139 / 179
幕間 魔王と買い物
しおりを挟む
さんざん遠回りしたが、ようやく魔王や魔物たちが支配している土地の近くまでクリスたちは到達した。
そしてその境にある大きな街の近くに来た時、サーニャが騒ぎ出した。
「私も買い物をしたい!」
実は今まで街などで買い物をする時、サーニャはオークたちと街の外で留守をしていたのだ。
「え、人間たちに紛れることができるのかい?」
クリスは訝しげにサーニャを見る。
サーニャが人間の中で違和感なく溶け込めるか疑問があった。
「あんたにできて、私にできないわけがないでしょ!」
胸を張って答えるサーニャを、クリスはまだ疑惑の晴れない目で見る。
「買い物はしたことあるのかい?」
「うっ……」
サーニャは目を泳がせて言葉に詰まる。
「……物々交換ならしたことある」
気まずそうに小声で言ったサーニャにクリスはため息をつく。
「止めといた方が無難だと思う」
すると、サーニャは口をギュッとしめて俯く。
「だって……私もきれいな服とかおいしいものとか見たいのよ……!」
絞り出すような声にクリスは困った顔をした。
「わかります!」
サーニャの言葉に賛同したのはクリスではなく、メイである。
「女性ですものね、かわいいものとかきれいなものを見たいですよね!」
目をキラキラさせて手を握るメイにサーニャはおずおずと頷く。
「……そういうものなのかい?」
クリスはオークの女性3人に聞いてみる。
「若い子はそうかもしれないね」
「服とかより花や木の方がきれいだ」
「うーん、そんなにこだわりはないねぇ」
どうやら種族によって違うらしい。たぶん、クリスがいた世界でなぜか夢魔が露出の多い服を好むようなものだろう。
「クリス様、どうかサーニャさんのお願いを聞いてください」
メイとサーニャに見つめられてクリスは軽く息を吐く。
「わかった。目立たないようにするなら、いいよ」
メイとサーニャが喜ぶなか、クリスは皆で出かけるための準備を始めた。
そしてその境にある大きな街の近くに来た時、サーニャが騒ぎ出した。
「私も買い物をしたい!」
実は今まで街などで買い物をする時、サーニャはオークたちと街の外で留守をしていたのだ。
「え、人間たちに紛れることができるのかい?」
クリスは訝しげにサーニャを見る。
サーニャが人間の中で違和感なく溶け込めるか疑問があった。
「あんたにできて、私にできないわけがないでしょ!」
胸を張って答えるサーニャを、クリスはまだ疑惑の晴れない目で見る。
「買い物はしたことあるのかい?」
「うっ……」
サーニャは目を泳がせて言葉に詰まる。
「……物々交換ならしたことある」
気まずそうに小声で言ったサーニャにクリスはため息をつく。
「止めといた方が無難だと思う」
すると、サーニャは口をギュッとしめて俯く。
「だって……私もきれいな服とかおいしいものとか見たいのよ……!」
絞り出すような声にクリスは困った顔をした。
「わかります!」
サーニャの言葉に賛同したのはクリスではなく、メイである。
「女性ですものね、かわいいものとかきれいなものを見たいですよね!」
目をキラキラさせて手を握るメイにサーニャはおずおずと頷く。
「……そういうものなのかい?」
クリスはオークの女性3人に聞いてみる。
「若い子はそうかもしれないね」
「服とかより花や木の方がきれいだ」
「うーん、そんなにこだわりはないねぇ」
どうやら種族によって違うらしい。たぶん、クリスがいた世界でなぜか夢魔が露出の多い服を好むようなものだろう。
「クリス様、どうかサーニャさんのお願いを聞いてください」
メイとサーニャに見つめられてクリスは軽く息を吐く。
「わかった。目立たないようにするなら、いいよ」
メイとサーニャが喜ぶなか、クリスは皆で出かけるための準備を始めた。
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説

帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

はぁ?とりあえず寝てていい?
夕凪
ファンタジー
嫌いな両親と同級生から逃げて、アメリカ留学をした帰り道。帰国中の飛行機が事故を起こし、日本の女子高生だった私は墜落死した。特に未練もなかったが、強いて言えば、大好きなもふもふと一緒に暮らしたかった。しかし何故か、剣と魔法の異世界で、貴族の子として転生していた。しかも男の子で。今世の両親はとてもやさしくいい人たちで、さらには前世にはいなかった兄弟がいた。せっかくだから思いっきり、もふもふと戯れたい!惰眠を貪りたい!のんびり自由に生きたい!そう思っていたが、5歳の時に行われる判定の儀という、魔法属性を調べた日を境に、幸せな日常が崩れ去っていった・・・。その後、名を変え別の人物として、相棒のもふもふと共に旅に出る。相棒のもふもふであるズィーリオスの為の旅が、次第に自分自身の未来に深く関わっていき、仲間と共に逃れられない運命の荒波に飲み込まれていく。
※第二章は全体的に説明回が多いです。
<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる