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第2章☆今世の過去編

10.考えた結果。

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師匠の別邸でお世話になり、回復薬も何種類か見本を見せてもらった。頭に入ったのかと言えば、曖昧で…貴重な時間なはずなのに。

「すみません。」そう言うと、「大丈夫。レシピとか渡すから見といて。今日はよく頑張ったね。次からは、スパルタでいくからね。サフィア様みたいに。」

そうなんだ。
スパルタだったんだ。

「師匠でも大変でしたか?」

「──あの顔で、魔法のことになると、悪魔みたいだったよ。」

2人で笑う。


「もう、部屋で休んだ方がいいね。」

頭を撫でられて、「よく頑張ったね。お休み。」そう言われ家令に案内された客室のベッドに倒れ込んだ。


とりあえず明日朝イチで、王宮のの部屋に…転移してくれる約束もしたから、戻ったら、与えられた役割をちゃんとしようとは思う。

それでも、今後の為にセドリック殿下を愛称呼びはやめよう。
ゆっくりと、距離を置くべきだと考える。



強制的な過去視による精神的ダメージが強過ぎた…不安定になっていた僕は、多分冷静ではないのかも知れない。
ただ今日は、帰りたくなくて、1人になりたくなかったんだ。察してくれた師匠に無理させてしまった。

最後に耳元で『1人で泣いちゃダメだ。辛かったら名を呼べ』そう言ってくれた師匠に…聞こえる訳ないと思っていたのに、ユアンさんがダメ出しをしていた。

『夜這いと勘違いされたら、レイリア様に傷が付きます!いいですか?貴方は、部屋から出ていかないで下さい。』

そのやりとりを思い出して、なんか面白くてちょっと救いになる。


母様、ハリス師匠が相手なら…兄様と父様は喜んでくれないかな?
兄様も僕を心配することが減ると思うんだけどな。

心配かけてばかりで、足を引っ張っている。兄様にも侯爵家を引き継ぐ為の準備があるのに。


婚約(偽)の件は、やっぱりヴァーミリオン侯爵である父上と相談してからと言う事になってしまったけど…
だけど、正直に父様に話せば許可されないんじゃないかって思うし。婚約破棄を前提にするのだから。
「納得しないよね。」

どうしたら、認めてもらえるのかな。

利害の一致では納得してもらえないなら、僕が好きになったとか両思いとか理由づけをしたらどうかな?

婚約したなら、先々他の側近候補を紹介しやすい。もちろん卒業までは、側近をしたら良いし最後までやり遂げるけど。

セドリック殿下をクラスの貴族子息ともっと接触させて相性を見て見る?
キースとか、エース様を巻き込んで協力してもらう?
この世界がゲームの世界ならきっと出会いのイベントってあるはずだから。

イベントって学園の行事かな?日常の中にもあるのかな?
主人公を見てたら分かるか…。
アルバート殿下とキースはあの後よく話をしているみたいで良い雰囲気になっているみたい。

なら、他の美形が攻略対象なら、ダントツは殿下だ。師匠も格好いいから、対象かも知れない。
美形…兄様もかな?
ハーレムは、無いよね?複数人相手なんてなんてもらえないと思う。


「男爵令息エミリオ・ブルーローズ…が主人公なら、心に傷があるセドリック殿下を癒したりするんじゃないかな?
悪意がなければ放置していいのかも。
もしかして、すごいチートの魔法師で、王子の心を溶かすかすとかってゲームの世界線ならありえる──本当の運命は、この2人かも知れない。」


主人公チートならそれこそ安心。セドリック殿下が、幸せになるなら。

それに、上級魔法師になって、平民になって、1人で生きて行けるくらいになれば…冒険者とか夢じゃなくなる。



「それって、結果オーライなのでは。」

──母様。心配しないで、師匠より強くなったら1人でも大丈夫だし、離れれば庇われたりしないから。巻き込んだり迷惑かけないでしょ?
なんか、希望が見えた気がする。




翌朝──

王宮に帰る前に、ハリス師匠から母様の魔法の本を渡される。
付箋がびっしりとついていて…パラパラと捲る。使い古した感が半端無くて。母様の匂いがしそう。

「俺が上級魔法師に認められた時にもらったんだよ。それから、必死にサフィア様がメモしてくれてたものを確かめて、覚えていったんだ。
レイリアは後より、先に渡した方が向いてると思うから。
どんどん吸収して欲しい。分からない箇所を事前に確認して聞いてくれてもいいよ。

ただ、1人で試さないように。

ま、禁忌の魔法は許可なく読めないようしてる。

よく聞いて。
この本は、サフィア様の生きてた証で、君の為のものだよ。
俺はその為の駒みたいなもの。頼って欲しい。俺の敬愛するサフィア様から託された君を、必ず上級魔法師にする。

それから自分を責めたら駄目だ。
レイリア…サフィア様の想いを素直に受け取って。
それだけ、愛されてたんだよ。」


「はい。」
愛されていたことは、信じてる。
父様に…謝りたいだけ。


抱きしめられて、王宮に転移した。








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