107 / 179
魔王、料理する2
しおりを挟む
「……カレーですか」
「うん、カレーなら何入れても美味しいって聞いたことあるから、この材料でもいけると思う!」
力強くクリスは言うが、問題は別のところにある。
「……クリス様、カレーには専用のスパイスが必要なことは御存じですか?」
見たところ、調味料は塩と砂糖と蜂蜜のみで、カレーを作るためのスパイスは見当たらない。
クリスはキョトンとする。
「これじゃダメなのかい?」
「少なくともカレーを作るのは難しいと思います」
ジョセフもカレーのスパイスに何が必要なのか知らないが、ここにある調味料でできないことは知っている。
「……チョコレートを刻んで代わりにできないかな?」
「味が全く違いますよね」
そもそもなぜ調味料は少ないのに、お菓子の種類は充実しているのだろう? クリスがポケットから出したものにはグミや飴、マカロンまである。
「砂糖やミルクが少ないチョコレートは苦いから、代わりとかいけると思うんだけど」
「無理でしょう」
クリスは数種類のチョコレートをポケットから出した。
なぜチョコレートの種類はそんなにあるのだろう?
「もともと辛いカレーは好きじゃないから、甘口ということにしよう」
「そういう問題ではありません」
確かにクリスは辛いのが苦手でカレーも甘口だが、甘口にもほどがある。
「まぁ、意外と似たようなものができるかもしれないよ?」
クリスはポケットから探し出したナイフでチョコレートを刻み始める。
こうして、カレーみたいなチョコレートのごった煮の調理は開始されたのだった。
クリスは野菜を一口大に切っていく。
幸い、剣や短剣の扱いの修練は積んでいるせいか怪我することはなかったが、ジョセフはそれ以上に気になることがあった。
「クリス様、なぜほとんどの野菜の皮を剥かれないのです?」
クリスの切った野菜は皮が剥かれてなかったり、芯が残ったままのものばかりだった。
クリスはキョトンとする。
「え、皮って? じゃがいもとかは剥いているよ?」
確かにじゃがいもの皮は剥いてある。
だが、大根や人参の皮は剥いていない。
「……クリス様、大根や人参にも皮はあるのですよ」
「そうなのかい!?」
目を大きくして驚くところを見るに、本当に知らなかったらしい。
この様子なら、芯がある野菜も知らないのだろう。
ジョセフは時間が経てば経つほど加速する不安で頭が痛くなる。
「じゃあ、ジョセフ、どの野菜の皮が残っているか教えてよ!」
クリスの頼みに、ジョセフは切られた野菜から皮がついたままのものや芯が取れていないものを拾い出し、丁寧に説明する。
ただ、全部の野菜について知っているわけではなかったため、拾い上げなかったものの中に芯が残ったものがまだあったことに、ジョセフは気づかなかった。
そして次の過程にいく時に更なる問題があることに気がつく。
「……クリス様、鍋はどこでしょう?」
「……すっかり忘れてた」
肝心の鍋がないことに料理をほとんどしたことない2人は、直前まで気がつかなかったのである。
「うん、カレーなら何入れても美味しいって聞いたことあるから、この材料でもいけると思う!」
力強くクリスは言うが、問題は別のところにある。
「……クリス様、カレーには専用のスパイスが必要なことは御存じですか?」
見たところ、調味料は塩と砂糖と蜂蜜のみで、カレーを作るためのスパイスは見当たらない。
クリスはキョトンとする。
「これじゃダメなのかい?」
「少なくともカレーを作るのは難しいと思います」
ジョセフもカレーのスパイスに何が必要なのか知らないが、ここにある調味料でできないことは知っている。
「……チョコレートを刻んで代わりにできないかな?」
「味が全く違いますよね」
そもそもなぜ調味料は少ないのに、お菓子の種類は充実しているのだろう? クリスがポケットから出したものにはグミや飴、マカロンまである。
「砂糖やミルクが少ないチョコレートは苦いから、代わりとかいけると思うんだけど」
「無理でしょう」
クリスは数種類のチョコレートをポケットから出した。
なぜチョコレートの種類はそんなにあるのだろう?
「もともと辛いカレーは好きじゃないから、甘口ということにしよう」
「そういう問題ではありません」
確かにクリスは辛いのが苦手でカレーも甘口だが、甘口にもほどがある。
「まぁ、意外と似たようなものができるかもしれないよ?」
クリスはポケットから探し出したナイフでチョコレートを刻み始める。
こうして、カレーみたいなチョコレートのごった煮の調理は開始されたのだった。
クリスは野菜を一口大に切っていく。
幸い、剣や短剣の扱いの修練は積んでいるせいか怪我することはなかったが、ジョセフはそれ以上に気になることがあった。
「クリス様、なぜほとんどの野菜の皮を剥かれないのです?」
クリスの切った野菜は皮が剥かれてなかったり、芯が残ったままのものばかりだった。
クリスはキョトンとする。
「え、皮って? じゃがいもとかは剥いているよ?」
確かにじゃがいもの皮は剥いてある。
だが、大根や人参の皮は剥いていない。
「……クリス様、大根や人参にも皮はあるのですよ」
「そうなのかい!?」
目を大きくして驚くところを見るに、本当に知らなかったらしい。
この様子なら、芯がある野菜も知らないのだろう。
ジョセフは時間が経てば経つほど加速する不安で頭が痛くなる。
「じゃあ、ジョセフ、どの野菜の皮が残っているか教えてよ!」
クリスの頼みに、ジョセフは切られた野菜から皮がついたままのものや芯が取れていないものを拾い出し、丁寧に説明する。
ただ、全部の野菜について知っているわけではなかったため、拾い上げなかったものの中に芯が残ったものがまだあったことに、ジョセフは気づかなかった。
そして次の過程にいく時に更なる問題があることに気がつく。
「……クリス様、鍋はどこでしょう?」
「……すっかり忘れてた」
肝心の鍋がないことに料理をほとんどしたことない2人は、直前まで気がつかなかったのである。
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説

帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【完結】隣国の王子の下に嫁いだ姫と幸せになる方法
光城 朱純
ファンタジー
王女が幼い頃から護衛騎士として仕えていたアイシュタルト。
王女への想いは既に護衛騎士のあるべきものを越え、王女の結婚すら素直に祝福が出来ない。
姫を忘れることのできないアイシュタルトは思いもよらぬ命令を受け、我慢できずに国を飛び出した。
姫が嫁いだ国とはまた別の国で生きていこうと決めたアイシュタルトが出会ったのは初めての友人。彼との出会いが、城の中という狭い世界で生きてきたアイシュタルトに、たくさんの感情を与える。
彼との旅は楽しくとも、気にかかるのは姫のこと。姫が嫁いだ国の噂はどれも不穏なものばかり。
姫は幸せに暮らしているのか。
もしそうでなければ、この手に奪い返してしまうかもしれない。
姫を忘れるための旅が、姫を救う旅へと姿を変えていく。
魔法も知識もないただの護衛騎士が、その気持ちを貫いていくーー
表紙はAI様に作成していただきました。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる