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魔王、襲撃する4
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クゥは少し考えてから口を開いた。
「……君たち獣人は人間の国以外に行くところはないのかい?」
クゥの質問にハナンは顔を顰めてため息を吐く。
「あったらさっさと出ていっているわよ。あたしの住んでいる辺りはほとんど人間が支配しているから、どの国も似たりよったりなのよ」
「なら、僕らの国に来るかい?」
思わぬ提案にハナンの目は見開く。
「あんたたちの国って異世界の?」
「そうだよ」
「……そこって獣人もいるの?」
少し考えたハナンは聞いた。
「獣人どころか、人間以外の色んな種族が暮らしているよ」
「……は? 何その変な国?」
ハナンはポカンとした。ハナンの容赦ない言葉にクゥの顔が引きつる。
「変な国って……」
「いや、変でしょ。種族によって寿命も考え方も違うのに、どうやって一緒に暮らすのよ? 絶対に何かしら問題が起きるでしょ。比較的近いって言われている獣人と人間や魔族とエルフだって、上手くいかないことの方が多いに」
それを言われたクゥはなぜか遠い目をする。
「……それをなんとかしようと努力しているんだよ」
その声になぜかとてつもない疲労が滲んでいた。魔族の男がクゥを労うように背中をポンっと叩く。
「……まぁ、いいわ。で、獣人はその国にまともな職や最低限の権利くらいはあるのでしょうね?」
「それは保証する。それに問題があるなら、遠慮なく訴えていいよ」
それを聞いて、一瞬考えたあとハナンは大きく頷いた。
「わかった。それなら、あんたたちの国に行くことにする。ちなみに来ていいのはあたしだけ?」
「もちろん、君の知っている獣人、全員連れて行くよ」
ハナンは呆気に取られる。まさかそこまで許可されるとは思わなかった。
「……ずいぶん気前がいいのね。約束よ? もし、嘘だったら、その首掻っ切るから 」
「その時は遠慮なくどうぞ」
ハナンが軽く睨むが、クゥは全く堪えることなく、笑顔で首を指指しておどけた。
「そういえば、君は誰から僕を殺すように頼まれたんだい?」
もっともな疑問にハナンは答えるのを一瞬躊躇する。
だが、もうあの国王に対して黙っている義理はないと思い直して素直に答えた。
「ショタレーン王国の国王よ。ここからわりと近くにある人間の国ね」
「あー、あの国か……。確か、獣人を奴隷から解放したって聞いたことがあるけど……」
魔族の男が首を傾げながらハナンを見る。
「解放したって言っても扱いは全っ然変わらないのよ! むしろ安い賃金でこき使われて生活苦だし、衣食住が保証されているだけ奴隷の時の方がマシよ!」
「げ!? そんなことになっていたのか!?」
魔族の男は愕然とする。
「しかもそれを恩に着せてくるし! こっちは全く感謝なんてしてないのに!」
ヒートアップするハナンにクゥはゆっくり頷いた。
「そうなんだね……なら、国王を痛い目に合わせよう!」
ハナンが目を丸くしてクゥを見ると、顔は完璧な笑顔である。だが、額にハッキリと青筋が立っているのを見て、ハナンの背筋に寒気が走る。
「え、ちょっと待って!? 国王に喧嘩売る気!? いくら性根が腐っていても国王よ!? 手を出したらタダじゃ済まないわよ!?」
「大丈夫だよ。なんとかするから」
笑顔で言い切るクゥに、ハナンは唖然とする。そんなハナンの耳元に魔族の男が小声で囁く。
「あいつ、国民を大事にしない偉い奴が大っ嫌いなんだよ。こうなったら何言っても止まらないから、諦めて成り行きに任せた方がいいぞ」
どこか諦観した声にハナンはガクッと脱力した。
「それで、国王に打撃を与えた上に獣人を集める方法なんだけど……」
そんなハナンの様子に構わず、クゥは考えた方法を説明する。
クゥが提案した方法にハナンは目を大きく見開く。
「は!? そんなの上手くいくの!? てか、あんた、すごく危険じゃない!?」
「大丈夫だよ、こう見えて強いから!!」
クゥはそう言って力強く微笑むが、どう見ても弱そうな優男にしか見えない。
先ほどのハナンをあしらった腕からすると弱くはないはずだが、この作戦に必要な強さがあるとは思えなかった。
「それじゃ、さっそく準備を始めようか! マイク、ショタレーン王国に行ったことがあるんだよね」
「ああ、だから転移できるぞ」
ハナンの心情など構わず、クゥは魔族の男――マイクと話し合う。2人には躊躇いはないようだった。
ハナンは「成功したら現状よりマシになるはず」と心の中で唱えながら、覚悟を決めてこの作戦に乗ることにしたのだった。
「……君たち獣人は人間の国以外に行くところはないのかい?」
クゥの質問にハナンは顔を顰めてため息を吐く。
「あったらさっさと出ていっているわよ。あたしの住んでいる辺りはほとんど人間が支配しているから、どの国も似たりよったりなのよ」
「なら、僕らの国に来るかい?」
思わぬ提案にハナンの目は見開く。
「あんたたちの国って異世界の?」
「そうだよ」
「……そこって獣人もいるの?」
少し考えたハナンは聞いた。
「獣人どころか、人間以外の色んな種族が暮らしているよ」
「……は? 何その変な国?」
ハナンはポカンとした。ハナンの容赦ない言葉にクゥの顔が引きつる。
「変な国って……」
「いや、変でしょ。種族によって寿命も考え方も違うのに、どうやって一緒に暮らすのよ? 絶対に何かしら問題が起きるでしょ。比較的近いって言われている獣人と人間や魔族とエルフだって、上手くいかないことの方が多いに」
それを言われたクゥはなぜか遠い目をする。
「……それをなんとかしようと努力しているんだよ」
その声になぜかとてつもない疲労が滲んでいた。魔族の男がクゥを労うように背中をポンっと叩く。
「……まぁ、いいわ。で、獣人はその国にまともな職や最低限の権利くらいはあるのでしょうね?」
「それは保証する。それに問題があるなら、遠慮なく訴えていいよ」
それを聞いて、一瞬考えたあとハナンは大きく頷いた。
「わかった。それなら、あんたたちの国に行くことにする。ちなみに来ていいのはあたしだけ?」
「もちろん、君の知っている獣人、全員連れて行くよ」
ハナンは呆気に取られる。まさかそこまで許可されるとは思わなかった。
「……ずいぶん気前がいいのね。約束よ? もし、嘘だったら、その首掻っ切るから 」
「その時は遠慮なくどうぞ」
ハナンが軽く睨むが、クゥは全く堪えることなく、笑顔で首を指指しておどけた。
「そういえば、君は誰から僕を殺すように頼まれたんだい?」
もっともな疑問にハナンは答えるのを一瞬躊躇する。
だが、もうあの国王に対して黙っている義理はないと思い直して素直に答えた。
「ショタレーン王国の国王よ。ここからわりと近くにある人間の国ね」
「あー、あの国か……。確か、獣人を奴隷から解放したって聞いたことがあるけど……」
魔族の男が首を傾げながらハナンを見る。
「解放したって言っても扱いは全っ然変わらないのよ! むしろ安い賃金でこき使われて生活苦だし、衣食住が保証されているだけ奴隷の時の方がマシよ!」
「げ!? そんなことになっていたのか!?」
魔族の男は愕然とする。
「しかもそれを恩に着せてくるし! こっちは全く感謝なんてしてないのに!」
ヒートアップするハナンにクゥはゆっくり頷いた。
「そうなんだね……なら、国王を痛い目に合わせよう!」
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「え、ちょっと待って!? 国王に喧嘩売る気!? いくら性根が腐っていても国王よ!? 手を出したらタダじゃ済まないわよ!?」
「大丈夫だよ。なんとかするから」
笑顔で言い切るクゥに、ハナンは唖然とする。そんなハナンの耳元に魔族の男が小声で囁く。
「あいつ、国民を大事にしない偉い奴が大っ嫌いなんだよ。こうなったら何言っても止まらないから、諦めて成り行きに任せた方がいいぞ」
どこか諦観した声にハナンはガクッと脱力した。
「それで、国王に打撃を与えた上に獣人を集める方法なんだけど……」
そんなハナンの様子に構わず、クゥは考えた方法を説明する。
クゥが提案した方法にハナンは目を大きく見開く。
「は!? そんなの上手くいくの!? てか、あんた、すごく危険じゃない!?」
「大丈夫だよ、こう見えて強いから!!」
クゥはそう言って力強く微笑むが、どう見ても弱そうな優男にしか見えない。
先ほどのハナンをあしらった腕からすると弱くはないはずだが、この作戦に必要な強さがあるとは思えなかった。
「それじゃ、さっそく準備を始めようか! マイク、ショタレーン王国に行ったことがあるんだよね」
「ああ、だから転移できるぞ」
ハナンの心情など構わず、クゥは魔族の男――マイクと話し合う。2人には躊躇いはないようだった。
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