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第1章
3.新入生歓迎パーティー②
しおりを挟むブラックアウト?
視界が真っ黒に染まって、誰の声も聞こえなくなった。
後で、聞いた。
アルバート殿下が何かを言おうとしたその時にセドリック殿下が、大きな声で俺の名を呼んだ事。
殿下の腕の中で、ずっと名を呼ばれていた事も覚えていないし。周りが俺たちを囲んで、やれ治癒師をとか王宮医をとか大騒ぎになったらしい。意識飛んでて良かった。恥ずかしすぎる。
祝いのパーティーに陛下たちも現れ、アルバート殿下は最後まで話す前にホールから連れ出されてしまったみたい。婚約について公衆の面前で何も言わずに済んだ事は良かった。
ただし婚約者を叱責した件については話し合いをするようになったそうだ。
陛下によって新入生歓迎パーティーは特に問題はなく無事に済んだそうだ。
俺はセドリック殿下に横抱きにされて、王宮医に見てもらうべく連れ帰られたそうだ。馬車の中でも、俺を離さなかったとか、心配し過ぎだよね。
そこから1週間程寝込んだ。
肺炎を起こし、熱が下がらない俺の看病を何故かセドリック殿下がすると言い張って聞かず。警備上の問題もあって、殿下の部屋で殿下のベッドでって、いやいや…単なる従者だよ?
専属だけど。
セドリック殿下の前で熱を出すとか…初めてだから心配したの?
全く、もっと友人作らないと駄目だよね?
セドリック殿下に合う友人を探して紹介しなければ、これ大事だなぁ。
その中で、もしかしたら俺の卒業後の側近候補とか婚約者候補が見つかるかもだしね!
兄様が看病する、連れて帰ると言って王宮に来たのをセドリック殿下が駄目だと一色触発状態だったと父様にも聞かされた。
臨戦態勢に入って魔力暴走しかけて!?
陛下が「すまん!」そう言って父様に頭を下げたとかなんとか…嘘だよね?
昔から、すぐ信じて騙される俺の事…可愛い可愛いって父様達に揶揄われてたから。
騙されないようにしなければ。
とにかく、その寝ている間に前世を思い出した。
子供の頃から魔法に憧れてて、生まれ変われるなら魔法使いになりたいって。恥ずかしすぎる。
厨二病って言うんだっけ?
だって仕方がなかったんだよ。
中学は、卒業させてもらった。
ほとんど通えなかったけど。
高校は、通信制でって…。
そうだよ。俺、前世で入退院繰り返してて…ああ、やっぱり病気で死んだんだな。
姉さんが、面白いよってスマホのゲームを教えてくれたけど、ほとんど出来なかったから、ここがゲームの世界だとしても──何も変わらないし、分からない。攻略法とかも知らない。
でも、そんな事どうでも良い。
分からない事悩んでも仕方がないし!
だって健康に生まれて、魔法師にもなってる。今の家族にも愛されているし。
今回の肺炎は、冷水のせいで持病のせいじゃない。風邪をこじらせたくらいだ。
筋力がなくて…体格的には劣るけど、魔力量と魔法で補っている訳だし。
これから、学園生のうちに鍛えたら、もう少しマシになるかな?
魔法の才能は結構あるよね?俺。
魔法師──最高かも。
玲は前世日本人の記憶だよね。
俺の父さんハーフだったから、髪の色と瞳の色とか見た目、日本人ぽくなかったけど…日本から出たことなかったもんね。
学校にもほとんど行けず、見た目も日本人ぽくなかったから、友達がいなかったんだよね。
今世は、キースがいるし。
第1王子の側近のガレスは先輩みたいにアドバイスしてもらえるし。
もっと、友人作ろう。
そしたら、セドリック殿下に紹介できるかもしれない。
そう言えば…イリアってのは、レイリアって呼んだ時にレが聞こえなかっただけかな?
イリアって呼ばれた気もする。
懐かしいような?
イリア?? 殿下の声に似てたから…レイリアだったのかな?
ふわふわ、ぐるぐる。
意識が浮上しては、沈む。
時々、水を飲まされてる気がする。
身体が思うように動かせないけど、優しく触れられている気がする。
ふわふわ、ぐるぐる。
「魔法…ぼうけん、しゃに───なって
は、やく自由に…なり…たい。」
言った覚えのない寝言を──
その一言をセドリック殿下が聞いてたなんて知らない。
とにかく、魔法のレベルを上げよう。出来なかった事、やってみたい事、しなければいけない事たくさんあり過ぎる。
姉さん──俺…精一杯生きてみるよ!
そんな思いばかりが募っていく。
応援ありがとうございます!
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