6 / 179
魔王、オーク退治をする
しおりを挟む
「ねぇ……」
「ん?」
「オークってあんなんだっけ?」
クリスと聖剣は物陰に隠れて村の様子を伺っていた。
目の前にはやけに太ったヒト型の魔物が十体以上いる。
「いや、オークってあんなんだろ」
クリスの疑問に聖剣はそう答えたが、彼は釈然としない。
「僕の知っているオークはもっとすらっとしていてかっこよかったよ」
確かに灰色の肌や低い鼻など共通点はある。だが、クリスの知っているオークは大柄で筋骨隆々とした体型をしているが、目の前のオークは腹の突き出た不健康な太り方をしていた。
それに上半身は裸のままで、下半身にいつ洗ったかわからない薄汚れたズボンを履いているだけで清潔感がなかった。
その時、一人のオークが、人間の子供に襲いかかろうとした。
自分の知っているオークとの違いに若干混乱していたクリスはこの光景を見てはっと我に返る。
「やめろ!」
クリスは子供とオークの間に割って入る。
そして勢い良く振り下ろされようとするこん棒を片手で遮った。
肉体強化魔法使っている腕は意図も簡単に自身の胴程もあるこん棒を受け止める。
「グゴ?!」
まさか受け止められると思っていなかったのだろう。オークは目を見開いて、驚きの声をあげた。
再び引いて振り上げようとするが、細い腕で掴まれたこん棒は微動だにしなかった。
「ごめん」
クリスは小さな声で謝ると、微弱な雷魔法を放つ。
バチッと何かがはじける音がした。
「ぐぎゃあ!」
オークが悲鳴を上げ、ゆっくりと倒れた。
「大丈夫?」
声を掛けると、子供は真っ青になって震えている。
怪我の有無を確かめようと近づくと、子供は悲鳴を上げ、脱兎のごとく逃げ出した。
「えぇ……」
さすがに傷ついて落ち込んでいると、仲間の悲鳴を聞いて駆けつけたオークが、クリスの後頭部にこん棒を叩きつけようとする。
オークが勢い良く振り下ろしたこん棒が叩いたのは仲間を傷つけた男ではなく、なにもない地面だった。
「!?」
オークが驚いていると、後ろから「危ないなぁ」というのんきな声がした。
振り向く前に雷魔法を放たれ、クリスを襲ったオークは仲間と同じように気絶したのだった。
「ん?」
「オークってあんなんだっけ?」
クリスと聖剣は物陰に隠れて村の様子を伺っていた。
目の前にはやけに太ったヒト型の魔物が十体以上いる。
「いや、オークってあんなんだろ」
クリスの疑問に聖剣はそう答えたが、彼は釈然としない。
「僕の知っているオークはもっとすらっとしていてかっこよかったよ」
確かに灰色の肌や低い鼻など共通点はある。だが、クリスの知っているオークは大柄で筋骨隆々とした体型をしているが、目の前のオークは腹の突き出た不健康な太り方をしていた。
それに上半身は裸のままで、下半身にいつ洗ったかわからない薄汚れたズボンを履いているだけで清潔感がなかった。
その時、一人のオークが、人間の子供に襲いかかろうとした。
自分の知っているオークとの違いに若干混乱していたクリスはこの光景を見てはっと我に返る。
「やめろ!」
クリスは子供とオークの間に割って入る。
そして勢い良く振り下ろされようとするこん棒を片手で遮った。
肉体強化魔法使っている腕は意図も簡単に自身の胴程もあるこん棒を受け止める。
「グゴ?!」
まさか受け止められると思っていなかったのだろう。オークは目を見開いて、驚きの声をあげた。
再び引いて振り上げようとするが、細い腕で掴まれたこん棒は微動だにしなかった。
「ごめん」
クリスは小さな声で謝ると、微弱な雷魔法を放つ。
バチッと何かがはじける音がした。
「ぐぎゃあ!」
オークが悲鳴を上げ、ゆっくりと倒れた。
「大丈夫?」
声を掛けると、子供は真っ青になって震えている。
怪我の有無を確かめようと近づくと、子供は悲鳴を上げ、脱兎のごとく逃げ出した。
「えぇ……」
さすがに傷ついて落ち込んでいると、仲間の悲鳴を聞いて駆けつけたオークが、クリスの後頭部にこん棒を叩きつけようとする。
オークが勢い良く振り下ろしたこん棒が叩いたのは仲間を傷つけた男ではなく、なにもない地面だった。
「!?」
オークが驚いていると、後ろから「危ないなぁ」というのんきな声がした。
振り向く前に雷魔法を放たれ、クリスを襲ったオークは仲間と同じように気絶したのだった。
0
お気に入りに追加
114
あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした
高鉢 健太
ファンタジー
ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。
ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。
もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。
とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

帰国した王子の受難
ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。
取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
加護を疑われ婚約破棄された後、帝国皇子の契約妃になって隣国を豊かに立て直しました
黎
ファンタジー
幼い頃、神獣ヴァレンの加護を期待され、ロザリアは王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、侍女を取り上げられ、将来の王妃だからと都合よく仕事を押し付けられ、一方で、公爵令嬢があたかも王子の婚約者であるかのように振る舞う。そんな風に冷遇されながらも、ロザリアはヴァレンと共にたくましく生き続けてきた。
そんな中、王子がロザリアに「君との婚約では神獣の加護を感じたことがない。公爵令嬢が加護を持つと判明したし、彼女と結婚する」と婚約破棄をつきつける。
家も職も金も失ったロザリアは、偶然出会った帝国皇子ラウレンツに雇われることになる。元皇妃の暴政で荒廃した帝国を立て直そうとする彼の契約妃となったロザリアは、ヴァレンの力と自身の知恵と経験を駆使し、帝国を豊かに復興させていき、帝国とラウレンツの心に希望を灯す存在となっていく。
*短編に続きをとのお声をたくさんいただき、始めることになりました。引き続きよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる