黒く嗤う

きぃすけ

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プロローグ

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 お腹が痛い。布団の中で体を丸め、痛みに耐えていると、聞き慣れた声で呼びかけられた。

「けーい、起きてる?ご飯持ってきたよ。」

 布団の上から擦ってくる彼に、僕は無視をした。

「まだ怒ってるの?いい加減機嫌直してくれないかな。食べないと、痛みが長引くだけだよ」

 ほら起きて、と僕の布団を引っ張り、抱き起こしてきた。本当は振り払いたかったが腹痛とめまいでそれどころではなかった。

 肩に顔をうずめて匂いを嗅がれている。僕の何がいいのだろうか。早くこんなところから出たいのに。

 気が済んだのか満足そうに微笑んだ彼は、湯気が上がるおかゆを食べさせてくるのだった。
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