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魔王、寝込みを襲われる?2
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聖剣で空いた結界の穴を潜り、ヨハンは聖剣の鞘で魔族の男を突っつく。
「おい、こら、起きろ!」
ヨハンが声をかけるが、魔族の男は鬱陶しそうに鞘を手で払って規則正しい寝息をたてるだけである。
「起きろってば!」
さらに声を荒らげると、魔族の男は薄ら目を開いた。そしてヨハンを寝ぼけ眼で睨み付ける。
「うるさい」
昼間は聞いたことなかった低く威圧する声にヨハンは一瞬、身を竦ませる。
魔族の男はその隙を見逃さずにヨハンの腕を掴んだ。
そのまま、上へ放り投げる。
「え、うわぁー!?」
「ヨハン!?」
ヨハンの体は木よりも高く舞い上がり、猛スピードで落下しだす。
「くっ、風よ、かの者を包み込め!」
グレイが大急ぎで風の魔法を使うが、元々回復魔法以外はほとんど鍛錬していないため、威力が足りない。
ヨハンはドサドサッと枝に阻まれながら地面に落ちようとした時だった。
「グガゴッ!」
間一髪でヨハンの体を結界から出た1匹のオークが受け止めた。
「あ、ありがとう……」
ヨハンは放心しながらも、なんとかお礼を言う。
「グゲゲ、グガゴガ?」
「……えっと、なんとか無事だ」
何を言われたかわからなかったが、心配されていることはわかったためそう答える。
「ヨハン、大丈夫か?」
少し遅れてグレイが近寄って来た。
「ああ、こいつに助けてもらったからな」
「そうか、ありがとう」
ヨハンがオークを指すと、グレイもお礼を言う。
オークは気にしなくていいと、手を軽く振った。
オークから下ろしてもらったヨハンは元凶の魔族の男を見たが、気づいてないようでよく眠っている。
「……朝になってから、勝負することにする」
そう言ってその日は2人とも帰って行った。
次の日の朝、仏頂面の2人を見て当の魔族の男から「何かあったのかい?」と聞かれた。
昨晩のことを全く覚えていない魔族の男に腹が立って、その日はいつも以上に苛烈に立ち向かったヨハンであった。
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少し遅れてグレイが近寄って来た。
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「そうか、ありがとう」
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「……朝になってから、勝負することにする」
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次の日の朝、仏頂面の2人を見て当の魔族の男から「何かあったのかい?」と聞かれた。
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