その勇者、実は魔王(改訂版)

そこら辺の人🏳️

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魔王、質問責めに合う

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 茶色いローブの少女、ルディアが勇者一行について行ったのは、魔族などの異種族に会うためである。

 幼い頃、学校で異種族についての授業があり、ルディアは驚嘆した。
 高い魔力を誇る魔族やエルフ、人間よりも高い身体能力を持つ獣人、もの作りのエキスパートであるドワーフなど、聞けば聞くほど興味が湧いた。

 だが、ルディアのいた国では人間しか住んでおらず、周りの国でも住んでいるという話も聞かず、異種族に会うことはなかった。

 そんな中、ルディアの魔法の師匠である老爺が言った。

 今、ほとんどの異種族は結界の向こうの魔王が治める国にいる、と。

 つまり、魔王を倒す勇者について行けば、異種族に会うことができる!

 そう思い、勇者のパーティーにはいるために血のにじむ努力をし、魔法を極めた。

 そして今年、魔法の腕が認められたのと、幼なじみのヨハンが勇者として選らばれたことにより、めでたく、ルディアは勇者パーティーの一員となることができた。

 だが、憧れの国では、会う異種族は兵士なのか大抵甲冑を着ており、肝心の顔や異種族の特徴が見られなかった。

 無論、話もできず、異種族に会うことを楽しみにしていたルディアは落胆した。
 


 そして現在、目の前に魔族がいる。

 しかも、ヨハンのことを「勇者」と呼んだということは、ルディアたちの世界の魔族である可能性が高い。

 魔族と話したいと言ったら、危ないからと反対されそうなので、こっそり、皆と離れてここに来た。

 そして勇気を振り絞って質問したのだ。

「......えっと、お肉とかパンとか野菜とか、たぶん、人間と変わらないと思うよ?」

 戸惑いながらも、魔族の青年は答える。

 答えてくれたことにルディアは飛び跳ねたいほど歓喜した。

 先ほどの戦いの様子から、学校での授業でよく言われている、こちらを問答無用で殺すような凶悪な魔族ではないと思ってはいた。
 だが、ルディアの下らない質問に答えてくれるかはわからなかったのだ。

「じゃあ、やっぱり魔族は、普段、夜起きて昼間は寝ているんですか? 魔族は幽霊が見えるって本当ですか? 魔力を高めるためになにかしていることはありますか?」
「ちょ、ちょっと、落ち着いて……」

 我を忘れて詰め寄って来るルディアに、魔族の青年はのけ反った。
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