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しおりを挟む翌日。
メニアは学院で夕方にネウスとマティアスと落ち合った際に昨夜、自分が魔石に封じ込めた魔法を二人に確認して貰う。
メニアの手のひらの上でキラリと煌めく魔石は、しっかりと魔法が封じられているようで、ネウスとマティアスはメニアの手のひらの上にある魔石を見詰めると、感心したように頷いた。
「へえ。しっかりと聖属性魔法が封じられてんじゃねーか。昨夜どれだけ作成したんだ?」
「メニアさん、結構無理したのではありませんか?顔色が悪いですよ?」
ネウスからは聖属性魔法がしっかりと封じ込められている事を褒められ、マティアスからは体調の心配をされてメニアは苦笑する。
「お二方ありがとうございます。私自身、少し魔石に魔法を発動しただけで魔力をここまで消費してしまうとは思いませんでした……」
「あー……。まあ、そうだな……メニアはまだ魔力制御が上手くいってねえみたいだからコツさえ掴めば上手く行くようになるんじゃねーか?」
「そうですよ、メニアさん。まだコツが掴めていないのであれば、無理は禁物です。無理せず、今日はご自宅に帰りますか?」
マティアスの言葉にネウスは驚いたように目を見開くと、メニアに向かって唇を開く。
「メニア、魔力の消費で体調悪いのか?それなら今日は邸に戻ってメニアの部屋で話すか?」
心配そうにネウスにそう声を掛けられ、メニアは申し訳無く思いながら、二人の提案に頷いた。
「──本当はすぐに休んだ方がいいのかもしれないですが……」
「そうだな。国王との謁見は明後日だ。明日の学院はもう休んじまって、謁見に備えた方がいい。その理由だったらメニアの両親も、婚約者も納得すんだろ?」
ネウスの転移魔法によって三人がハピュナー子爵邸のメニアの部屋に転移すると、メニアをソファに座らせて、ネウスとマティアスはメニアの前で心配そうに声を掛ける。
「解呪の魔法も、無理して発動しようとすんな。魔力が回復して、体調が良くなってから試した方がいい」
「すみません、ネウスさん……。謁見の日までに何とか構築式を理解して発動出来るようになりたかったのですが……」
解呪の魔法を取得出来ているのと、出来ていないのとでは安心感が全く違う。
ネウスとマティアスには精神干渉の耐性がある程度あるが、二人よりも力の持った何者かに精神干渉魔法を掛けられてしまえば、抗う事が出来ない可能性がある。
その危険を少しでも和らげようと、メニアは昨夜から解呪の魔法を取得しようとしていたが、完全に理解出来て発動が成功するまではもう少しだけかかりそうだった。
「解呪もいいが……そうだな……。俺はメニアの体調が戻ったら精神干渉を弾く魔法を掛けておいて欲しい。解呪よりかは消費魔力が少ないだろうし、メニアはもう問題無く発動出来んだろ?謁見の日の前日、夜にまたメニアの部屋にこいつと来るから魔力を回復しておいてくれよ」
「──えっ、俺もですか?二人に発動して貰ったらメニアさんまた具合悪くなりませんか?」
ネウスの言葉に、マティアスが焦ったように声を上げるがこの二人に精神干渉を弾く魔法を掛けておけば、確かに他の人間に掛けるよりは安全だろう、とメニアは考え頷いた。
「分かりました。発動出来る魔法の回数に制限があるので、お二人に掛けた方が確実に良さそうですね。明日、しっかりと体調を整えておきます!」
メニアは拳を握って気合いを入れると、今日明日は魔力の回復に努める事に決めた。
翌日、メニアはネウスとマティアスと話した通り学院を一日休む事にすると、魔力の回復を行う為、その日一日はただ只管に自室で大人しく過ごした。
夕方、セリウスとシャロンがお見舞いに来たが面会を断り、夜にネウスとマティアスに魔法を発動出来るよう備える。
そうして、ネウスとマティアスに問題無く魔法を発動する事が出来、メニア達三人は翌日の国王との謁見に備えた。
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