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第二章 乗っ取られた国

44 洗脳ってめんどいことするよね

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 二人の反応といったらコノハが思った以上だった。
 ガタンッと音をたてて二人が同時に立ち上がる。
 ちなみにコノハが『遠見』の魔道具のついでにさっき用意したお茶はあれだけ盛大に音をたてて立ち上がったのに一滴も零れていない。
 
 (おー、流石王族)
 
 もう心底教会に呆れ果てているコノハはどうでもいいところに思考を持っていっていた。
 
 「せ、洗脳だってっ!!??」
 「ほ、本当にっ!!??」
 「…まぁ、実物を目の前にある状態じゃないので断言はできませんけど……9割方そうだと思いますよ。人の目が虚ろですし。……って言うかあの白ローブが怪しすぎるんですよ」
 
 『洗脳』、それは言葉通り。
 禁忌に近い魔法であり、確かこの国ではがそれを禁じているはずだ。
 それを使っているという事実をコノハはわかってしまった。
 教皇も関わっているとしたら、禁じている側、それもトップが破っているというなんとも可笑しなことになっているのだ。
 
 「……どうしてそんなことが分かるんだ」
 
 ジークが頭を抱えつつも尋ねてきた。
 メリアローズに至っては教会が違反をしていたという事実がはっきりわかり、それもさっき想像していたよりも重い“”ということが信じられないようだ。
 彼らは生まれた頃から王族と教会の在り方を学んでいるため尚更だろう。
 王族と教会。危ういバランスが崩れてしまうかもしれないのだ。
 
 「いつか本で読んだのですが……えーと、まず、『洗脳』をかけられた人の特徴は、目が虚ろになること。後、表情の表現が乏しくなること。もうひとつはそれ以上を考えずすぐに行動を移すこと、です」
 
 コノハはとりあえず質問に答えるために二人に着席を促してから指折り説明していく。
 
 「目が虚ろはさっき説明しましたよね、というか見た方が早いと思いますし。次に表現が乏しくのはさっきまであんなに楽しく話していたのに皆無表情でしょう?……多分彼らは一時的な洗脳をかけられているんでしょうね」
 
 (多分、王族はそうじゃない可能性が高い。
 王族は会いづらいこともあるし、自分の思い通りにさせるための保険だろうね。
 一回かけたら、かけた本人が死ぬか解除するまで無くならないとかいう、たちの悪い物でしょ。
 民衆は教会を信仰しているからそもそも洗脳かけやすいし、会いやすいから必要な時だけかければいいし、その分教会関係者が来るから自分達が大切にされてるって思うはずだし)
 
 コノハは声には出さずそう推測する。
 
 「最後に後先考えずに行動すること。これはお二人の話を聞いたらそう思われるでしょうし……」

 聖女に貢ぐというのがその証拠だ。

 「まぁ、要するに状況証拠しか無いんですけどね」
 
 でも、とコノハは続けて。
 
 「あの白ローブ、なんか気になるんですよねぇ。……周りの魔力を吸収している感じがして……」
 「………何でそんなことわかるんだよ」
 
 コノハは「うーん」と唸ってから、
 
 「勘?」
 「………………」
 
 コノハの勘にこんなに信憑性があるとは思っていなかったジークだった。
 
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