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第2章☆今世の過去編
5.ジェイスの想い。
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魘されては、涙を流す。
その回数が増えている。
このまま、消えてしまいそうなんだ。
サフィアは、『時読み』のスキルを持つ魔法師だ。
特に重要視されるのは、未来視。
自然災害に、戦争の火種になりうるもの。王家の危機の回避。
完全に防ぐと言うよりは、緩和する。軽度なものに、抑えていく。最悪にならないように動くためのもの。
最悪の状況にならないための、女神からの警告らしい。
そして、決して万能では無い。
正確な日時や時間は分からない。誤差があるのだから、発言し難いそうだ。
断片的に浮かぶらしい。
寝ている時に見ることも多く、夢か未来視か区別がつかないことも多いそうだ。
いつも、ポンコツの力なのだと笑う。
この程度で王家に囲われるなんて、嫌だと。
王家に囲われる前に、俺がその手を取った。
この出逢いも、未来視によるものかも知れないが。それならそれで──運命だよ。
一目惚れしたサフィアにしつこく言い寄ったのは事実だし、絶対に幸せにすると誓ったんだ。
ようやく魘される原因を聞き出したのに。
俺の唯一は、サフィアなのに。
なんで、再婚なんだ。
それで、捨てられたくないから泣くほど魘されるのか?
子供達と離される方が、嫌なのかも知れない。
再婚なんてある訳ないのに。
否。
違う。
言えない、何かなのだ。
俺に知られたくない?
それなら、家族のだれかの…
子供達ことならば、俺にも協力を仰ぐだろう。
では、本当に再婚?
俺達が何らかの理由で別れるのだろうか?
王家にサフィアを取られる?
俺とサフィアの力があれば、取られたりしないはずだ。
ヴァーミリオン家を敵に回せば、王家にとって痛い所の話じゃなくなる。
潰すのも簡単だろう。
ただ、王なんて面倒くさいだけで、やる気にならないから手は出さない。
陛下は、友だからな。アイツが王だから、この立場で全然構わないが、サフィアにチョッカイ出す奴だったら万死に値するな。
別れる…サフィアと?
──居なくなるのか?
想像するに耐え難い。
もしかして、サフィア自身が死ぬ場面を未来視しているのか?
「嘘だよな。そんなの、気が狂う。」
レイリアは、小さいながらも成長していて。
あの時に2人とも失ってしまうかも知れない絶望を味わった。
王子の魔力によりレイリアは助かり、俺によってサフィアを逝かせなくて済んだんだ。
王宮医から処方された回復薬なども使い、この世界に留めた。
引き留めたせいで、何かが狂ってしまったのだろうか?
ならば、俺の寿命を削って欲しい。分け与え、同じ時に消えることが出来たらいいのに。
きっと、サフィアは、自分の代わりにこの子達を護れと俺を拒むのだろう。
その為に、誰かを側におけと言っているんだろうか?
それは、絶対にない。
俺の全てがサフィアのもの。
どうやって、口を割らせる?
