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六章
彼女の未練
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「あの……お話中の所を失礼致します」
怒りに震える私の頭上から、控えめな女性の声がかけられました。
ぱっと勢い睨むように顔を上げた私に、びくりと脅えて肩を竦めたのは、金色の髪とルビーのような美しい瞳のご令嬢です。
「ごめんなさい、知った方のお名前が聞こえたものですから、つい……
それと、これを」
躊躇うように彼女が差し出してきたのは、タリュス君の手配書でした。
ヤノスさんが立ち上がった時に、床に落としてしまっていたようです。
華美でないワンピース姿の彼女が誰なのかに思い至り、私は慌てて立ち上がりました。
「タイグレン伯爵令嬢様!?し、失礼しました」
「いえ、突然お声かけしてすみません、マルーセル様。お久しぶりですわね」
控えめに微笑む美しい彼女は、ウィルフレード陛下の元婚約者のルディアヌス・エル・タイグレン伯爵令嬢でした。
ヤノスさん達もざっと立ち上がり、礼を取ります。
「メリル様のご婚約、おめでとうございます。
姉上様はご息災でいらっしゃいますか?」
「ありがとうございます……今は王都で勉強に励みながら過ごしております。
その……この度は……」
「マルーセル様、どうぞお気遣いなく。
私は陛下がお幸せならそれでいいと、心から思っておりますから。
……ある方のお陰ですが」
言葉を濁してしまった私に、困ったように微笑んで、ルディアヌス嬢は手にした手配書に視線を落としました。
「その方が何故このような事になったのか、お聞きしても宜しいかしら」
「……タリュス君の事をご存知なのですか」
「ええ、我が家の領地内で起こった問題の解決にいらしたときに、少し」
じっと手配書の写真を見つめて切ない息を溢すルディアヌス様に、何となく察します。
「ルディアヌス様、お時間はありますか?
よろしければお話ししましょう」
「ええ、喜んで。どうぞ騎士の皆様もご一緒に」
柔らかく微笑むルディアヌス嬢に、ヤノスさん達も礼を崩します。
幼い頃から陛下の婚約者候補だったルディアヌス嬢の事は、勿論知っていました。
もう一人の婚約者候補で有力株だったフェアロイド公爵令嬢と比べれば、物腰がとても穏やかで個人的に好感を持っていました。
彼女の生家が元々は織物を取り扱う商家であるからか、身分を嵩に着ることをしないからです。
ハリスト君が接客係に声をかけ、ルディアヌス様の席と飲み物を頼んでくれました。
こういう所に卒がないのが彼の意外な一面だと思います。
「ルディアヌス様は、いつタリュス君とイグニシオンさんにお会いになられたんです?」
「ごく最近のことですわ。マイゼルの近くでお仕事があったと仰っていました。
宿が運悪く埋まっており、お困りのところをギルドマスターを通じて父を頼って下さって、一晩当家に逗留なされたのです。
父が強引にお誘いしたのですが……翌日、当家で催したパーティーにもご参加頂きました」
彼女の白い頬が、ぽっと可愛らしく桃色に染まりました。
パーティーに参加したとなれば、二人とも正装したはず。
どちらも美形なお二人ですから、うっかり心を奪われてしまっても納得です。
さぞかし衆目をさらった事でしょう。
……そんな面白そうなもの、私もぜひお目にかかりたかったです。
「それで、この手配書は本物なのですよね?
彼の身に何があったのか教えて頂けますか」
真剣なルディアヌス様に、ホルンさんが先程話してくれた内容を同じく、包み隠さず伝えます。
「あのタリュス様が……そのような恐ろしい事を本当にされたのでしょうか……
まぼろし姫だなんてたおやかなお名前の噂の方でしたし、穏やかな性格にお見受けしましたのに」
「まぼろし姫?」
「ご存知ありませんか?
先日、ディスティア皇族が見えられた時の舞踏会で、タリュス様に名付けられたそうですのよ。
お美しさを見初められた殿方が多くいらして、どちらのご令嬢なのかと探されたようですが、ついに見つける方はいらっしゃらなかったと。
まさか男装なされているとは思いませんものね」
「……男装ですか」
私が違和感に訪ね直すと、ルディアヌス様も小首を傾げます。
「本当は女性なのでしょう?
