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魔王、オーク退治をする
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「ねぇ……」
「ん?」
「オークってあんなんだっけ?」
クリスと聖剣は物陰に隠れて村の様子を伺っていた。
目の前にはやけに太ったヒト型の魔物が十体以上いる。
「いや、オークってあんなんだろ」
クリスの疑問に聖剣はそう答えたが、彼は釈然としない。
「僕の知っているオークはもっとすらっとしていてかっこよかったよ」
確かに灰色の肌や低い鼻など共通点はある。だが、クリスの知っているオークは大柄で筋骨隆々とした体型をしているが、目の前のオークは腹の突き出た不健康な太り方をしていた。
それに上半身は裸のままで、下半身にいつ洗ったかわからない薄汚れたズボンを履いているだけで清潔感がなかった。
その時、一人のオークが、人間の子供に襲いかかろうとした。
自分の知っているオークとの違いに若干混乱していたクリスはこの光景を見てはっと我に返る。
「やめろ!」
クリスは子供とオークの間に割って入る。
そして勢い良く振り下ろされようとするこん棒を片手で遮った。
肉体強化魔法使っている腕は意図も簡単に自身の胴程もあるこん棒を受け止める。
「グゴ?!」
まさか受け止められると思っていなかったのだろう。オークは目を見開いて、驚きの声をあげた。
再び引いて振り上げようとするが、細い腕で掴まれたこん棒は微動だにしなかった。
「ごめん」
クリスは小さな声で謝ると、微弱な雷魔法を放つ。
バチッと何かがはじける音がした。
「ぐぎゃあ!」
オークが悲鳴を上げ、ゆっくりと倒れた。
「大丈夫?」
声を掛けると、子供は真っ青になって震えている。
怪我の有無を確かめようと近づくと、子供は悲鳴を上げ、脱兎のごとく逃げ出した。
「えぇ……」
さすがに傷ついて落ち込んでいると、仲間の悲鳴を聞いて駆けつけたオークが、クリスの後頭部にこん棒を叩きつけようとする。
オークが勢い良く振り下ろしたこん棒が叩いたのは仲間を傷つけた男ではなく、なにもない地面だった。
「!?」
オークが驚いていると、後ろから「危ないなぁ」というのんきな声がした。
振り向く前に雷魔法を放たれ、クリスを襲ったオークは仲間と同じように気絶したのだった。
「ん?」
「オークってあんなんだっけ?」
クリスと聖剣は物陰に隠れて村の様子を伺っていた。
目の前にはやけに太ったヒト型の魔物が十体以上いる。
「いや、オークってあんなんだろ」
クリスの疑問に聖剣はそう答えたが、彼は釈然としない。
「僕の知っているオークはもっとすらっとしていてかっこよかったよ」
確かに灰色の肌や低い鼻など共通点はある。だが、クリスの知っているオークは大柄で筋骨隆々とした体型をしているが、目の前のオークは腹の突き出た不健康な太り方をしていた。
それに上半身は裸のままで、下半身にいつ洗ったかわからない薄汚れたズボンを履いているだけで清潔感がなかった。
その時、一人のオークが、人間の子供に襲いかかろうとした。
自分の知っているオークとの違いに若干混乱していたクリスはこの光景を見てはっと我に返る。
「やめろ!」
クリスは子供とオークの間に割って入る。
そして勢い良く振り下ろされようとするこん棒を片手で遮った。
肉体強化魔法使っている腕は意図も簡単に自身の胴程もあるこん棒を受け止める。
「グゴ?!」
まさか受け止められると思っていなかったのだろう。オークは目を見開いて、驚きの声をあげた。
再び引いて振り上げようとするが、細い腕で掴まれたこん棒は微動だにしなかった。
「ごめん」
クリスは小さな声で謝ると、微弱な雷魔法を放つ。
バチッと何かがはじける音がした。
「ぐぎゃあ!」
オークが悲鳴を上げ、ゆっくりと倒れた。
「大丈夫?」
声を掛けると、子供は真っ青になって震えている。
怪我の有無を確かめようと近づくと、子供は悲鳴を上げ、脱兎のごとく逃げ出した。
「えぇ……」
さすがに傷ついて落ち込んでいると、仲間の悲鳴を聞いて駆けつけたオークが、クリスの後頭部にこん棒を叩きつけようとする。
オークが勢い良く振り下ろしたこん棒が叩いたのは仲間を傷つけた男ではなく、なにもない地面だった。
「!?」
オークが驚いていると、後ろから「危ないなぁ」というのんきな声がした。
振り向く前に雷魔法を放たれ、クリスを襲ったオークは仲間と同じように気絶したのだった。
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