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第二章 乗っ取られた国

58 帰ろーっ!

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 コノハは魔法をかけておいた二人はそのままに教会の奥へ進む。
 ここは広間のような場所であるため、多分、訪れた人とかが神様に祈りを捧げるところなのだろう。
 まぁ、沢山の動物達が正気に戻り、山に逃げ帰ったときに大量のガラスが割れたので、見るも無惨な状況になっているが、コノハの知ったことではない。
 
 そして、教皇が最初に現れたところまで来たコノハはそこにあった緻密な細工が施されているドアを押した。
 
 「お邪魔します」
 
 そのドアは音も出さずスムーズに開いた。
 彼女はさっと周りを見渡し、誰もいないことを確認してから、その部屋に入る。
 
 そして「うわぁ…」と声を漏らした。
 そこそこの広い部屋に広がっていた光景は――。
 床も金。天井も金。壁も金。どこもかしこも金色だったのだ。
 おまけに机やらの家具まで金色という周到ぶりである。
 目がチカチカして、気分が悪くなった。
 
 それにドーンと大きな教皇の絵姿がこれまた金色の豪華な額縁に飾られている。
 一発で、あの教皇の部屋だとわかった。
 これで違ったらその人は相当な教会ではなく、教皇信者である。
 
 まぁ、あのイラッとした顔を向けてくるだけあって、根は相当に腐っているのは分かりきっていたが。
 同時に上がっていたテンションも一気に暴落した。
 というか意味のないところにお金をかけてどうするのだろうか……
 
 「……帰りたい」
 
 一瞬にして、部屋から出たくなったが、そうもいかない。
 コノハが『眠歌』の効果がもうすぐ切れそうなのに、教会の中を見て回らず、わざわざ奥に向かったのには理由があるのだ。
 
 コノハはがさごそと部屋を漁って、厳重に保管されていた金庫を見つけると、魔法で鍵を開ける。
 そこには大量のお金と、書類の束が入っていた。
 お金は大量に持っているコノハは、これ以上お金は要らないし、興味もないので、一般人が見れば目も眩んでしまうような大金を一瞥しただけでそれを素通りし、書類の束の方に手を伸ばす。
 
 どうやら教会関係の書類のようだ。
 
 「…ま、これでいいか」
 
 一応、証拠隠滅されそうなものは先に奪っておくのが鉄則である。
 あの教皇には興味のカケラも無いが、ジークたち王族が調べる時に多少は役に立つだろう。
 
 「さて、帰りますか」
 
 他にも魔道具っぽいものは適当に奪い、全てマジックボックスに放り込むと、早々にキラキラすぎるこの部屋を出た。
 
 これ以上いると気分が滅入ってしまいそうだった。
 
 
 
 
 
 本当にもうすぐすれば魔法の効果が切れてしまうため、二人を魔法で浮かせるとコノハも空を飛んで音も立てずに撤収した。
 
 
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