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幕間 魔王と買い物7
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「あの魔……男には帰る方法があるの?」
危うく魔族と言いかけたが、誰かに聞かれるとまずいため、それを飲み込んでエレナはメイに聞いた。
「はい。確か……それは自分にしかできない方法だとも言っていました」
まだ出会ったばかりの頃、クリスが魔王を倒し終わった後は国に残るようメイが言った時、そう言われたのだ。
「ん? あの男しかできない方法? 魔族しかできない方法じゃなくて?」
「はい、そう言ってました」
メイが頷くと、ますますわからないというようにエレナの眉間の皺が深くなる。
「確かにあいつは強いけど、他の奴にできなくてあいつにしかできないことってある?」
そう言ってエレナが目を向けたのはサーニャだった。世界が違うとはいえ、魔族についてなら彼女が詳しいだろう。
「んー、得意とか不得意とかはあるけど、そいつだけしかできない魔法なんて聞いたことがないわよ。あっ、そういえばあいつが使っていたあっという間に移動する魔法があるけど、それじゃない?」
ケーキを頬張りながら、サーニャは言った。サーニャが言っているのは転移魔法のことである。
だが、エレナは首を横に振った。
「たぶん、違う。だって、そういう魔法はあの魔王も使っていたもの。あの男だけが使えるわけじゃないわ」
「……あっ、クリス様は、魔法だけど自分が使う魔法ではない、とも言ってました!」
その時言われたことを思い出したメイが声を上げる。
「は? 何それ? 誰かに元の世界に帰してもらえる当てがあるってこと?」
エレナが首を傾げる。
「そうです! クリス様は『帰る当て』があるって言っていたのです!」
「……ひょっとして、向こうからクリスさんを召喚するのでしょうか?」
ルディアが顎に手を当てて言った。
「ルディア、私たちの世界にも異世界から召喚する魔法なんてあるの?」
「私が知る限りありませんが、クリスさんのいた国は私たちのいた国より魔法が発展していると思います。なら、ある可能性もあります」
「……確かにそれなら、帰ることができるわね」
ルディアの説にエレナは納得する。
だが、メイは首を横に振った。
「いえ、たぶん、違うと思います」
「どうして? あり得ないことじゃないでしょう?」
エレナは怪訝そうにメイを見て首を傾げる。
「では、なぜクリス様はまだ、この世界にいるのですか?」
意味がわからなかったらしくエレナは眉をひそめるが、ルディアはハッと何かに気がついたようだ。
「確かに、すぐ呼び戻さないのは不自然ですね」
「はい。それに、もしもあえて呼び戻さないのなら、そんな相手を当てにすることはできるでしょうか?」
そのような者はクリスがいない方が都合が良いと判断した者である。無論、事情がある場合もあるだろうが、少なくとも「当て」にはできない。
「クリス様が帰らないのはクリス様の意志だと思います。ですから、たぶんその方法はクリス様の好きなタイミングで帰ることができるものだと思うのです」
「じゃあ、なんか道具を使うってのは?」
サーニャがプリンアラモードのさくらんぼを食べながら思いつきを言う。
「……道具、ですか?」
「そうそう。ほら、あいつ、バルトに付けた奴しか取れない腕輪付けてるじゃん。ああいうので、なんかあるんじゃない?」
「それです、サーニャさん!」
メイが勢いよくサーニャのフォークを持った手を掴む。
「え……え、え?」
サーニャは目を白黒させて戸惑う。
「……確かにそれなら好きなタイミングで帰れそうですよね」
「それに、あの男が使う魔法ではないと言えるしね」
他の2人も納得している。
「……ふふん、じゃあ、この方法に決まりね!」
サーニャは胸を張って笑った。本当に軽く言っただけなので、内心アワアワしていたが。
そしてふとあることに気づき、首を傾げる。
「で、そういう道具があるとして、なんであいつ、まだ帰らないんだろう?」
危うく魔族と言いかけたが、誰かに聞かれるとまずいため、それを飲み込んでエレナはメイに聞いた。
「はい。確か……それは自分にしかできない方法だとも言っていました」
まだ出会ったばかりの頃、クリスが魔王を倒し終わった後は国に残るようメイが言った時、そう言われたのだ。
「ん? あの男しかできない方法? 魔族しかできない方法じゃなくて?」
「はい、そう言ってました」
メイが頷くと、ますますわからないというようにエレナの眉間の皺が深くなる。
「確かにあいつは強いけど、他の奴にできなくてあいつにしかできないことってある?」
そう言ってエレナが目を向けたのはサーニャだった。世界が違うとはいえ、魔族についてなら彼女が詳しいだろう。
「んー、得意とか不得意とかはあるけど、そいつだけしかできない魔法なんて聞いたことがないわよ。あっ、そういえばあいつが使っていたあっという間に移動する魔法があるけど、それじゃない?」
ケーキを頬張りながら、サーニャは言った。サーニャが言っているのは転移魔法のことである。
だが、エレナは首を横に振った。
「たぶん、違う。だって、そういう魔法はあの魔王も使っていたもの。あの男だけが使えるわけじゃないわ」
「……あっ、クリス様は、魔法だけど自分が使う魔法ではない、とも言ってました!」
その時言われたことを思い出したメイが声を上げる。
「は? 何それ? 誰かに元の世界に帰してもらえる当てがあるってこと?」
エレナが首を傾げる。
「そうです! クリス様は『帰る当て』があるって言っていたのです!」
「……ひょっとして、向こうからクリスさんを召喚するのでしょうか?」
ルディアが顎に手を当てて言った。
「ルディア、私たちの世界にも異世界から召喚する魔法なんてあるの?」
「私が知る限りありませんが、クリスさんのいた国は私たちのいた国より魔法が発展していると思います。なら、ある可能性もあります」
「……確かにそれなら、帰ることができるわね」
ルディアの説にエレナは納得する。
だが、メイは首を横に振った。
「いえ、たぶん、違うと思います」
「どうして? あり得ないことじゃないでしょう?」
エレナは怪訝そうにメイを見て首を傾げる。
「では、なぜクリス様はまだ、この世界にいるのですか?」
意味がわからなかったらしくエレナは眉をひそめるが、ルディアはハッと何かに気がついたようだ。
「確かに、すぐ呼び戻さないのは不自然ですね」
「はい。それに、もしもあえて呼び戻さないのなら、そんな相手を当てにすることはできるでしょうか?」
そのような者はクリスがいない方が都合が良いと判断した者である。無論、事情がある場合もあるだろうが、少なくとも「当て」にはできない。
「クリス様が帰らないのはクリス様の意志だと思います。ですから、たぶんその方法はクリス様の好きなタイミングで帰ることができるものだと思うのです」
「じゃあ、なんか道具を使うってのは?」
サーニャがプリンアラモードのさくらんぼを食べながら思いつきを言う。
「……道具、ですか?」
「そうそう。ほら、あいつ、バルトに付けた奴しか取れない腕輪付けてるじゃん。ああいうので、なんかあるんじゃない?」
「それです、サーニャさん!」
メイが勢いよくサーニャのフォークを持った手を掴む。
「え……え、え?」
サーニャは目を白黒させて戸惑う。
「……確かにそれなら好きなタイミングで帰れそうですよね」
「それに、あの男が使う魔法ではないと言えるしね」
他の2人も納得している。
「……ふふん、じゃあ、この方法に決まりね!」
サーニャは胸を張って笑った。本当に軽く言っただけなので、内心アワアワしていたが。
そしてふとあることに気づき、首を傾げる。
「で、そういう道具があるとして、なんであいつ、まだ帰らないんだろう?」
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