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魔王誕生(?)秘話3
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シリウスはため息をつきたいのを堪えた。
あえて人間と交流を断った弊害か、人間たちは自分たちではどうしようもない災害の責任を押し付けてきたのだ。
これだけは言っておかなければと、シリウスは男の目を真っ直ぐ見る。
「……それは私たちのせいではない」
「嘘をつくな!」
男は憎悪のこもった目でシリウスを睨み、激しい斬撃を放った。
それをシリウスはなんとか受け止める。
「お前たちが世界を滅亡させるためにいろいろ画策していることは知っている! こんな国モドキなど作って、異種族を集めてなぁ!」
とんだ被害妄想に、シリウスの顔が険しくなる。
この国は、人間に関わらず、異種族が自由に平和に暮らすために築いてきたものだ。それをそんな歪んだ解釈をされるとは思ってもみなかった。
身体強化魔法を駆使し、シリウスは男の剣を弾く。
男とシリウスの間に距離ができた。
「なぁ、魔王? お前、そんなに人間が憎いのか? なんの罪もない奴らを殺すくらい?」
「……だから私たちはやっていないと言ったが?」
「嘘をつくな!」
「ついていない!」
吼える男に負けじとシリウスも叫ぶ。
「ああ、そうだ! 私は人間が嫌いだ!
特に何も罪のない者を異種族だからと殺す精神が嫌いだ!
だから私はそんな奴らと同じになりたくないから、罪もない者に手を掛けないことを魂に誓っているんだ!」
「ふざけたことを!」
男が斬りかかったのをシリウスは受け止める。
「じゃあ、聞くが!なぜ、お前は罪のない者を手にかけた!? 明らかに何も関係していない子供に手をかけた!?」
「人間で生まれなかった時点で罪なんだよ!」
男の言い草に、シリウスの中の何かが切れた。
「……わかった」
ひときわ落ち着いた低い声で言うと、男の剣を身体強化魔法を全開にして、弾く。
そして、剣先を男に向けた。
「言葉が通じると思ったのが、間違いだった。
お前は、私が責任を持って斬る」
「やれるもんならやってみろ!」
男はいっそう強く剣を振り下ろす。
それをシリウスは受け止める。
息もつかせぬ攻防だが、シリウスの方が押されていた。
男はおそらく、人間のなかでも高い剣術の腕を持っているのだろう。
対してシリウスは、剣はたまに趣味で行うくらいで、けして強いというわけではなかった。
それでもシリウスがなんとか男の剣を受け止めることができるのは、シリウスの身体強化魔法が群を抜いて強力だからだ。
だからこそ、男の猛攻を受け止めることができるのである。
だが、それも防ぐのが精一杯で、攻撃に転ずることはできない。
服に、髪に、皮膚に、浅いとはいえ、防ぎきれなかった傷が増えていく。
それでも、シリウスの目は光を失っていなかった。
致命的な一撃をすべて受け止めるか躱すかを繰り返す。
だが、それも限界がきた。
シリウスの背中が壁にぶつかったのだ。
男が残虐にニィと嗤う。
「これで終わりだ!」
男がとどめの一撃をくわえるために大きく振りかぶった。
その時、男の立っていた地面が消えた。
「は?」
何が起こったかわからない男は、一瞬呆ける。
その一瞬を、シリウスは見逃さなかった。
シリウスは一歩踏み出し、男の脇から反対の胸へと斜めに一直線に斬る。
男もすぐにシリウスを斬ったが、体勢を崩していたためうまく力が入らず、浅い傷をつけただけだ。
そして、そのまま引力に従い、穴へと落ちていった。
あえて人間と交流を断った弊害か、人間たちは自分たちではどうしようもない災害の責任を押し付けてきたのだ。
これだけは言っておかなければと、シリウスは男の目を真っ直ぐ見る。
「……それは私たちのせいではない」
「嘘をつくな!」
男は憎悪のこもった目でシリウスを睨み、激しい斬撃を放った。
それをシリウスはなんとか受け止める。
「お前たちが世界を滅亡させるためにいろいろ画策していることは知っている! こんな国モドキなど作って、異種族を集めてなぁ!」
とんだ被害妄想に、シリウスの顔が険しくなる。
この国は、人間に関わらず、異種族が自由に平和に暮らすために築いてきたものだ。それをそんな歪んだ解釈をされるとは思ってもみなかった。
身体強化魔法を駆使し、シリウスは男の剣を弾く。
男とシリウスの間に距離ができた。
「なぁ、魔王? お前、そんなに人間が憎いのか? なんの罪もない奴らを殺すくらい?」
「……だから私たちはやっていないと言ったが?」
「嘘をつくな!」
「ついていない!」
吼える男に負けじとシリウスも叫ぶ。
「ああ、そうだ! 私は人間が嫌いだ!
特に何も罪のない者を異種族だからと殺す精神が嫌いだ!
だから私はそんな奴らと同じになりたくないから、罪もない者に手を掛けないことを魂に誓っているんだ!」
「ふざけたことを!」
男が斬りかかったのをシリウスは受け止める。
「じゃあ、聞くが!なぜ、お前は罪のない者を手にかけた!? 明らかに何も関係していない子供に手をかけた!?」
「人間で生まれなかった時点で罪なんだよ!」
男の言い草に、シリウスの中の何かが切れた。
「……わかった」
ひときわ落ち着いた低い声で言うと、男の剣を身体強化魔法を全開にして、弾く。
そして、剣先を男に向けた。
「言葉が通じると思ったのが、間違いだった。
お前は、私が責任を持って斬る」
「やれるもんならやってみろ!」
男はいっそう強く剣を振り下ろす。
それをシリウスは受け止める。
息もつかせぬ攻防だが、シリウスの方が押されていた。
男はおそらく、人間のなかでも高い剣術の腕を持っているのだろう。
対してシリウスは、剣はたまに趣味で行うくらいで、けして強いというわけではなかった。
それでもシリウスがなんとか男の剣を受け止めることができるのは、シリウスの身体強化魔法が群を抜いて強力だからだ。
だからこそ、男の猛攻を受け止めることができるのである。
だが、それも防ぐのが精一杯で、攻撃に転ずることはできない。
服に、髪に、皮膚に、浅いとはいえ、防ぎきれなかった傷が増えていく。
それでも、シリウスの目は光を失っていなかった。
致命的な一撃をすべて受け止めるか躱すかを繰り返す。
だが、それも限界がきた。
シリウスの背中が壁にぶつかったのだ。
男が残虐にニィと嗤う。
「これで終わりだ!」
男がとどめの一撃をくわえるために大きく振りかぶった。
その時、男の立っていた地面が消えた。
「は?」
何が起こったかわからない男は、一瞬呆ける。
その一瞬を、シリウスは見逃さなかった。
シリウスは一歩踏み出し、男の脇から反対の胸へと斜めに一直線に斬る。
男もすぐにシリウスを斬ったが、体勢を崩していたためうまく力が入らず、浅い傷をつけただけだ。
そして、そのまま引力に従い、穴へと落ちていった。
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