【完結】偽りの聖女、と罵られ捨てられたのでもう二度と助けません、戻りません

高瀬船

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ネウスの言葉に、フィエンは嗄れた声で小さく一言「認める」と言葉を返す。
やつれ果て、怯えるようにネウスに視線を向けていたフィエンは、言葉を発するなりネウスから視線を外して床を見るように俯いた。

その様子を見詰めていたネウスは、フィエンから視線を外し、ヘンリーへと向き直ると唇を開く。

「国王。この魔の者がこの人間二人に加担していた事を認めた。メニアのハピュナー子爵家の取引へ介入し、取引廃止へ手を貸した事が判明した。……よって、メニアの子爵家への仕打ちもこの二人と、魔の者の手引きである事が分かったな?」

ネウスの言葉に、ヘンリーは重々しく頷くと、ラドへ視線を向けて唇を開いた。

「──うむ……。そのような事にまで手を染めておったとは……。宰相よ、新たに判明した罪状も追記しておくように」
「かしこまりました」

ラドは、ヘンリーの言葉に恭しく頭を下げると何やら手元の束になっている書類を何枚か捲り、控えていた自分の補佐官だろうか。
その補佐官からペンを受け取ると書類へと文字を書き足して行く。

その様子を見ていたヘンリーは、座していた玉座からゆったりと腰を上げ、重々しく唇を開いた。

「……先程までの罪状であれば、二人には十五年、家族には十年間であったが……一つの貴族の家の仕事に介入し、廃止させた罪も重い。……二人への刑期を延ばし、セリウス・レブナワンド、シャロン・タナヒル両名には我が国の鉱山での労働二十年、両侯爵家の者は十五年の労働刑を科す。刑の執行と同時に、両侯爵家の爵位は褫爵とする」

ヘンリーの言葉に、裁きの間にいた貴族達がざわり、とざわめく。

労働刑、二十年に、家族は十五年。
そして、二つの侯爵家は取り潰しと言う重い刑に周囲の者達は動揺が隠せない。

労働刑に科せられた際に実際赴く場所は生活するにも困難な場所である事が多く、この場合の労働場所はこの国で同じく罪を犯した者達が多く働く場所だ。
元貴族であろうが、平民であろうが関係無く、皆一様に罪人達が働く場所である。

そのような場所に、元貴族の罪人が行けばどうなる事か。
年齢や性別など関係無く働かされる為、暴行や乱暴など日常茶飯事の場所である。

そのような場所で二十年間。
貴族だった者達が果たして五体満足で刑期を終える事が出来るのか。
死してその刑場から出てくるのでは無いか、と周囲の貴族達は戸惑っている。

その様子など気にも止めず、ヘンリーは尚も言葉を続ける。

「此度の罪を犯した中心の二人には、北の大地にある流刑地へ。家族は東の流刑地で労働刑を執行するように。これは、既に決まった事である。決定を覆す事は無いと心得よ」









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申し訳ございません、深夜になるかもしれませんが、本日もう一話更新致します
(以降は通常通り20:30更新です)
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