でなければ、その……イグニシオン様の振るまいが説明つきませんでしたから」
「タリュス君に何をしたんですか、イグニシオンさんは」
何かを察したのか固い声で身を乗り出したヤノスさんに、ルディアヌス様は少し恥じらうように目線を下げます。
なんでしょう、ときめきの予感がします。
「パーティーの際に、タリュス様は誤ってお酒を口になされて体調を崩されたのです。
イグニシオン様が介抱の為に会場から立ち去る直前、く、口移しで水を、タリュス様に飲ませられたような所を見てしまいまして」
ヤノスさんがぴしりと石のように固まりました。
「その後に廊下でお二人が話しているのを使用人が耳にしたのですが……
タリュス様が私に近づいてお話ししたのを、イグニシオン様が大層お怒りになられていたと。
ただならぬ空気で壁にタリュス様を追い詰めていたそうです」
「か、壁ドン……!」
ハリスト君が驚愕に目を見開いて呻き声を上げました。
両膝に肘をついて頭を抱える二人の騎士に構わず、頬にそっと指を当ててルディアヌス様は続けます。
「お恥ずかしいのですが、それでも……私はタリュス様に婚約を申し込んだのです。
陛下よりもお慕いしたい殿方に、やっと巡り遭えたこの気持ちをお伝えしたくて……
ですが、その場で断られてしまいましたの。
タリュス様は想う方がいらして……イグニシオン様はタリュス様を手離す気はないと宣言されました。
ああこれは、お二人は想い合っているのだと確信しました。
タリュス様が本当は女性なのであれば、全て納得がいきましたから」
「……そうですよねぇ、両思いにしか見えませんよねえ……」
なんとなく私も視線を反らしてしまいます。
決定的な誤解を解いた方がいいのか悪いのか、判断に迷う所です。
「納得はしたつもりだったのですが、どうしても気持ちが鬱いでしまった私に、父が旅行を勧めて来ましたの。
それでこの街に逗留していたのですが、偶然皆様とお会いして。
まさかタリュス様のお話が出来るとは思いませんでした」
テーブルの上に置かれた手配書のタリュス君を見つめ、ルディアヌス様が溜め息を吐きました。
「……また一段と凛々しくなられたのですね。
穏やかな貴方が指名手配だなんて……
何かの間違いですわよね、タリュス様」
申し込んだ縁談を断られても未練がおありのようです。
あんな絶世の美人さんなのですから無理もありませんが、タリュス君が女性と思い込んでいても諦めきれていないのは、問い質さなくていい事なのでしょうか?
「……僕、イグニシオンさんに会いに行きます」
静かにヤノスさんが両膝の上で拳を固くしています。
「おいどうしたヤノス」
「あの人に会って話をつけないといけないんだ!
手配書の件もだけど……き、キスしただなんて……!
相棒にすることじゃないし、あのいたいけなタリュス君にっ、酔っている隙になんて事をしてるんだ!」
「話があるのは同感だ。
イグニシオンさんが男でもいいなら俺も急いで名乗りを上げないと」
「お前は何の話をするつもりだハリスト」
各々の理由で色めき立つ二人に、ホルンさんが突っ込みを入れてくれるので助かります。
「抜け駆けしないで下さいよ、私だってイグニシオンさんがどういうつもりでタリュス君の手を離したのか聞きたいんですから」
ルディアヌス様の前で取った行動は、間違いなく牽制です。
ウィルフレード陛下との婚約が絶ち消えたルディアヌス様の好意を引かないよう、わざと見せた部分もあったのでしょう。
けれど、タリュス君だって男の子なのです。
もう子供の頃のようにイグニシオンさんべったりでなくなって、美姫と謳われるルディアヌス様のような女性に心を奪われたっておかしくないのです。
本当にタリュス君を奪われたくなかったのでしょうが、確かにヤノスさんの言うとおりです。
相棒と思っているのなら、イグニシオンさんの引き止め方はおかしいと思います。
どうみても嫉妬しているのですから。
そんなにタリュス君を好きなのに、どうして。
「やれやれ、マルーセル嬢もですか。
……妃殿下候補様からのお言葉を伝えますから三人ともよく聞いて下さい」
ホルンさんが私達の視線を一身に受けながら肩を竦めます。
「足止めをしておきますから早く戻っていらっしゃい、との事です」
「ーー姉上……」
全てを見越している姉に感動してしまいます。
「ではすぐにでも帰りましょう。
姉上がそう言うのなら、イグニシオンさんはまだ王都にいます。
急がないと逃げられてしまいますよ」
私の言葉にヤノスさんもハリスト君も真剣に頷きます。
その胸にはそれぞれ固い決意が宿っているのでしょう。
「行かれるのですね……
皆様どうかお気をつけて。
イグニシオン様にお伝え下さい。
また笑顔のタリュス様にお会い出来るのを、いつでもお待ちしていますと」
柔らかく微笑むルディアヌス様に、私も笑顔を返します。
「必ず伝えます」
テーブルの上に置かれた手配書のタリュス君は、全ての感情を失ったかのように冷酷な顔で遠くを見つめています。
でも、私達は屈託なく笑う、太陽みたいな貴方に戻ってきてほしい。
「私達もそう願っていますから」
その為には、あの素直じゃない魔術師に、きつめのお説教をしてあげなくては。
怒りに震える私の頭上から、控えめな女性の声がかけられました。
ぱっと勢い睨むように顔を上げた私に、びくりと脅えて肩を竦めたのは、金色の髪とルビーのような美しい瞳のご令嬢です。
「ごめんなさい、知った方のお名前が聞こえたものですから、つい……
それと、これを」
躊躇うように彼女が差し出してきたのは、タリュス君の手配書でした。
ヤノスさんが立ち上がった時に、床に落としてしまっていたようです。
華美でないワンピース姿の彼女が誰なのかに思い至り、私は慌てて立ち上がりました。
「タイグレン伯爵令嬢様!?し、失礼しました」
「いえ、突然お声かけしてすみません、マルーセル様。お久しぶりですわね」
控えめに微笑む美しい彼女は、ウィルフレード陛下の元婚約者のルディアヌス・エル・タイグレン伯爵令嬢でした。
ヤノスさん達もざっと立ち上がり、礼を取ります。
「メリル様のご婚約、おめでとうございます。
姉上様はご息災でいらっしゃいますか?」
「ありがとうございます……今は王都で勉強に励みながら過ごしております。
その……この度は……」
「マルーセル様、どうぞお気遣いなく。
私は陛下がお幸せならそれでいいと、心から思っておりますから。
……ある方のお陰ですが」
言葉を濁してしまった私に、困ったように微笑んで、ルディアヌス嬢は手にした手配書に視線を落としました。
「その方が何故このような事になったのか、お聞きしても宜しいかしら」
「……タリュス君の事をご存知なのですか」
「ええ、我が家の領地内で起こった問題の解決にいらしたときに、少し」
じっと手配書の写真を見つめて切ない息を溢すルディアヌス様に、何となく察します。
「ルディアヌス様、お時間はありますか?
よろしければお話ししましょう」
「ええ、喜んで。どうぞ騎士の皆様もご一緒に」
柔らかく微笑むルディアヌス嬢に、ヤノスさん達も礼を崩します。
幼い頃から陛下の婚約者候補だったルディアヌス嬢の事は、勿論知っていました。
もう一人の婚約者候補で有力株だったフェアロイド公爵令嬢と比べれば、物腰がとても穏やかで個人的に好感を持っていました。
彼女の生家が元々は織物を取り扱う商家であるからか、身分を嵩に着ることをしないからです。
ハリスト君が接客係に声をかけ、ルディアヌス様の席と飲み物を頼んでくれました。
こういう所に卒がないのが彼の意外な一面だと思います。
「ルディアヌス様は、いつタリュス君とイグニシオンさんにお会いになられたんです?」
「ごく最近のことですわ。マイゼルの近くでお仕事があったと仰っていました。
宿が運悪く埋まっており、お困りのところをギルドマスターを通じて父を頼って下さって、一晩当家に逗留なされたのです。
父が強引にお誘いしたのですが……翌日、当家で催したパーティーにもご参加頂きました」
彼女の白い頬が、ぽっと可愛らしく桃色に染まりました。
パーティーに参加したとなれば、二人とも正装したはず。
どちらも美形なお二人ですから、うっかり心を奪われてしまっても納得です。
さぞかし衆目をさらった事でしょう。
……そんな面白そうなもの、私もぜひお目にかかりたかったです。
「それで、この手配書は本物なのですよね?
彼の身に何があったのか教えて頂けますか」
真剣なルディアヌス様に、ホルンさんが先程話してくれた内容を同じく、包み隠さず伝えます。
「あのタリュス様が……そのような恐ろしい事を本当にされたのでしょうか……
まぼろし姫だなんてたおやかなお名前の噂の方でしたし、穏やかな性格にお見受けしましたのに」
「まぼろし姫?」
「ご存知ありませんか?
先日、ディスティア皇族が見えられた時の舞踏会で、タリュス様に名付けられたそうですのよ。
お美しさを見初められた殿方が多くいらして、どちらのご令嬢なのかと探されたようですが、ついに見つける方はいらっしゃらなかったと。
まさか男装なされているとは思いませんものね」
「……男装ですか」
私が違和感に訪ね直すと、ルディアヌス様も小首を傾げます。
「本当は女性なのでしょう?
