白と黒の日常

とある休みの日の朝

「おい、メシ」

とある休みの日の、6時。
無地の濃い灰色のエプロンを纏ったクロが、ノックをしながら寝ているシロに話しかける。
すでに何度呼び掛けただろうか。
痺れを切らした訳ではないが、このままでは起きてこないと思ったクロは勝手に扉を開けた。

「シロ、起きろ。メシだ。」
「ねむーい……。まだ寝かせてー…。」

布団の中からまだ起きたくないと彼女の声が聞こえるが、「はいそうですか」と言うわけにもいかない。
今日はこの後、とても重要なことが待っているのだ。

「おいシロ、さっさと起きろ。」

わざとらしく小さな溜め息をついたクロが部屋に入り、気持ちよく寝息を立てているシロの枕元に立ち止まると、カーテンを勢いよく左右へ開く。

「ぅぎゃ！？」
「……朝から何つー声だ。」

眩しい朝日に嫌でも目を覚ましたシロの第一声に、クロはやれやれとため息を一つ。

一つ屋根の下で暮らしているシロとクロは兄弟でもなくいとこでもない、ただの同居人であり仕事仲間の関係である。
実は今日の9時から依頼主と会うことになっているのだが、シロは覚えているのだろうか。

「あと、5分…。お願い、あと5分だけ……。」
「ったく。」





結局シロが起きたのは、約30分後である。