114 / 179
魔王、共闘する6
しおりを挟む
「くそっ、同じ魔族のくせにエルフどもと心中しようってのか!?」
「それ、どういう意味だい?」
聞き逃してはいけないものを感じて、クリスは眉をひそめた。
「魔王の命令で今回でエルフどもが従わなかったら、幹部の奴がここの奴らを皆殺しにすることになっているんだ。敵対されたら面倒だからってさ」
「なっ……!?」
あまりに身勝手な物言いにライアは絶句する。
「は? なんだいそれは?」
クリスの声に剣呑さが露になる。
「わかっただろ? なら俺を解放して魔王に従い……ブハッ!?」
男が全部言い終わる前に、ライアはその頬を殴りつけていた。
「ふざけるな! 誰がそんな奴に従うか!」
ライアの顔は怒りに満ちている。
口の中が切れたのか、男は血が混じった唾液をペッと吐き出す。
「正気か? 言っとくが幹部の奴らは俺なんかよりずっと強いぞ? お前らなんか簡単に殺せるぞ?」
「それでも従うことは我らの誇りが許さない」
ライアは毅然として言った後、クリスに頭を下げた。
「我々はここで徹底的に抗うつもりだ。だがこれ以上、無関係のあなたを巻き込むわけにはいかない。どうか、幹部とやらが来る前にこの村を出て行ってくれないか?」
「やだ。僕はここに残って一緒に戦う」
ライアは信じられなくて目を瞬く。
「しかし、あなたはこの村を助ける義理はないだろう?」
「だからって見捨てるのは後味悪いし、僕は魔王のやり方が気に入らないんだ」
全く意見を変えるつもりのないクリスに、ライアは苦笑いする。
「あなたはずいぶんとお人好しのようだ。だが正直、あなたが居てくれると心強い。
それでは改めて、クリスよ、我々に協力してくれないか?」
「もちろん!」
クリスは笑顔で答えた。
こうして、クリスはエルフたちと共に魔王の幹部たちと戦うことになった。
クリスは仲間たちのところに戻ると、エルフたちと話したことを伝えた。
「幹部と戦う!? あんた、正気なの!?」
サーニャが目を見開いて叫ぶ。
「正気だよ。別に冗談を言っているわけじゃない」
クリスが答えると、サーニャは頭を抱えた。
「あー、あんたがこんな冗談言う奴じゃなかったわ……」
「それで僕は戦うけど、君たちはちょっと離れたところで避難で大丈夫かい?」
クリスが聞くと、サーニャは頷く。
「当たり前でしょ。死にたくないもの」
オークたちも申し訳なさそうに頷いている。
「嫌です! 私も何か手伝います!」
そんな中、1人異議をとなえる者がいた。
「……メイ、君が僕たちと共に戦う理由はないんだよ」
「それ、クリス様も一緒ですよね」
言い返されてクリスは反論できない。
「……わかったよ。じゃあ、エルフたちのもとで後方支援の手伝いを頼めるかい?」
「はい!」
メイは嬉しそうに頷いた。
「そういえば、幹部ってそんなに強いのかい?」
クリスは気になったのでサーニャに聞く。
「強いわよ! 同じ魔族なのにこんなに違うのかってほど!
あんたなんかより……あ、いや」
勢い良く言っていた言葉が小さくなっていた。
「うん。あんたなら大丈夫だった」
サーニャはなぜか遠い目をする。
「別に無理に持ち上げなくていいよ」
「……いや、正直、私、あんたより強い魔族見たことなかったわ。うん、あんたなら大丈夫」
褒められているのに、なぜか呆れられているように感じるのはなんでだろう?
その時、エルフたちの方が騒がしくなった。
「それ、どういう意味だい?」
聞き逃してはいけないものを感じて、クリスは眉をひそめた。
「魔王の命令で今回でエルフどもが従わなかったら、幹部の奴がここの奴らを皆殺しにすることになっているんだ。敵対されたら面倒だからってさ」
「なっ……!?」
あまりに身勝手な物言いにライアは絶句する。
「は? なんだいそれは?」
クリスの声に剣呑さが露になる。
「わかっただろ? なら俺を解放して魔王に従い……ブハッ!?」
男が全部言い終わる前に、ライアはその頬を殴りつけていた。
「ふざけるな! 誰がそんな奴に従うか!」
ライアの顔は怒りに満ちている。
口の中が切れたのか、男は血が混じった唾液をペッと吐き出す。
「正気か? 言っとくが幹部の奴らは俺なんかよりずっと強いぞ? お前らなんか簡単に殺せるぞ?」
「それでも従うことは我らの誇りが許さない」
ライアは毅然として言った後、クリスに頭を下げた。
「我々はここで徹底的に抗うつもりだ。だがこれ以上、無関係のあなたを巻き込むわけにはいかない。どうか、幹部とやらが来る前にこの村を出て行ってくれないか?」
「やだ。僕はここに残って一緒に戦う」
ライアは信じられなくて目を瞬く。
「しかし、あなたはこの村を助ける義理はないだろう?」
「だからって見捨てるのは後味悪いし、僕は魔王のやり方が気に入らないんだ」
全く意見を変えるつもりのないクリスに、ライアは苦笑いする。
「あなたはずいぶんとお人好しのようだ。だが正直、あなたが居てくれると心強い。
それでは改めて、クリスよ、我々に協力してくれないか?」
「もちろん!」
クリスは笑顔で答えた。
こうして、クリスはエルフたちと共に魔王の幹部たちと戦うことになった。
クリスは仲間たちのところに戻ると、エルフたちと話したことを伝えた。
「幹部と戦う!? あんた、正気なの!?」
サーニャが目を見開いて叫ぶ。
「正気だよ。別に冗談を言っているわけじゃない」
クリスが答えると、サーニャは頭を抱えた。
「あー、あんたがこんな冗談言う奴じゃなかったわ……」
「それで僕は戦うけど、君たちはちょっと離れたところで避難で大丈夫かい?」
クリスが聞くと、サーニャは頷く。
「当たり前でしょ。死にたくないもの」
オークたちも申し訳なさそうに頷いている。
「嫌です! 私も何か手伝います!」
そんな中、1人異議をとなえる者がいた。
「……メイ、君が僕たちと共に戦う理由はないんだよ」
「それ、クリス様も一緒ですよね」
言い返されてクリスは反論できない。
「……わかったよ。じゃあ、エルフたちのもとで後方支援の手伝いを頼めるかい?」
「はい!」
メイは嬉しそうに頷いた。
「そういえば、幹部ってそんなに強いのかい?」
クリスは気になったのでサーニャに聞く。
「強いわよ! 同じ魔族なのにこんなに違うのかってほど!
あんたなんかより……あ、いや」
勢い良く言っていた言葉が小さくなっていた。
「うん。あんたなら大丈夫だった」
サーニャはなぜか遠い目をする。
「別に無理に持ち上げなくていいよ」
「……いや、正直、私、あんたより強い魔族見たことなかったわ。うん、あんたなら大丈夫」
褒められているのに、なぜか呆れられているように感じるのはなんでだろう?
その時、エルフたちの方が騒がしくなった。
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説

帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる