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魔王、共闘する
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クリスたちが森の中を進んでいると、少し開けたところに素朴な集落があった。
人間の集落と様子が違うようだが、今の構成員ではいろいろ怪しまれるだろうから、特に寄らずに通り過ぎようとした。
すると、クリスの目の前を何かが鼻をかすめて通り過ぎる。
木に刺さったそれは、鳥の羽を用いた矢だった。
「え……」
クリスはびっくりしたが、すぐに我に返り、皆を囲む障壁を築く。
その後にいくつもの矢が障壁に当たった。
「姑息な魔族めが」
舌打ちをしながら現れたのは、長い色素の薄い髪をした青年たちで、皆矢をつがえていた。
そしてその耳は長く、魔族とは違う強力な魔力を持っているようだ。
「エルフ……!」
クリスが驚いていると、エルフたちの持つ矢の先端に魔力が集中し、放たれる。
(まずい!)
とっさに魔力を強めて障壁を強化するが、矢は障壁にヒビをいれた。
「うっそ……!」
サーニャが信じられなくて驚愕する。
今までにクリスの障壁を破ったのは聖剣だけで、魔力を使って破ったものはいなかったからだ。
クリスは障壁を修復しながら強化するが、矢の雨は止まらない。
「僕たちは君たちに危害を加えるつもりはない!」
クリスは叫んだが、エルフの代表らしき男は鼻で笑った。
「何を戯れ言を。魔族が我々にしてきたことを忘れたというのか?」
その言葉に疑問を持ったクリスはサーニャにこっそり聞く。
「ねぇ、魔族とエルフって仲悪いのかい?」
「……ものすごく悪いわよ。エルフは魔王様や私たち魔族を嫌っているし、なんか反りが合わないらしいの」
クリスは唸った。
確かにヒオン国でも互いをライバル視しているような関係だったが、ここではそんな生易しい関係ではないようだ。
「しぶとい魔族だな」
エルフの1人が顔をしかめながら呟いた。
先ほどから魔力を集中させた矢を放っているのに、障壁は壊れるところかむしろ強化され、ヒビさえ入らなくなっているからだろう。
これはクリスが修復しながら魔力を障壁に込めているからだった。
だが、これで諦めてくれというクリスの願いは通じなかった。
「これで通じないなら、強化するだけだ!」
そう言ってエルフたちは2人1組になる。
「……何やっているのよ、あれ?」
サーニャは首を傾げるが、クリスは危機感を覚え障壁をさらに強化した。
そして先ほどよりも少ない矢が放たれ、ピシッと強化した障壁にヒビをいれる。
「え、え!?」
サーニャたちは目を丸くする。
クリスは冷や汗をかいていた。
エルフたちがやったのは、矢の先端に集中する魔力を2人分に増やすことである。ようは魔力が2倍になったのだ。
2人が矢の先端のような小さな点に魔力を合わせて集中させることはかなりの技術が必要だ。通常は他者の魔力同士は反発するのだから。そのため何組かは失敗し、先端に魔力は宿っていない矢もある。
それでも成功している組があることが問題だった。
魔法の強さは魔力の濃度で決まる。
皆を守るために広い障壁を築くクリスと、矢の先端のみに集中させているエルフたちではクリスの方が不利だった。
「……仕方ないか」
攻撃はなるべくしたくなかったが、やられるわけにはいかない。
クリスは障壁を維持しながら、足元に魔力を集中させる。
途端、弓を引いていたエルフたちに蔓草が襲いかかる。
「なっ!」
思ってもみなかった攻撃に何人かのエルフたちが捕まった。
「なぜ、魔族がこの魔法を!」
驚愕しているエルフたちに、クリスはシャルルを抜いて近づく。
そして素早く弓の弦を切断していった。
「小癪な!」
人間の集落と様子が違うようだが、今の構成員ではいろいろ怪しまれるだろうから、特に寄らずに通り過ぎようとした。
すると、クリスの目の前を何かが鼻をかすめて通り過ぎる。
木に刺さったそれは、鳥の羽を用いた矢だった。
「え……」
クリスはびっくりしたが、すぐに我に返り、皆を囲む障壁を築く。
その後にいくつもの矢が障壁に当たった。
「姑息な魔族めが」
舌打ちをしながら現れたのは、長い色素の薄い髪をした青年たちで、皆矢をつがえていた。
そしてその耳は長く、魔族とは違う強力な魔力を持っているようだ。
「エルフ……!」
クリスが驚いていると、エルフたちの持つ矢の先端に魔力が集中し、放たれる。
(まずい!)
とっさに魔力を強めて障壁を強化するが、矢は障壁にヒビをいれた。
「うっそ……!」
サーニャが信じられなくて驚愕する。
今までにクリスの障壁を破ったのは聖剣だけで、魔力を使って破ったものはいなかったからだ。
クリスは障壁を修復しながら強化するが、矢の雨は止まらない。
「僕たちは君たちに危害を加えるつもりはない!」
クリスは叫んだが、エルフの代表らしき男は鼻で笑った。
「何を戯れ言を。魔族が我々にしてきたことを忘れたというのか?」
その言葉に疑問を持ったクリスはサーニャにこっそり聞く。
「ねぇ、魔族とエルフって仲悪いのかい?」
「……ものすごく悪いわよ。エルフは魔王様や私たち魔族を嫌っているし、なんか反りが合わないらしいの」
クリスは唸った。
確かにヒオン国でも互いをライバル視しているような関係だったが、ここではそんな生易しい関係ではないようだ。
「しぶとい魔族だな」
エルフの1人が顔をしかめながら呟いた。
先ほどから魔力を集中させた矢を放っているのに、障壁は壊れるところかむしろ強化され、ヒビさえ入らなくなっているからだろう。
これはクリスが修復しながら魔力を障壁に込めているからだった。
だが、これで諦めてくれというクリスの願いは通じなかった。
「これで通じないなら、強化するだけだ!」
そう言ってエルフたちは2人1組になる。
「……何やっているのよ、あれ?」
サーニャは首を傾げるが、クリスは危機感を覚え障壁をさらに強化した。
そして先ほどよりも少ない矢が放たれ、ピシッと強化した障壁にヒビをいれる。
「え、え!?」
サーニャたちは目を丸くする。
クリスは冷や汗をかいていた。
エルフたちがやったのは、矢の先端に集中する魔力を2人分に増やすことである。ようは魔力が2倍になったのだ。
2人が矢の先端のような小さな点に魔力を合わせて集中させることはかなりの技術が必要だ。通常は他者の魔力同士は反発するのだから。そのため何組かは失敗し、先端に魔力は宿っていない矢もある。
それでも成功している組があることが問題だった。
魔法の強さは魔力の濃度で決まる。
皆を守るために広い障壁を築くクリスと、矢の先端のみに集中させているエルフたちではクリスの方が不利だった。
「……仕方ないか」
攻撃はなるべくしたくなかったが、やられるわけにはいかない。
クリスは障壁を維持しながら、足元に魔力を集中させる。
途端、弓を引いていたエルフたちに蔓草が襲いかかる。
「なっ!」
思ってもみなかった攻撃に何人かのエルフたちが捕まった。
「なぜ、魔族がこの魔法を!」
驚愕しているエルフたちに、クリスはシャルルを抜いて近づく。
そして素早く弓の弦を切断していった。
「小癪な!」
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