回避出来る方法を探して…
人の生死についての未来視は、その個人が鮮明であればある程、変えられないのだと聞いたことがある。
命へ警告。別れの時間を教えてくれているとか…
その未来視は、その日を回避しても、結果としてそこに向かうと言っていた。
避けられない。
過去を変えられないと同じように。
きっと、君は。
足掻いているんだ。
大切な友人を火事で亡くした時に自分を責めたてていた。
変えられないと。
それでも、ただ受け入れるのは出来ないんだと、ボロボロになっていたね。
ようやく、立ち直った君は、こう言ったんだ。
「人はいずれ天に帰るのだから。死は遅かれ早かれ平等に皆迎えるんだよ。私にそれを阻止する力は、ないのだから。
視る事に意味があるのなら、足掻きたい。少しでも長く一緒にいれるように。最後の希望を叶えてあげるために。
知った以上は、指を加えて待つなんて出来ないんだから。」
俺にも、手伝わせてサフィア。
君を失いたくないんだ。
その回数が増えている。
このまま、消えてしまいそうなんだ。
サフィアは、『時読み』のスキルを持つ魔法師だ。
特に重要視されるのは、未来視。
自然災害に、戦争の火種になりうるもの。王家の危機の回避。
完全に防ぐと言うよりは、緩和する。軽度なものに、抑えていく。最悪にならないように動くためのもの。
最悪の状況にならないための、女神からの警告らしい。
そして、決して万能では無い。
正確な日時や時間は分からない。誤差があるのだから、発言し難いそうだ。
断片的に浮かぶらしい。
寝ている時に見ることも多く、夢か未来視か区別がつかないことも多いそうだ。
いつも、ポンコツの力なのだと笑う。
この程度で王家に囲われるなんて、嫌だと。
王家に囲われる前に、俺がその手を取った。
この出逢いも、未来視によるものかも知れないが。それならそれで──運命だよ。
一目惚れしたサフィアにしつこく言い寄ったのは事実だし、絶対に幸せにすると誓ったんだ。
ようやく魘される原因を聞き出したのに。
俺の唯一は、サフィアなのに。
なんで、再婚なんだ。
それで、捨てられたくないから泣くほど魘されるのか?
子供達と離される方が、嫌なのかも知れない。
再婚なんてある訳ないのに。
否。
違う。
言えない、何かなのだ。
俺に知られたくない?
それなら、家族のだれかの…
子供達ことならば、俺にも協力を仰ぐだろう。
では、本当に再婚?
俺達が何らかの理由で別れるのだろうか?
王家にサフィアを取られる?
俺とサフィアの力があれば、取られたりしないはずだ。
ヴァーミリオン家を敵に回せば、王家にとって痛い所の話じゃなくなる。
潰すのも簡単だろう。
ただ、王なんて面倒くさいだけで、やる気にならないから手は出さない。
陛下は、友だからな。アイツが王だから、この立場で全然構わないが、サフィアにチョッカイ出す奴だったら万死に値するな。
別れる…サフィアと?
──居なくなるのか?
想像するに耐え難い。
もしかして、サフィア自身が死ぬ場面を未来視しているのか?
「嘘だよな。そんなの、気が狂う。」
レイリアは、小さいながらも成長していて。
あの時に2人とも失ってしまうかも知れない絶望を味わった。
王子の魔力によりレイリアは助かり、俺によってサフィアを逝かせなくて済んだんだ。
王宮医から処方された回復薬なども使い、この世界に留めた。
引き留めたせいで、何かが狂ってしまったのだろうか?
ならば、俺の寿命を削って欲しい。分け与え、同じ時に消えることが出来たらいいのに。
きっと、サフィアは、自分の代わりにこの子達を護れと俺を拒むのだろう。
その為に、誰かを側におけと言っているんだろうか?
それは、絶対にない。
俺の全てがサフィアのもの。
どうやって、口を割らせる?
回避出来る方法を探して…
人の生死についての未来視は、その個人が鮮明であればある程、変えられないのだと聞いたことがある。
命へ警告。別れの時間を教えてくれているとか…
その未来視は、その日を回避しても、結果としてそこに向かうと言っていた。
避けられない。
過去を変えられないと同じように。
きっと、君は。
足掻いているんだ。
大切な友人を火事で亡くした時に自分を責めたてていた。
変えられないと。
それでも、ただ受け入れるのは出来ないんだと、ボロボロになっていたね。
ようやく、立ち直った君は、こう言ったんだ。
「人はいずれ天に帰るのだから。死は遅かれ早かれ平等に皆迎えるんだよ。私にそれを阻止する力は、ないのだから。
視る事に意味があるのなら、足掻きたい。少しでも長く一緒にいれるように。最後の希望を叶えてあげるために。
知った以上は、指を加えて待つなんて出来ないんだから。」
俺にも、手伝わせてサフィア。
君を失いたくないんだ。
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