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第二章 乗っ取られた国
45 乗り込む前に…晩ごはん!
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『―――……神聖なるシャイナ教の民たちよ!!我の声は聖女様の御言葉として聞け!!』
微妙な重い沈黙した空気の中に突然の大声が聞こえ、全員がびくっとなる。
「な、何!?」
言わずもがな、『遠見』の魔道具からのあの白ローブの声である。
低い男の声に聞こえる。
どうやら演説を始めようと言うことらしい。
白ローブは大きな身振り手振りを加え話していく。
シャイナ教はこの国の宗教である。
三人( 一 人 は既に呆れたし、めんどくて興味が失せ、 一 人 はぶつぶつ「教会が禁忌………?」と心ここに有らずの様子で、もう一人は頭を抱えていたが)は一応聞くことにした。
と、その時。
ぐうぅぅぅ……と。
はっとして音がした方を見る。
するとメリアローズがお腹を抱えて顔を真っ赤にしていた。
「………………ご飯にしましょうか」
「…………………お願いします」
やっと現実に帰還した彼女は小さな声で返した。
「…ごちそうさまでした。ありがとうコノハさん」
「すまないな、俺の分まで」
「いえいえ。一人増えたところでそんなに変わりませんよ」
コノハは適当な具材――それは巻き込まれる前に狩っていたフェンリルも含まれる――で作ったスープとマジックボックスから出したパンでさっと晩御飯を作って食べていた。
彼らは二ヶ月も逃げ回っていたのだ。
まともな食事もしていなかったのだろう。
コノハが出したパンに彼女が引くほど食い付き「た、食べてもいいっ!?」と敬語が抜けてしまっていた。
実際のところ、そこにジークも加わったために予想外の出費になったがマジックボックスの中の食材がなくなったわけではないので特に問題はなかった。
狩ったものはすべてマジックボックスに放り込んでいるのだから、この程度では痛くも痒くもない。
「だが、今度もまた聖女は“お布施”をご所望か…」
「早いところ、お金ですけどね。…それを信じる民もどうかと思いますが…」
勿論、一応怪しい白ローブの話は聞いていた。
まぁ、長ったらしい“演説”を聞いた限り、お金がいるということだ。
「…あ、そうだ、メリアローズ様、ジーク様」
「…ローズと呼んではくれませんか?様付けも不要です」
むすっという効果音がつくような声で言われたコノハは面食らった。
「…いや、それは」
「本人がいいと言っているのですから。いいではないですか。ねぇ、お兄様?」
「ああ、俺もジークでいいぞ。ついでに言えば敬語も要らん」
「私はこれが普通なので気にしないでください。それに、公ではないのでいいではないですか」
(えー…、王族を呼び捨てー…)
ジークにもたたみ掛けられて、「本人がいいならいいや」とコノハはめんどいので思考を放棄した。
メリアローズが可愛かったというのもある。
はぁ、と溜息を吐いて。
「…………分かりました」
「敬語」
「………………分かった。私のこともコノハでいいよ」
メリアローズはニッコリと、ジークは少し安心した顔で笑う。
「はい!それで何ですかコノハ?」
「そろそろ、突撃しようかなぁって」
「…………………どこにだ?」
ジークがコノハに敬語を止めろといったのは、子供っぽくないからだ。
それに考えも大人び過ぎている。
だってコノハは8歳だし。
だが、ジークは嫌な予感がして、聞き返した。
…もしかしたら聞かなかった方が良かったかもしれない。
コノハはそんなジークの思いを思いっきり裏切った。
「え?勿論教会」
「「……………………」」
コノハはコノハであった。
微妙な重い沈黙した空気の中に突然の大声が聞こえ、全員がびくっとなる。
「な、何!?」
言わずもがな、『遠見』の魔道具からのあの白ローブの声である。
低い男の声に聞こえる。
どうやら演説を始めようと言うことらしい。
白ローブは大きな身振り手振りを加え話していく。
シャイナ教はこの国の宗教である。
三人( 一 人 は既に呆れたし、めんどくて興味が失せ、 一 人 はぶつぶつ「教会が禁忌………?」と心ここに有らずの様子で、もう一人は頭を抱えていたが)は一応聞くことにした。
と、その時。
ぐうぅぅぅ……と。
はっとして音がした方を見る。
するとメリアローズがお腹を抱えて顔を真っ赤にしていた。
「………………ご飯にしましょうか」
「…………………お願いします」
やっと現実に帰還した彼女は小さな声で返した。
「…ごちそうさまでした。ありがとうコノハさん」
「すまないな、俺の分まで」
「いえいえ。一人増えたところでそんなに変わりませんよ」
コノハは適当な具材――それは巻き込まれる前に狩っていたフェンリルも含まれる――で作ったスープとマジックボックスから出したパンでさっと晩御飯を作って食べていた。
彼らは二ヶ月も逃げ回っていたのだ。
まともな食事もしていなかったのだろう。
コノハが出したパンに彼女が引くほど食い付き「た、食べてもいいっ!?」と敬語が抜けてしまっていた。
実際のところ、そこにジークも加わったために予想外の出費になったがマジックボックスの中の食材がなくなったわけではないので特に問題はなかった。
狩ったものはすべてマジックボックスに放り込んでいるのだから、この程度では痛くも痒くもない。
「だが、今度もまた聖女は“お布施”をご所望か…」
「早いところ、お金ですけどね。…それを信じる民もどうかと思いますが…」
勿論、一応怪しい白ローブの話は聞いていた。
まぁ、長ったらしい“演説”を聞いた限り、お金がいるということだ。
「…あ、そうだ、メリアローズ様、ジーク様」
「…ローズと呼んではくれませんか?様付けも不要です」
むすっという効果音がつくような声で言われたコノハは面食らった。
「…いや、それは」
「本人がいいと言っているのですから。いいではないですか。ねぇ、お兄様?」
「ああ、俺もジークでいいぞ。ついでに言えば敬語も要らん」
「私はこれが普通なので気にしないでください。それに、公ではないのでいいではないですか」
(えー…、王族を呼び捨てー…)
ジークにもたたみ掛けられて、「本人がいいならいいや」とコノハはめんどいので思考を放棄した。
メリアローズが可愛かったというのもある。
はぁ、と溜息を吐いて。
「…………分かりました」
「敬語」
「………………分かった。私のこともコノハでいいよ」
メリアローズはニッコリと、ジークは少し安心した顔で笑う。
「はい!それで何ですかコノハ?」
「そろそろ、突撃しようかなぁって」
「…………………どこにだ?」
ジークがコノハに敬語を止めろといったのは、子供っぽくないからだ。
それに考えも大人び過ぎている。
だってコノハは8歳だし。
だが、ジークは嫌な予感がして、聞き返した。
…もしかしたら聞かなかった方が良かったかもしれない。
コノハはそんなジークの思いを思いっきり裏切った。
「え?勿論教会」
「「……………………」」
コノハはコノハであった。
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