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魔王、共闘する6
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「くそっ、同じ魔族のくせにエルフどもと心中しようってのか!?」
「それ、どういう意味だい?」
聞き逃してはいけないものを感じて、クリスは眉をひそめた。
「魔王の命令で今回でエルフどもが従わなかったら、幹部の奴がここの奴らを皆殺しにすることになっているんだ。敵対されたら面倒だからってさ」
「なっ……!?」
あまりに身勝手な物言いにライアは絶句する。
「は? なんだいそれは?」
クリスの声に剣呑さが露になる。
「わかっただろ? なら俺を解放して魔王に従い……ブハッ!?」
男が全部言い終わる前に、ライアはその頬を殴りつけていた。
「ふざけるな! 誰がそんな奴に従うか!」
ライアの顔は怒りに満ちている。
口の中が切れたのか、男は血が混じった唾液をペッと吐き出す。
「正気か? 言っとくが幹部の奴らは俺なんかよりずっと強いぞ? お前らなんか簡単に殺せるぞ?」
「それでも従うことは我らの誇りが許さない」
ライアは毅然として言った後、クリスに頭を下げた。
「我々はここで徹底的に抗うつもりだ。だがこれ以上、無関係のあなたを巻き込むわけにはいかない。どうか、幹部とやらが来る前にこの村を出て行ってくれないか?」
「やだ。僕はここに残って一緒に戦う」
ライアは信じられなくて目を瞬く。
「しかし、あなたはこの村を助ける義理はないだろう?」
「だからって見捨てるのは後味悪いし、僕は魔王のやり方が気に入らないんだ」
全く意見を変えるつもりのないクリスに、ライアは苦笑いする。
「あなたはずいぶんとお人好しのようだ。だが正直、あなたが居てくれると心強い。
それでは改めて、クリスよ、我々に協力してくれないか?」
「もちろん!」
クリスは笑顔で答えた。
こうして、クリスはエルフたちと共に魔王の幹部たちと戦うことになった。
クリスは仲間たちのところに戻ると、エルフたちと話したことを伝えた。
「幹部と戦う!? あんた、正気なの!?」
サーニャが目を見開いて叫ぶ。
「正気だよ。別に冗談を言っているわけじゃない」
クリスが答えると、サーニャは頭を抱えた。
「あー、あんたがこんな冗談言う奴じゃなかったわ……」
「それで僕は戦うけど、君たちはちょっと離れたところで避難で大丈夫かい?」
クリスが聞くと、サーニャは頷く。
「当たり前でしょ。死にたくないもの」
オークたちも申し訳なさそうに頷いている。
「嫌です! 私も何か手伝います!」
そんな中、1人異議をとなえる者がいた。
「……メイ、君が僕たちと共に戦う理由はないんだよ」
「それ、クリス様も一緒ですよね」
言い返されてクリスは反論できない。
「……わかったよ。じゃあ、エルフたちのもとで後方支援の手伝いを頼めるかい?」
「はい!」
メイは嬉しそうに頷いた。
「そういえば、幹部ってそんなに強いのかい?」
クリスは気になったのでサーニャに聞く。
「強いわよ! 同じ魔族なのにこんなに違うのかってほど!
あんたなんかより……あ、いや」
勢い良く言っていた言葉が小さくなっていた。
「うん。あんたなら大丈夫だった」
サーニャはなぜか遠い目をする。
「別に無理に持ち上げなくていいよ」
「……いや、正直、私、あんたより強い魔族見たことなかったわ。うん、あんたなら大丈夫」
褒められているのに、なぜか呆れられているように感じるのはなんでだろう?
その時、エルフたちの方が騒がしくなった。
「それ、どういう意味だい?」
聞き逃してはいけないものを感じて、クリスは眉をひそめた。
「魔王の命令で今回でエルフどもが従わなかったら、幹部の奴がここの奴らを皆殺しにすることになっているんだ。敵対されたら面倒だからってさ」
「なっ……!?」
あまりに身勝手な物言いにライアは絶句する。
「は? なんだいそれは?」
クリスの声に剣呑さが露になる。
「わかっただろ? なら俺を解放して魔王に従い……ブハッ!?」
男が全部言い終わる前に、ライアはその頬を殴りつけていた。
「ふざけるな! 誰がそんな奴に従うか!」
ライアの顔は怒りに満ちている。
口の中が切れたのか、男は血が混じった唾液をペッと吐き出す。
「正気か? 言っとくが幹部の奴らは俺なんかよりずっと強いぞ? お前らなんか簡単に殺せるぞ?」
「それでも従うことは我らの誇りが許さない」
ライアは毅然として言った後、クリスに頭を下げた。
「我々はここで徹底的に抗うつもりだ。だがこれ以上、無関係のあなたを巻き込むわけにはいかない。どうか、幹部とやらが来る前にこの村を出て行ってくれないか?」
「やだ。僕はここに残って一緒に戦う」
ライアは信じられなくて目を瞬く。
「しかし、あなたはこの村を助ける義理はないだろう?」
「だからって見捨てるのは後味悪いし、僕は魔王のやり方が気に入らないんだ」
全く意見を変えるつもりのないクリスに、ライアは苦笑いする。
「あなたはずいぶんとお人好しのようだ。だが正直、あなたが居てくれると心強い。
それでは改めて、クリスよ、我々に協力してくれないか?」
「もちろん!」
クリスは笑顔で答えた。
こうして、クリスはエルフたちと共に魔王の幹部たちと戦うことになった。
クリスは仲間たちのところに戻ると、エルフたちと話したことを伝えた。
「幹部と戦う!? あんた、正気なの!?」
サーニャが目を見開いて叫ぶ。
「正気だよ。別に冗談を言っているわけじゃない」
クリスが答えると、サーニャは頭を抱えた。
「あー、あんたがこんな冗談言う奴じゃなかったわ……」
「それで僕は戦うけど、君たちはちょっと離れたところで避難で大丈夫かい?」
クリスが聞くと、サーニャは頷く。
「当たり前でしょ。死にたくないもの」
オークたちも申し訳なさそうに頷いている。
「嫌です! 私も何か手伝います!」
そんな中、1人異議をとなえる者がいた。
「……メイ、君が僕たちと共に戦う理由はないんだよ」
「それ、クリス様も一緒ですよね」
言い返されてクリスは反論できない。
「……わかったよ。じゃあ、エルフたちのもとで後方支援の手伝いを頼めるかい?」
「はい!」
メイは嬉しそうに頷いた。
「そういえば、幹部ってそんなに強いのかい?」
クリスは気になったのでサーニャに聞く。
「強いわよ! 同じ魔族なのにこんなに違うのかってほど!
あんたなんかより……あ、いや」
勢い良く言っていた言葉が小さくなっていた。
「うん。あんたなら大丈夫だった」
サーニャはなぜか遠い目をする。
「別に無理に持ち上げなくていいよ」
「……いや、正直、私、あんたより強い魔族見たことなかったわ。うん、あんたなら大丈夫」
褒められているのに、なぜか呆れられているように感じるのはなんでだろう?
その時、エルフたちの方が騒がしくなった。
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