのには、理由が別にもあった。召喚の影響により記憶が欠如している事がわかったのだ。
親友でもあった彼との距離感が掴めず、居心地の悪さに拍車をかける。
「様子はどうだ?」
窓から外を眺めながら、後ろに控えているカークに尋ねた。
「記憶が欠如したままですね」
「一体何があったんだ……」
「最初はご家族も含め、殿下の事も分からなかったようですね。少しづつ思い出しているようですが。向こうの世界で何があったのかは、分かりません」
俺は、カークの方に向きを変えた。窓際からソファの方へと移動する。紅茶を要求してソファにもたれ掛けた後、大きくため息をついた。
「そうか……ジェイドの記憶の事を知っているのは家族以外に我々と神官長、魔法師長、ミカエルと聖女か。と数人いたな。これ以上は広めるな。いや、誓約魔法をかけさせよう。彼の立場が困らないように。侯爵家の嫡男の弱みなっては困るからな。そう言えば、ジェイドは、本を探していると聞いたのだが……?」
カークも、ソファに腰掛けるようにと勧めた。
カークは防音の魔法をかけた。こちらの音のみを漏れないように遮断する。その辺は抜け目がない。
「エドワード殿下……ジェイド様は、記憶の事もあるので、この世界の知識の確認をしているように見えます。本と言うよりも、その先の誰かを探しているような感じもしますね」
あの時の表情が思い出される。誰かに呼ばれるように消えたジェイド。
「なんと言うか、思いつめた感じがしますね」
「体の変化などは無いのか?魔力の質や量……まさか聖女のいた国に行くと魔力が減ってしまうのだろうか?」
「そんな事は、なかったですよ。魔力も十分ありました。魔法の使い方も感覚で覚えているみたいなので、戸惑いつつも割とすんなり使えてます」
それは、不幸中の幸いだと胸を撫で下ろす。
「記憶が戻れば、向こうで何があったのか……思いだすのかも知れないな」
「そうですね。それにしても、聖女様には困ったものです」
カークは先程の俺よりも、大きくため息をついた。珍しいこともあるな。
「どうした?」
「ジェイド様の看病をしたいと、言い張っているのですよ」
「なぜだ?」
心底嫌そうな顔を俺の前だと言うのに、カークは見せた。
「癒しの力を試せるからとか。ジェイド様が不安でしょうから聖女の私がそばにいてあげたいのですとか……まぁ、下心丸見えなので」
なるほどと苦笑いになってしまう。
「ジェイドに気に入って貰いたいわけだ。結果的に嫌がられてるみたいだが」
「聖女様は国賓なので……ジェイド様に、暴力は駄目だと言ってるくらいですよ。早く理由をつけて引き離さないと。キレられたらとんでもないと思いますよ。魔力の化物みたいな方なんですから。敵にしたら怖いですね」
そんな話をしながら、ようやく二人が紅茶に口を付けようした時──
ドォォォォ────ン地鳴りのような衝撃。
グラグラと床が波打つような波動。
照明のガラスがユラユラと揺れている。
「なんだ!!」
「殿下、王宮図書館の方です。今魔法騎士や魔法師が向かってます」
ドアの外の近衛から即、返答がきた。
「行くぞ。カーク」
「殿下が最前線に行く必要はありません。俺が行きます」
「ジェイドは、本を探しているのだろう?さらに聖女は付き纏っている可能性がある」
カークがチッと舌打ちをした。
「確かに。聖女様に何かあったら大変ですね」
急ぎ二人は、執務室から駆け出した。
「貴方達は、誰ですか? ここはどこですか? 俺は……」
聖女の手をはらい。拒む姿を見てしまえば、ますます召喚した聖女に対して不信感しか覚えない。ただ彼が不安定なのには、理由が別にもあった。召喚の影響により記憶が欠如している事がわかったのだ。
親友でもあった彼との距離感が掴めず、居心地の悪さに拍車をかける。
「様子はどうだ?」
窓から外を眺めながら、後ろに控えているカークに尋ねた。
「記憶が欠如したままですね」
「一体何があったんだ……」
「最初はご家族も含め、殿下の事も分からなかったようですね。少しづつ思い出しているようですが。向こうの世界で何があったのかは、分かりません」
俺は、カークの方に向きを変えた。窓際からソファの方へと移動する。紅茶を要求してソファにもたれ掛けた後、大きくため息をついた。
「そうか……ジェイドの記憶の事を知っているのは家族以外に我々と神官長、魔法師長、ミカエルと聖女か。と数人いたな。これ以上は広めるな。いや、誓約魔法をかけさせよう。彼の立場が困らないように。侯爵家の嫡男の弱みなっては困るからな。そう言えば、ジェイドは、本を探していると聞いたのだが……?」
カークも、ソファに腰掛けるようにと勧めた。
カークは防音の魔法をかけた。こちらの音のみを漏れないように遮断する。その辺は抜け目がない。
「エドワード殿下……ジェイド様は、記憶の事もあるので、この世界の知識の確認をしているように見えます。本と言うよりも、その先の誰かを探しているような感じもしますね」
あの時の表情が思い出される。誰かに呼ばれるように消えたジェイド。
「なんと言うか、思いつめた感じがしますね」
「体の変化などは無いのか?魔力の質や量……まさか聖女のいた国に行くと魔力が減ってしまうのだろうか?」
「そんな事は、なかったですよ。魔力も十分ありました。魔法の使い方も感覚で覚えているみたいなので、戸惑いつつも割とすんなり使えてます」
それは、不幸中の幸いだと胸を撫で下ろす。
「記憶が戻れば、向こうで何があったのか……思いだすのかも知れないな」
「そうですね。それにしても、聖女様には困ったものです」
カークは先程の俺よりも、大きくため息をついた。珍しいこともあるな。
「どうした?」
「ジェイド様の看病をしたいと、言い張っているのですよ」
「なぜだ?」
心底嫌そうな顔を俺の前だと言うのに、カークは見せた。
「癒しの力を試せるからとか。ジェイド様が不安でしょうから聖女の私がそばにいてあげたいのですとか……まぁ、下心丸見えなので」
なるほどと苦笑いになってしまう。
「ジェイドに気に入って貰いたいわけだ。結果的に嫌がられてるみたいだが」
「聖女様は国賓なので……ジェイド様に、暴力は駄目だと言ってるくらいですよ。早く理由をつけて引き離さないと。キレられたらとんでもないと思いますよ。魔力の化物みたいな方なんですから。敵にしたら怖いですね」
そんな話をしながら、ようやく二人が紅茶に口を付けようした時──
ドォォォォ────ン地鳴りのような衝撃。
グラグラと床が波打つような波動。
照明のガラスがユラユラと揺れている。
「なんだ!!」
「殿下、王宮図書館の方です。今魔法騎士や魔法師が向かってます」
ドアの外の近衛から即、返答がきた。
「行くぞ。カーク」
「殿下が最前線に行く必要はありません。俺が行きます」
「ジェイドは、本を探しているのだろう?さらに聖女は付き纏っている可能性がある」
カークがチッと舌打ちをした。
「確かに。聖女様に何かあったら大変ですね」
急ぎ二人は、執務室から駆け出した。
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