その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

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魔王、巻き込まれる4

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 メイがきれいになったことが気のせいではなかった。
 彼女はあの魔族の男に恋をしてきれいになったのだ。
 ユートはますますメイのことが好きなっていることに気づく。いや、正確にはあの魔族に恋をする彼女に再び恋をしたのだ。
 ユートは俯く。その恋心の対象が自分でないことが堪らなく悔しかった。
 だが、昔から彼女はニコニコしながらも絶対に意志を変えないところがある。おそらくユートが何を言ってもメイがこちらに向くことはない。
 それでも、諦めたくなかった。

「私じゃ、ダメなのか?」

 けど、口から出てきた声は幼子が駄々を捏ねるような情けないものだった。

「ユート様?」

 メイが目を見開く。

「私は昔からあなたのことが好きだ! たぶん、あの魔族の男よりもあなたのことが好きなんだ!」

 ユートは必死に告白する。

「婚約を申し込んでいたのも、姫としてではなく、メイが好きだからなんだ!
 絶対に幸せにすると誓う!
 だから……私を選んでくれ」

 最後の方は絞り出すような声になってしまった。
 正直、今はメイの顔を見るのが怖かったが、勇気を出してユートは真っ直ぐ彼女を見る。
 メイは驚いた後、柔らかく微笑んだ。

「ありがとうございます、ユート様。ユート様はロベルア王国の姫ではなく私を見てくれていたのですね。
 ですが、私はクリス様を諦めるつもりはありません」
「そう、だろうな」

 ユートの体から力が抜ける。断られ悔しいのに、どこか清々しかった。

「たぶん、あなたはこの先、苦労するだろう。相手は魔族なのだから」
「覚悟しています」

 真面目な顔で答えるメイにユートは微笑む。

「残念ながら、2人とも幸せになれと言えるほど、私は器量が広くない。だが、あの魔族はともかく、あなたの幸せは祈ろう」
「……ありがとうございます」

 複雑な顔でお礼を言うメイにユートは思わず笑ってしまう。
 何か吹っ切れたような明るい笑い声だった。
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