女装令息と騎士令嬢

ハロウィン小話そのニ

「トリックオアトリート！ルー」
　しばらくして私はルーの前に吸血鬼の格好をして立っていた。ルーはシスターの格好をしている。うーんこれって禁断の組み合わせだ。
「トリックオアトリートってもうお菓子はもらってるよ？ラウラ。」
「ルーじゃなくてうち！お菓子か悪戯か選んで！」
「うーんじゃあ両方にしようかなぁ。はい、お菓子」
　そう言うとルーはお菓子を自分の口に持っていった。
「ほら、悪戯して？」
　ルーは自分の口を指差した。そして静かにこういった。
『Trick and Treat』
　お菓子の甘い味が口に広がった後にルーの香りが匂ってくる。
「ごちそうさま」
　そう言われたのは悪戯されてから何時間経った後だっただろうか私は覚えていない。