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幕間 魔王と買い物
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さんざん遠回りしたが、ようやく魔王や魔物たちが支配している土地の近くまでクリスたちは到達した。
そしてその境にある大きな街の近くに来た時、サーニャが騒ぎ出した。
「私も買い物をしたい!」
実は今まで街などで買い物をする時、サーニャはオークたちと街の外で留守をしていたのだ。
「え、人間たちに紛れることができるのかい?」
クリスは訝しげにサーニャを見る。
サーニャが人間の中で違和感なく溶け込めるか疑問があった。
「あんたにできて、私にできないわけがないでしょ!」
胸を張って答えるサーニャを、クリスはまだ疑惑の晴れない目で見る。
「買い物はしたことあるのかい?」
「うっ……」
サーニャは目を泳がせて言葉に詰まる。
「……物々交換ならしたことある」
気まずそうに小声で言ったサーニャにクリスはため息をつく。
「止めといた方が無難だと思う」
すると、サーニャは口をギュッとしめて俯く。
「だって……私もきれいな服とかおいしいものとか見たいのよ……!」
絞り出すような声にクリスは困った顔をした。
「わかります!」
サーニャの言葉に賛同したのはクリスではなく、メイである。
「女性ですものね、かわいいものとかきれいなものを見たいですよね!」
目をキラキラさせて手を握るメイにサーニャはおずおずと頷く。
「……そういうものなのかい?」
クリスはオークの女性3人に聞いてみる。
「若い子はそうかもしれないね」
「服とかより花や木の方がきれいだ」
「うーん、そんなにこだわりはないねぇ」
どうやら種族によって違うらしい。たぶん、クリスがいた世界でなぜか夢魔が露出の多い服を好むようなものだろう。
「クリス様、どうかサーニャさんのお願いを聞いてください」
メイとサーニャに見つめられてクリスは軽く息を吐く。
「わかった。目立たないようにするなら、いいよ」
メイとサーニャが喜ぶなか、クリスは皆で出かけるための準備を始めた。
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「止めといた方が無難だと思う」
すると、サーニャは口をギュッとしめて俯く。
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「わかります!」
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「……そういうものなのかい?」
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「うーん、そんなにこだわりはないねぇ」
どうやら種族によって違うらしい。たぶん、クリスがいた世界でなぜか夢魔が露出の多い服を好むようなものだろう。
「クリス様、どうかサーニャさんのお願いを聞いてください」
メイとサーニャに見つめられてクリスは軽く息を吐く。
「わかった。目立たないようにするなら、いいよ」
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