自称平凡少年の異世界学園生活

木島綾太

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【五ノ章】納涼祭

幕間 これまでの【五ノ章】

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【六十二話~七十話】
 クロトが所属する二年七組は納涼祭で行う仮装メイド喫茶の為に奔走していた。
 特待生依頼として納涼祭を大いに盛り上げるべく、また過去に経験してきた散々な文化祭よりも個人として楽しむべく、クロトは自力で得た伝手を頼り様々な工程を進めていく。

 その途中、歓楽街トップ“麗しの花園”をまとめるオーナー、シュメルや自警団長であるエルノールに最近のニルヴァーナで頻発している暴行事件について不審な点があると告げられる。
 事件の裏に潜むなんらかの策略を感じたクロトだったが、学生である身分を考慮され調査は出来なかった。

 しかしそれが原因で、歓楽街に入り浸っていることが報道クラブのナラタにバレてしまう。
 以後、何かと行動する度にナラタからのストーカー行為、もとい特待生特集という記事を書くという名目で付け狙われることに。

 仕方なくアカツキ荘のメンバーと行動を共にしていく中、ナラタの胸中に浮かぶクロトへの印象は徐々に良い方向へ転がっていく。
 元から心に定めていた真実を求める覚悟。それを抱く彼女の背を後押ししたのは、皮肉にもこれまでいぶかしみ、内心で罵っていたクロト本人だった。
 報道クラブ所属のジャン副部長が掲げる虚実の思想に反旗をひるがえした彼女は、心を新たに取材を続けていく。

【七十一話】
 納涼祭開催まで一週間を控えたある日。クロトはニルヴァーナを守る結界装置を点検する為、代わりに街を防衛する依頼を受けていた。
 持ち場についた彼は高速で街中に飛来してきた魔物、ガルヴィードと交戦する。
 空中を独壇場とし、縦横無尽に飛び回るガルヴィードに苦戦を強いられ、逃げ遅れた住民へ向かう攻撃を庇い重傷を負ってしまう。

 剣も折れ、魔力も尽きかけたクロトは意を決して魔剣を召喚しようとする──直前、鍛冶の師匠である親方に預けていた新生片手剣を放り投げられた。
 クロトの血液魔法によって生み出された特殊合金、朱鉄あかがねとトライアルマギアが取り付けられた魔導剣。
 お得意のシフトドライブを駆使してガルヴィードを追い詰めたクロトは討伐に成功。合流したエリック達と共に魔物を殲滅し、防衛依頼は終了となった。

【七十二話~七十三話】
 アカツキ荘への帰り道、路地裏に入り込んだクロトはひとりでに動くナイフに襲われ迎撃する。
 あまりに奇妙な現象と魔剣の意思であるレオの証言もあり、魔剣の異能によって空間が支配されていると推測。
 敵の位置を探ろうとした矢先、異能による影響を受けたエルノールがその場に現れる。

 咄嗟の判断で彼を撤退させるが行動不能に陥り、意識を失う。しかし、その行動も織り込み済みであり、クロトの様子を確認しようとして現れた襲撃者を追い詰め再起不能に追い込んだ。

 カラミティの構成員である襲撃者を調べ上げる過程で、肉体に緑の魔剣が埋め込まれている信じがたい光景を目にする。
 手段を選ばず、自らを道具としてまで戦うカラミティの狂気性。魔剣ごと狙われる立場のクロトは暗部組織の脅威を再認識する。

【七十四話~七十五話】
 クロトの帰りを待っていたアカツキ荘の面々に、自罰として正座しながらカラミティの襲撃があった事を伝える。
 諸々の憶測はあれど手元にある情報だけでは確証が持てず、クロトは襲撃者から取り出した魔剣を手にした。

 レオのような魔剣の意思が緑の魔剣にもあれば、その意思から情報を聞き出せばいい。
 クロトの適合者として特異性。その可能性に賭けた手段であった。
 そして侵入した魔剣の精神空間。レオの空間と似た場所で浮遊する緑の魔剣と対話し、事情を説明した上で告げられた一言。


『私はを携えし、名も無き緑の魔剣』

 想定していた異能とは全くの別物であり、襲撃者は適合者ではない。最悪の場合、こちらの情報が筒抜けにされていた恐れもありえる。
 重なり続ける災いの陰りは、すぐにでも光を覆い尽くそうとしていた。
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