でなければ、その……イグニシオン様の振るまいが説明つきませんでしたから」
「タリュス君に何をしたんですか、イグニシオンさんは」
何かを察したのか固い声で身を乗り出したヤノスさんに、ルディアヌス様は少し恥じらうように目線を下げます。
なんでしょう、ときめきの予感がします。
「パーティーの際に、タリュス様は誤ってお酒を口になされて体調を崩されたのです。
イグニシオン様が介抱の為に会場から立ち去る直前、く、口移しで水を、タリュス様に飲ませられたような所を見てしまいまして」
ヤノスさんがぴしりと石のように固まりました。
「その後に廊下でお二人が話しているのを使用人が耳にしたのですが……
タリュス様が私に近づいてお話ししたのを、イグニシオン様が大層お怒りになられていたと。
ただならぬ空気で壁にタリュス様を追い詰めていたそうです」
「か、壁ドン……!」
ハリスト君が驚愕に目を見開いて呻き声を上げました。
両膝に肘をついて頭を抱える二人の騎士に構わず、頬にそっと指を当ててルディアヌス様は続けます。
「お恥ずかしいのですが、それでも……私はタリュス様に婚約を申し込んだのです。
陛下よりもお慕いしたい殿方に、やっと巡り遭えたこの気持ちをお伝えしたくて……
ですが、その場で断られてしまいましたの。
タリュス様は想う方がいらして……イグニシオン様はタリュス様を手離す気はないと宣言されました。
ああこれは、お二人は想い合っているのだと確信しました。
タリュス様が本当は女性なのであれば、全て納得がいきましたから」
「……そうですよねぇ、両思いにしか見えませんよねえ……」
なんとなく私も視線を反らしてしまいます。
決定的な誤解を解いた方がいいのか悪いのか、判断に迷う所です。
「納得はしたつもりだったのですが、どうしても気持ちが鬱いでしまった私に、父が旅行を勧めて来ましたの。
それでこの街に逗留していたのですが、偶然皆様とお会いして。
まさかタリュス様のお話が出来るとは思いませんでした」
テーブルの上に置かれた手配書のタリュス君を見つめ、ルディアヌス様が溜め息を吐きました。
「……また一段と凛々しくなられたのですね。
穏やかな貴方が指名手配だなんて……
何かの間違いですわよね、タリュス様」
申し込んだ縁談を断られても未練がおありのようです。
あんな絶世の美人さんなのですから無理もありませんが、タリュス君が女性と思い込んでいても諦めきれていないのは、問い質さなくていい事なのでしょうか?
「……僕、イグニシオンさんに会いに行きます」
静かにヤノスさんが両膝の上で拳を固くしています。
「おいどうしたヤノス」
「あの人に会って話をつけないといけないんだ!
手配書の件もだけど……き、キスしただなんて……!
相棒にすることじゃないし、あのいたいけなタリュス君にっ、酔っている隙になんて事をしてるんだ!」
「話があるのは同感だ。
イグニシオンさんが男でもいいなら俺も急いで名乗りを上げないと」
「お前は何の話をするつもりだハリスト」
各々の理由で色めき立つ二人に、ホルンさんが突っ込みを入れてくれるので助かります。
「抜け駆けしないで下さいよ、私だってイグニシオンさんがどういうつもりでタリュス君の手を離したのか聞きたいんですから」
ルディアヌス様の前で取った行動は、間違いなく牽制です。
ウィルフレード陛下との婚約が絶ち消えたルディアヌス様の好意を引かないよう、わざと見せた部分もあったのでしょう。
けれど、タリュス君だって男の子なのです。
もう子供の頃のようにイグニシオンさんべったりでなくなって、美姫と謳われるルディアヌス様のような女性に心を奪われたっておかしくないのです。
本当にタリュス君を奪われたくなかったのでしょうが、確かにヤノスさんの言うとおりです。
相棒と思っているのなら、イグニシオンさんの引き止め方はおかしいと思います。
どうみても嫉妬しているのですから。
そんなにタリュス君を好きなのに、どうして。
「やれやれ、マルーセル嬢もですか。
……妃殿下候補様からのお言葉を伝えますから三人ともよく聞いて下さい」
ホルンさんが私達の視線を一身に受けながら肩を竦めます。
「足止めをしておきますから早く戻っていらっしゃい、との事です」
「ーー姉上……」
全てを見越している姉に感動してしまいます。
「ではすぐにでも帰りましょう。
姉上がそう言うのなら、イグニシオンさんはまだ王都にいます。
急がないと逃げられてしまいますよ」
私の言葉にヤノスさんもハリスト君も真剣に頷きます。
その胸にはそれぞれ固い決意が宿っているのでしょう。
「行かれるのですね……
皆様どうかお気をつけて。
イグニシオン様にお伝え下さい。
また笑顔のタリュス様にお会い出来るのを、いつでもお待ちしていますと」
柔らかく微笑むルディアヌス様に、私も笑顔を返します。
「必ず伝えます」
テーブルの上に置かれた手配書のタリュス君は、全ての感情を失ったかのように冷酷な顔で遠くを見つめています。
でも、私達は屈託なく笑う、太陽みたいな貴方に戻ってきてほしい。
「私達もそう願っていますから」
その為には、あの素直じゃない魔術師に、きつめのお説教をしてあげなくては。
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