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幕間 魔王と買い物5
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服屋を後にすると、クリスたちは男女に別れて休憩することにした。
女性陣が入っていった甘味が豊富なカフェをクリスはじっと見ていたが、大人しく男性陣たちとともに軽食屋に入って行く。
「クリス様、残念そうでしたね」
「甘いもの好きみたいだからね、あいつ」
メイが苦笑いすると、サーニャは呆れた顔をして言った。
「そうなのですか?」
ルディアが首を傾げる。
「うん。この間、あいつの作った料理なんて、甘くて酷かったんだから! しかもあいつ、平気で食べてるし!」
サーニャは思い出してしかめっ面をする。このことに関してはメイもフォローできなかったらしく、目を横に反らした。
「ど、どんな料理なんですか……!?」
ルディアが恐々聞くが、2人は何も答えなかった。
「……ああ、もう! せっかくおいしいものを食べるのにまずいものの話なんか、なしなし! 今は目の前のおいしいスイーツに集中するわよ!」
そうサーニャが話題を変えようとした時、頼んだスイーツが運ばれて来た。
色とりどりのパンケーキやパフェ、ケーキなどのスイーツがテーブルの上に並び、サーニャは目を輝かせる。
「本当にきれいね! 1度、食べて見たかったのよ!」
「サーニャさんはこういったのを食べるのは初めてなのですか?」
うきうきしながらフォークを手に取るサーニャにルディアが聞く。
「うん! たまに見かけることはあったけど、こういう店の中には入れなかったから」
「……まぁ、確かにあなたたちが入るわけにはいかないでしょうね」
エレナも納得して頷く。
「……そういえば、私もこういった店に入るのは初めてですね」
そうメイが言ったので、他の3人は目を丸くする。
「……たまにあいつと街に買い物に行っていたよね?」
「クリス様は買い物だけして、さっさと帰りますから……」
メイが苦笑して答えると、サーニャは呆れた顔をした。
「あいつ……メイをこういうところに連れてってやればいいのに……」
「皆さんを待たせていますし、私たちだけ楽しむわけにはいきませんから」
そう言って笑うメイの健気さに、サーニャは目頭が熱くなる。
「よし、それなら、今日はじゃんじゃん食べて楽しみましょう! メイも遠慮しないでどんどん頼むのよ!」
「……えっと、食べ過ぎないようにしてくださいね」
気合いを入れてパンケーキを食べ始めるサーニャに、メイは苦笑いをするのだった。
女性陣が入っていった甘味が豊富なカフェをクリスはじっと見ていたが、大人しく男性陣たちとともに軽食屋に入って行く。
「クリス様、残念そうでしたね」
「甘いもの好きみたいだからね、あいつ」
メイが苦笑いすると、サーニャは呆れた顔をして言った。
「そうなのですか?」
ルディアが首を傾げる。
「うん。この間、あいつの作った料理なんて、甘くて酷かったんだから! しかもあいつ、平気で食べてるし!」
サーニャは思い出してしかめっ面をする。このことに関してはメイもフォローできなかったらしく、目を横に反らした。
「ど、どんな料理なんですか……!?」
ルディアが恐々聞くが、2人は何も答えなかった。
「……ああ、もう! せっかくおいしいものを食べるのにまずいものの話なんか、なしなし! 今は目の前のおいしいスイーツに集中するわよ!」
そうサーニャが話題を変えようとした時、頼んだスイーツが運ばれて来た。
色とりどりのパンケーキやパフェ、ケーキなどのスイーツがテーブルの上に並び、サーニャは目を輝かせる。
「本当にきれいね! 1度、食べて見たかったのよ!」
「サーニャさんはこういったのを食べるのは初めてなのですか?」
うきうきしながらフォークを手に取るサーニャにルディアが聞く。
「うん! たまに見かけることはあったけど、こういう店の中には入れなかったから」
「……まぁ、確かにあなたたちが入るわけにはいかないでしょうね」
エレナも納得して頷く。
「……そういえば、私もこういった店に入るのは初めてですね」
そうメイが言ったので、他の3人は目を丸くする。
「……たまにあいつと街に買い物に行っていたよね?」
「クリス様は買い物だけして、さっさと帰りますから……」
メイが苦笑して答えると、サーニャは呆れた顔をした。
「あいつ……メイをこういうところに連れてってやればいいのに……」
「皆さんを待たせていますし、私たちだけ楽しむわけにはいきませんから」
そう言って笑うメイの健気さに、サーニャは目頭が熱くなる。
「よし、それなら、今日はじゃんじゃん食べて楽しみましょう! メイも遠慮しないでどんどん頼むのよ!」
「……えっと、食べ過ぎないようにしてくださいね」
気合いを入れてパンケーキを食べ始めるサーニャに、メイは苦笑いをするのだった。
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