その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

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魔王、弟子をとる?3

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 勇者がクリスの弟子入りを頼んでから数日、毎日のように勇者は来た。
 そして弟子入りか、そうでなければ聖剣について話せとせがまれた。
 クリスは両方とも断っているが、勇者は全く諦める様子がないので、さすがに辟易している。

「諦めて、弟子にしたら?」

 全く首を縦に振らないクリスに、サーニャが呆れて言う。

「そうですね、あんなに一生懸命なんですし、受け入れてあげてもいいのではないですか?」

 メイまでそんなことを言っている。
 しかもオークたちまでうんうんと頷いている。
 このなかでクリスに同意しているのは、ネズミに変身しているジョセフだけだった。
 クリスはため息をつく。

「やだ」

 クリスは頑固に言い放つ。
 周りからため息をつく音がたくさん聞こえた。

「そんなにあいつが強くなるのが嫌なの?」
「そうだよ」
「頑固ジジイ……」

 ボソッと放ったサーニャの悪口に、クリスはさすがにむっとした。

「言っておくけど、僕の世界の魔王と呼ばれているのは僕らの国の王なんだ。死んだらいろいろ、国政に支障が出るんだよ」

 それに、とクリスは続ける。

「王が倒れたら、勇者たちが国民に何をするかわからない。だから死ぬわけにはいかないんだ」

 メイやサーニャ、オークたちが首を傾げる。

「……あの方が、何か悪いことをするとは思えませんが?」
「正義のために虐殺することもあるのに?」

 クリスの言葉にメイは息を飲んだ。

「最初に来た勇者は、国民の半分を聖剣で殺したそうだよ。ただ、静かに暮らしていただけなのに……」

 クリスは吐き捨てた。
 なんとか初代国王が勇者を倒したが、それでも被害は大きかったらしい。
 そんな悲劇を繰り返したくないから、勇者に対して対策を練っているのだ。

「だから、勇者を強くしたくないし、少しでも力を貸したくないんだ。わかった?」

 その場にいた全員が黙って頷いた。
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