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魔王、選択する9
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クリスは少しの間呆然としていたが、我に返るとラヌルに近づき、怪我の様子を見る。
そこら中の骨が折れていて、出血も酷かった。
クリスは骨を正常と思える位置に直し、回復魔法をかける。
回復魔法はあくまで治癒を促進する魔法であるため、骨の位置が正しくないと変な風につながってしまうのだ。
この作業をしている時、ラヌルは時おり呻くことがあった。
起きたら再びクリスを襲うと考えられるので、怪我を治癒すると面倒なことになるかもしれない。
だが、クリスは子どもと融合させられたかもしれないこのラヌルを放っておくことはできなかった。
「よし……」
ラヌルの治療を終えると、クリスはポケットから植物の種を取り出した。
植物魔法で蔓草に成長させ、ラヌルを身動きできないように厳重にぐるぐる巻きにする。
もし暴れてまた怪我をしたら大変だからだ。
そして帽子をかぶり、部屋を出て行こうとする。
「おい、俺も連れて行け!」
クリスの背中にシャルルが声をかけた。
クリスは息を吐いて、振り返る。
「使うかわからないけど、それでもいいかい?」
「あー、それでもいい!
けど、いざとなったら使えよな!」
クリスはシャルルに近づき、持つ。
なんだかんだ言いつつ、聖剣を持つことに慣れてきている自分に苦笑する。
肩に何かが乗る感触がした。
見ると、まだ眠そうなジョセフが乗っている。
「……ついてくるのかい?」
「クリス様1人だと無茶しかねませんから」
クリスはジョセフを撫でると、前を向き、部屋の外に出て向かう。
この騒動の元凶だと思われる人物の元へ怒りを抱きながら。
クリスはイリエを探した。
イリエの魔力で探す方法もあるが、クリスはあいにくその手の魔法が苦手だった。
「どこ行ったんだろう?」
廊下で立ち止まり、クリスは首を傾げる。
洋館中を走り回ったのだが、イリエの姿を見つけられなかったのだ。
念のためにサーニャやオークたちの部屋も見回ったのだが、見つからない。
ちなみに、襲撃されていたのはクリスの部屋だけだったらしく、他の部屋には襲撃の跡はなかった。
すると、肩に乗っていたジョセフがピョンと床に降りる。
「ジョセフ?」
「気になるところがありました。ついてきてください」
そして廊下を駆け出す。
こんな時くらいヒト型になればいいのに、とクリスは苦笑するが、ネズミの足は意外と速い。
早歩きをしてジョセフについて行き、たどり着いたのは本に囲まれた部屋だった。おそらく書斎だろう。
「ここが、どうかしたのかい?」
クリスはなぜ、ジョセフがこの部屋に来たのかわからず、キョロキョロする。
ジョセフが床を駆け、ある一点で立ち止まった。
「こちらです」
クリスは首を傾げる。
そこは一見、何のへんてつもないところだったからだ。
「ここかい?」
クリスはしゃがんで床を凝視する。
よくよく観察すると、1人分くらいが入る大きさの正方形の切れ目がある。
「隠し扉!?」
ジョセフは頷く。
「ここを歩いていた時、足音に違和感がありましたので……」
クリスは慎重に床の板を外す。
そこに現れたのは地下へと続く階段だった。
クリスはその階段をゆっくりと下りた。
そこら中の骨が折れていて、出血も酷かった。
クリスは骨を正常と思える位置に直し、回復魔法をかける。
回復魔法はあくまで治癒を促進する魔法であるため、骨の位置が正しくないと変な風につながってしまうのだ。
この作業をしている時、ラヌルは時おり呻くことがあった。
起きたら再びクリスを襲うと考えられるので、怪我を治癒すると面倒なことになるかもしれない。
だが、クリスは子どもと融合させられたかもしれないこのラヌルを放っておくことはできなかった。
「よし……」
ラヌルの治療を終えると、クリスはポケットから植物の種を取り出した。
植物魔法で蔓草に成長させ、ラヌルを身動きできないように厳重にぐるぐる巻きにする。
もし暴れてまた怪我をしたら大変だからだ。
そして帽子をかぶり、部屋を出て行こうとする。
「おい、俺も連れて行け!」
クリスの背中にシャルルが声をかけた。
クリスは息を吐いて、振り返る。
「使うかわからないけど、それでもいいかい?」
「あー、それでもいい!
けど、いざとなったら使えよな!」
クリスはシャルルに近づき、持つ。
なんだかんだ言いつつ、聖剣を持つことに慣れてきている自分に苦笑する。
肩に何かが乗る感触がした。
見ると、まだ眠そうなジョセフが乗っている。
「……ついてくるのかい?」
「クリス様1人だと無茶しかねませんから」
クリスはジョセフを撫でると、前を向き、部屋の外に出て向かう。
この騒動の元凶だと思われる人物の元へ怒りを抱きながら。
クリスはイリエを探した。
イリエの魔力で探す方法もあるが、クリスはあいにくその手の魔法が苦手だった。
「どこ行ったんだろう?」
廊下で立ち止まり、クリスは首を傾げる。
洋館中を走り回ったのだが、イリエの姿を見つけられなかったのだ。
念のためにサーニャやオークたちの部屋も見回ったのだが、見つからない。
ちなみに、襲撃されていたのはクリスの部屋だけだったらしく、他の部屋には襲撃の跡はなかった。
すると、肩に乗っていたジョセフがピョンと床に降りる。
「ジョセフ?」
「気になるところがありました。ついてきてください」
そして廊下を駆け出す。
こんな時くらいヒト型になればいいのに、とクリスは苦笑するが、ネズミの足は意外と速い。
早歩きをしてジョセフについて行き、たどり着いたのは本に囲まれた部屋だった。おそらく書斎だろう。
「ここが、どうかしたのかい?」
クリスはなぜ、ジョセフがこの部屋に来たのかわからず、キョロキョロする。
ジョセフが床を駆け、ある一点で立ち止まった。
「こちらです」
クリスは首を傾げる。
そこは一見、何のへんてつもないところだったからだ。
「ここかい?」
クリスはしゃがんで床を凝視する。
よくよく観察すると、1人分くらいが入る大きさの正方形の切れ目がある。
「隠し扉!?」
ジョセフは頷く。
「ここを歩いていた時、足音に違和感がありましたので……」
クリスは慎重に床の板を外す。
そこに現れたのは地下へと続く階段だった。
クリスはその階段をゆっくりと下りた。
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