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六章
対ランドール国魔術師
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対峙した魔術師団からの攻撃を受けながら、オレは一人一人をじっと観察していた。
魔術師ギルドに属する魔術師とはやはり違う。
代々受け継がれる血に精霊の加護を受けた者達。
先日一人と相対したが、ギルド所属の魔術師より解放の仕方が厄介だった。
「血の契約で強引に縛られてるのと違うからな……」
小さく溜め息が漏れる。
かれらが好んで宿っているのだから、無理に引き剥がそうとしても逆効果なのだ。
だから、これまでとはやり方を変えなければならない。精霊たちの好意をオレに向ける方法。
少々気が重いが。
「ま、やるしかないか」
全員がどの精霊の加護を受けているかは把握した。
狙うのはただ一人。
魔術師団とオレの間にいる聖女達は、銀色の壁で身を守ったまま動かない。
推し量るまでもなく、あの守りの力は相当強固なのが伝わってくる。
恐ろしい事に、ここにいる魔術師達どころかオレでも簡単には破れそうにないので、巻き込まれる事はないだろう。
流石は神から授かった力と称賛するべきか。
何かを企んでいるジュリアの好戦的な笑みだけがひっかかるが、今仕掛けて来ないのなら後回しだ。
すっと息を吸い込み、身を守る壁へさらに魔力を与えて強化する。
大地を蹴りつけオレは魔術師団の方へ走り出した。
「散開!」
ライリー殿下とやらの合図で、二列に並んでいた騎馬隊が四人ずつ三つの組に別れて散らばった。
攻撃と防御の得意な各一人、どちらもこなせる者が一人と分かれたようだ。
「ふうん。それなりに考えてるんだな」
魔獣を相手取る経験もあるそうだから、戦い馴れているのか動きに迷いがない。
オレの左手側と背後に移動していく二つの隊からの攻撃を弾き返しながら、構わず正面の三人組に速度を上げて向かう。
「俺に挑んでくるか!
いいだろう、身の程を教えてやる!」
「ライリー、イリアスの防御から出るなよ!」
「大丈夫ですよローエルさん。
それより殿下の補助は頼みました」
名前から推察するに、ランドール第一王子ライリー、公爵家の嫡男ローエル、侯爵家の嫡男イリアス。
これは好都合だ。
狙っていた魔術師達が全員揃っている。
正面から真空の刃や石の礫が幾つも直撃する。
他の魔術師に比べて威力は強いが、こちらの壁は揺らがない。
上がった噴煙に紛れてオレはふわりと跳躍し、三人組のうち狙いを定めたライリーの頭上に舞い降りる。
騎馬に乗ったライリーが杖を向けてきたが、構わずオレは自身の護りの壁の中へと引き入れた。
「なんっ……」
想定外だろう相手は驚いた声をあげる。
ライリーと同じ目線に浮かぶオレは、右手でその頭を鼻先が着きそうな程近くに引き寄せた。
薄い青色の瞳を覗き込み、じっと見据える。
怒りの為か、みるみる頬が赤く染まっていく魔術師に、オレは囁いた。
『逃げないで』
目に見えない心の奥底へ語りかける。
『オレの声を聞いて。
貴方と話したいんだ』
静かに、魂の奥底へ。
魔術師ギルドに属する魔術師とはやはり違う。
代々受け継がれる血に精霊の加護を受けた者達。
先日一人と相対したが、ギルド所属の魔術師より解放の仕方が厄介だった。
「血の契約で強引に縛られてるのと違うからな……」
小さく溜め息が漏れる。
かれらが好んで宿っているのだから、無理に引き剥がそうとしても逆効果なのだ。
だから、これまでとはやり方を変えなければならない。精霊たちの好意をオレに向ける方法。
少々気が重いが。
「ま、やるしかないか」
全員がどの精霊の加護を受けているかは把握した。
狙うのはただ一人。
魔術師団とオレの間にいる聖女達は、銀色の壁で身を守ったまま動かない。
推し量るまでもなく、あの守りの力は相当強固なのが伝わってくる。
恐ろしい事に、ここにいる魔術師達どころかオレでも簡単には破れそうにないので、巻き込まれる事はないだろう。
流石は神から授かった力と称賛するべきか。
何かを企んでいるジュリアの好戦的な笑みだけがひっかかるが、今仕掛けて来ないのなら後回しだ。
すっと息を吸い込み、身を守る壁へさらに魔力を与えて強化する。
大地を蹴りつけオレは魔術師団の方へ走り出した。
「散開!」
ライリー殿下とやらの合図で、二列に並んでいた騎馬隊が四人ずつ三つの組に別れて散らばった。
攻撃と防御の得意な各一人、どちらもこなせる者が一人と分かれたようだ。
「ふうん。それなりに考えてるんだな」
魔獣を相手取る経験もあるそうだから、戦い馴れているのか動きに迷いがない。
オレの左手側と背後に移動していく二つの隊からの攻撃を弾き返しながら、構わず正面の三人組に速度を上げて向かう。
「俺に挑んでくるか!
いいだろう、身の程を教えてやる!」
「ライリー、イリアスの防御から出るなよ!」
「大丈夫ですよローエルさん。
それより殿下の補助は頼みました」
名前から推察するに、ランドール第一王子ライリー、公爵家の嫡男ローエル、侯爵家の嫡男イリアス。
これは好都合だ。
狙っていた魔術師達が全員揃っている。
正面から真空の刃や石の礫が幾つも直撃する。
他の魔術師に比べて威力は強いが、こちらの壁は揺らがない。
上がった噴煙に紛れてオレはふわりと跳躍し、三人組のうち狙いを定めたライリーの頭上に舞い降りる。
騎馬に乗ったライリーが杖を向けてきたが、構わずオレは自身の護りの壁の中へと引き入れた。
「なんっ……」
想定外だろう相手は驚いた声をあげる。
ライリーと同じ目線に浮かぶオレは、右手でその頭を鼻先が着きそうな程近くに引き寄せた。
薄い青色の瞳を覗き込み、じっと見据える。
怒りの為か、みるみる頬が赤く染まっていく魔術師に、オレは囁いた。
『逃げないで』
目に見えない心の奥底へ語りかける。
『オレの声を聞いて。
貴方と話したいんだ』
静かに、魂の奥底へ。
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