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成人式
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「ハァ、ハァ、あともう少し」
あと数段で階段を上り終わりそうだ。息を切らしながら一段ずつ上っていたら、
「京太、お疲れ様」
「うわっ」
前を全く見ていなかった俺は目の前に伸びてきた手に引っ張られて、そのままバランスを崩してしまった。そして勢いよく杏一に抱き着いた。
「ごめんな、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だけど……どうした?」
「泣いてた?」
えっ、泣いてた?俺が……
「目が赤くなって……ごめんな」
一度離してもらったのに、もう一度抱きしめられた。
「俺泣いてないよ、目にゴミでも入ってたんだろ。離せって」
杏一は心配そうにこっちを見ていたが、俺は神社を見たくてきょろきょろあちこちを見回した。ここ一帯は木が生えてなくて、神社だけがぽつんと建っているようだった。
「なあ、祭りなのに二人だけでやるのか?」
「うーん、俺の成人式みたいなもんだからさ」
「成人式?村の繁栄がそうとか言ってなかったか?」
「村長の息子が大人になります、これからもよろしくお願いしますってこと」
「へー、じゃあなんで結婚式みたいな格好するんだ?杏一までそれっぽいの着てるだろ」
「昔からこうやって続いてるからかな。ほらっここに座って」
社の前に大きい白い布が敷いてあり、その上に座布団が二つ置いてあった。座布団の前には小さな台がそれぞれあり、お神酒となんか白いものが入ったお椀が置いてあった。
この着物で正座はちょっと……
「足がしびれる前に終わるからさ、俺の手につかまって」
手を差し伸べられて、それにつかまり、草履を脱いで正座をした。はあ、座るだけで一苦労だな。重いし動きにくいし、早く脱ぎたい。
右を向くと、杏一がスッと格好よく座っていて、絵になるなーと見つめた。
「京太、お祈りをした後にそのおかゆを食べて、最後にお神酒を飲むっていう流れだけど、できる?」
「ああ、それなら任せとけ」
ていうかこの白いのおかゆだったんだな。でも普通のおかゆより白い気がする。
よしっ頑張ろう。
あと数段で階段を上り終わりそうだ。息を切らしながら一段ずつ上っていたら、
「京太、お疲れ様」
「うわっ」
前を全く見ていなかった俺は目の前に伸びてきた手に引っ張られて、そのままバランスを崩してしまった。そして勢いよく杏一に抱き着いた。
「ごめんな、大丈夫か?」
「ああ、大丈夫だけど……どうした?」
「泣いてた?」
えっ、泣いてた?俺が……
「目が赤くなって……ごめんな」
一度離してもらったのに、もう一度抱きしめられた。
「俺泣いてないよ、目にゴミでも入ってたんだろ。離せって」
杏一は心配そうにこっちを見ていたが、俺は神社を見たくてきょろきょろあちこちを見回した。ここ一帯は木が生えてなくて、神社だけがぽつんと建っているようだった。
「なあ、祭りなのに二人だけでやるのか?」
「うーん、俺の成人式みたいなもんだからさ」
「成人式?村の繁栄がそうとか言ってなかったか?」
「村長の息子が大人になります、これからもよろしくお願いしますってこと」
「へー、じゃあなんで結婚式みたいな格好するんだ?杏一までそれっぽいの着てるだろ」
「昔からこうやって続いてるからかな。ほらっここに座って」
社の前に大きい白い布が敷いてあり、その上に座布団が二つ置いてあった。座布団の前には小さな台がそれぞれあり、お神酒となんか白いものが入ったお椀が置いてあった。
この着物で正座はちょっと……
「足がしびれる前に終わるからさ、俺の手につかまって」
手を差し伸べられて、それにつかまり、草履を脱いで正座をした。はあ、座るだけで一苦労だな。重いし動きにくいし、早く脱ぎたい。
右を向くと、杏一がスッと格好よく座っていて、絵になるなーと見つめた。
「京太、お祈りをした後にそのおかゆを食べて、最後にお神酒を飲むっていう流れだけど、できる?」
「ああ、それなら任せとけ」
ていうかこの白いのおかゆだったんだな。でも普通のおかゆより白い気がする。
よしっ頑張ろう。
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