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魔王、共闘する17
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クリスは少し悩んでから口を開く。
「……そうかもしれない。けど、そうじゃないんだ」
クリスのはっきりしない答えに幹部の女は首を傾げる。
「どういう意味よ、それ?」
クリスは真顔で真っ直ぐ幹部の女を見た。
「確かに今はそうなのかもしれない。けど、それがもっとも生きるために確実な方法なのは間違っている」
「間違っている?」
幹部の女はポカンとして繰り返す。
「うん。僕たち魔族も魔王の支配や他種族との迫害と関係なしに生きるべきなんだ。魔族だからって差別されたり、生きづらいのは間違っている」
「理想論ね」
幹部の女は冷めた目で言った。
クリスは真顔で頷く。
「そうだね。けど、その理想を何百年経っても実現すべきだと僕は思う」
「……今まで何百年、何千年もできなかったのに?」
幹部の女はクリスを疑うように見る。
「できるよ。その中で1番簡単なのは、魔王という存在が居なくなることだね」
「はぁ!?」
あまりにも突拍子もない考えに、幹部の女は口をあんぐり開ける。
そしてクリスを睨んだ。
「何ふざけたことを言っているの!? 魔王様がいるから、私たち魔族は暮らしていけるのよ!?」
「魔王は君たちを庇護しているんじゃなくて、支配して利用しているだけでしょ。そんな魔王はいらない」
「魔王様がいなければ、私たちは生きていけないのよ!?」
「いや、魔王が居なくても魔族は生きていけるよ。現にそういう魔族もいるんでしょ」
「あなたはわかっていないのよ……」
幹部の女が嘆くのをクリスは静かに見る。
そして少し考えて口を開いた。
「……僕のいた世界でも魔王と呼ばれる存在はいたよ」
「世界?」
「うん。僕は違う世界から来たんだ。その魔王はただの一国の国王で、国民たちを支配する存在ではなかったよ」
幹部の女は目を細めて口元に笑みを浮かべる。
「ああ、あなたはあの男と同じ世界から来たのね。道理で変わっているわけだわ」
「あの男?」
クリスは目を瞬く。自分たち以外にも召喚された者がいたことに驚いていた。
「私たちの仲間で、昔、魔王が試しに召喚した男がいるのよ。彼の語るもといた世界は、信じられないほど平和で自由で羨ましかったな。そしてその国の王は優しくて、国民を守ってくれる強い王だって言っていたわ。
私たちの魔王もそうだったらいいのに……」
「なら、そうなるように変えればいいんだ」
クリスが力強く言ったが、幹部の女は首を横に振る。
「言ったでしょ? 魔王様に勝てる者なんていないって」
「勝てなくても、変えることはできるかもしれないよ」
「魔王様は私たちの言うことなんて聞かないわ。というより、自分のことしか信じてないようだもの」
悲しそうに幹部の女は言った。
「……僕は王と名乗る者は少なくとも自分の味方の話は聞くべきだと思ってる」
クリスは幹部の女を力強く見る。魔王に対して怒っていた。
「魔王に何があったのか僕は知らない。けど、過去を理由に味方の話を聞かず、ただ利用するだけの者を僕は王とは認めない!」
幹部の女は目を見開いた後、苦笑する。
「ずいぶん偉そうなことを言うのね。けど、それでも私たちの魔王様なのよ。従うしかないわ」
「従う必要なんてない!」
「いえ、それしかないのよ。わからなくていいわ」
幹部の女は諦めたように首を振る。
「……そうかもしれない。けど、そうじゃないんだ」
クリスのはっきりしない答えに幹部の女は首を傾げる。
「どういう意味よ、それ?」
クリスは真顔で真っ直ぐ幹部の女を見た。
「確かに今はそうなのかもしれない。けど、それがもっとも生きるために確実な方法なのは間違っている」
「間違っている?」
幹部の女はポカンとして繰り返す。
「うん。僕たち魔族も魔王の支配や他種族との迫害と関係なしに生きるべきなんだ。魔族だからって差別されたり、生きづらいのは間違っている」
「理想論ね」
幹部の女は冷めた目で言った。
クリスは真顔で頷く。
「そうだね。けど、その理想を何百年経っても実現すべきだと僕は思う」
「……今まで何百年、何千年もできなかったのに?」
幹部の女はクリスを疑うように見る。
「できるよ。その中で1番簡単なのは、魔王という存在が居なくなることだね」
「はぁ!?」
あまりにも突拍子もない考えに、幹部の女は口をあんぐり開ける。
そしてクリスを睨んだ。
「何ふざけたことを言っているの!? 魔王様がいるから、私たち魔族は暮らしていけるのよ!?」
「魔王は君たちを庇護しているんじゃなくて、支配して利用しているだけでしょ。そんな魔王はいらない」
「魔王様がいなければ、私たちは生きていけないのよ!?」
「いや、魔王が居なくても魔族は生きていけるよ。現にそういう魔族もいるんでしょ」
「あなたはわかっていないのよ……」
幹部の女が嘆くのをクリスは静かに見る。
そして少し考えて口を開いた。
「……僕のいた世界でも魔王と呼ばれる存在はいたよ」
「世界?」
「うん。僕は違う世界から来たんだ。その魔王はただの一国の国王で、国民たちを支配する存在ではなかったよ」
幹部の女は目を細めて口元に笑みを浮かべる。
「ああ、あなたはあの男と同じ世界から来たのね。道理で変わっているわけだわ」
「あの男?」
クリスは目を瞬く。自分たち以外にも召喚された者がいたことに驚いていた。
「私たちの仲間で、昔、魔王が試しに召喚した男がいるのよ。彼の語るもといた世界は、信じられないほど平和で自由で羨ましかったな。そしてその国の王は優しくて、国民を守ってくれる強い王だって言っていたわ。
私たちの魔王もそうだったらいいのに……」
「なら、そうなるように変えればいいんだ」
クリスが力強く言ったが、幹部の女は首を横に振る。
「言ったでしょ? 魔王様に勝てる者なんていないって」
「勝てなくても、変えることはできるかもしれないよ」
「魔王様は私たちの言うことなんて聞かないわ。というより、自分のことしか信じてないようだもの」
悲しそうに幹部の女は言った。
「……僕は王と名乗る者は少なくとも自分の味方の話は聞くべきだと思ってる」
クリスは幹部の女を力強く見る。魔王に対して怒っていた。
「魔王に何があったのか僕は知らない。けど、過去を理由に味方の話を聞かず、ただ利用するだけの者を僕は王とは認めない!」
幹部の女は目を見開いた後、苦笑する。
「ずいぶん偉そうなことを言うのね。けど、それでも私たちの魔王様なのよ。従うしかないわ」
「従う必要なんてない!」
「いえ、それしかないのよ。わからなくていいわ」
幹部の女は諦めたように首を振る。
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