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魔王、聖剣に話す
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オークを退治する前に、上空に女がいると聞いて、クリスは念のために村を覆う結界を張っていた。
そのため、魔法による攻撃を防ぐことができたが、もし、始めから連携して攻撃されていたら、村は大惨事だっただろう。
上空にいた魔族の女を気絶させたあと、クリスは彼女もオークたちと共に植物の蔓でぐるぐる巻きにした。
そうして簡単な結界で覆うと、偵察に出て行かせたジョセフが戻って来る。
「他に、残党はいなかった?」
いない、とネズミの姿の側近は首を横に振った。
ジョセフはこの場で話す気もヒト型になる気もないらしい。
「ねぇ……」
とりあえず、クリスは近くにいた村の男に話しかけようとした。
だが、その男は顔を青ざめて逃げてしまう。
仕方がないので、村を歩いていると、逃げていく人間のなかに逃げない者がいた。
いや、正確には怪我をして逃げられない者が。
クリスはその人間に近づく。
「な、なにをする気だ!」
怪我をした男を守ろうとするように、一人の勇敢な男がクリスの前に立ちはだかる。
クリスはため息をついた。
「ちょっと退いて」
だが、男は退こうとしない。
仕方なく、クリスが強引に退かそうとすると、触れると呪われると思ったのか、男は飛びのく。
なんの邪魔もなくなったため、クリスは怪我人に近づくことができた。
呼吸はあったが、意識はなく、頭から血を流して、片腕と片脚がいびつに曲がっていた。
クリスは頭から少し離したところで手をかざす。
すると、クリスの手の平から温かな光が放たれた。
しばらく当てたあと、曲がった腕と脚を伸ばしてから、同じように光を当てる。
光を当て終わったあと、クリスは黙ってその場を後にした。
「おい、大丈夫か!?」
クリスが立ち去った後、怪我人を庇おうとした男が怪我人を揺すった。
「……うるさいなぁ」
怪我をした男はゆっくりとまぶたを開ける。
そして心配している男を鬱陶しそうに見ると、ごく普通に立ち上がった。
「お、お前、なんで立ち上がれるんだ?!」
さっきまで目の前の男は大怪我をしていたはずである。
元怪我人も首をひねった。
「あれ、そういえばなんでだ?」
頭に手をやると、血はついていたが、傷はすっかりふさがっていた。
そのため、魔法による攻撃を防ぐことができたが、もし、始めから連携して攻撃されていたら、村は大惨事だっただろう。
上空にいた魔族の女を気絶させたあと、クリスは彼女もオークたちと共に植物の蔓でぐるぐる巻きにした。
そうして簡単な結界で覆うと、偵察に出て行かせたジョセフが戻って来る。
「他に、残党はいなかった?」
いない、とネズミの姿の側近は首を横に振った。
ジョセフはこの場で話す気もヒト型になる気もないらしい。
「ねぇ……」
とりあえず、クリスは近くにいた村の男に話しかけようとした。
だが、その男は顔を青ざめて逃げてしまう。
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いや、正確には怪我をして逃げられない者が。
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「ちょっと退いて」
だが、男は退こうとしない。
仕方なく、クリスが強引に退かそうとすると、触れると呪われると思ったのか、男は飛びのく。
なんの邪魔もなくなったため、クリスは怪我人に近づくことができた。
呼吸はあったが、意識はなく、頭から血を流して、片腕と片脚がいびつに曲がっていた。
クリスは頭から少し離したところで手をかざす。
すると、クリスの手の平から温かな光が放たれた。
しばらく当てたあと、曲がった腕と脚を伸ばしてから、同じように光を当てる。
光を当て終わったあと、クリスは黙ってその場を後にした。
「おい、大丈夫か!?」
クリスが立ち去った後、怪我人を庇おうとした男が怪我人を揺すった。
「……うるさいなぁ」
怪我をした男はゆっくりとまぶたを開ける。
そして心配している男を鬱陶しそうに見ると、ごく普通に立ち上がった。
「お、お前、なんで立ち上がれるんだ?!」
さっきまで目の前の男は大怪我をしていたはずである。
元怪我人も首をひねった。
「あれ、そういえばなんでだ?」
頭に手をやると、血はついていたが、傷はすっかりふさがっていた。
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・2020/12/15 300話達成
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