44 / 81
第二章 乗っ取られた国
34 ここ…………どこ??
しおりを挟む
コノハは眩しすぎる光が収まったのを見計らって目を開けた。
そこに見える光景は予想外のものだった。
「…………………は?」
コノハは意味がわからないと言わんばかりに茫然と呟いた。
実際、意味がわからないのだから仕方がない。
(ど、どういうこと!?)
なんか足元が光り始めて、それがからだ全体を覆ったと思って、眩しすぎる光に目を瞑って―――
気付いたら。
(ここ…………どこぉ!!!)
知らない場所だった。
いや、森、ということに変わりはない。
一面、木などの緑なので。
だが、圧倒的に違うのは森の“気配”だった。
コノハがいた迷いの森はSランクなので魔物も強い。
ゆえに気配は並みの冒険者でなければ足を踏み出せないほどの威圧感を感じさせる。
コノハは並みの冒険者とかには収まらない部類に入る。
Sランクとか全然問題ない。
………コノハの話は置いといて。
要するに、この森はそういう威圧感を全く感じない。
魔物の気配もあるがせいぜいDランクといったところだ。
そんなの初心者の冒険者であっても油断しなければ普通に勝つことが出来るくらいの弱さだ。
こんなのが迷いの森で生き残れる訳がない。
つまり、ここは迷いの森ではない。
「………………」
とりあえず今分かる事を分析したが、結論は「意味がわからない」だ。
判断材料が少なすぎる。
そもそもどうしてこうなったのかがさっぱりだし、誰かの策略であれば今すぐ全力で逃げ出したい。
一瞬、あのカラスが思い浮かんだが無視してここがどこか探ろうと歩き出す。
ここがどこかわからなければ帰る方向もわからないので。
「転移魔法完成させとけば良かった………。あ、でも今の状況では使えないからなぁ。意味ないか……」
彼女は竜を殺した代償として自分が自分自身にかける魔法が使えない。
飛行魔法しかり、治療魔法しかり。
その中には勿論、転移魔法も含まれている。
飛行魔法は空気中の風に干渉することで自分を浮かせる、という飛行魔法っぽい魔法『空中浮遊』は使うことが出来るが扱いが細かく少しバランスを崩すと立て直すのが大変だ。
まぁ、コノハは普通に使うが飛行魔法より劣ってる感は否めない。
兎に角、転移魔法が完成してようがいまいが状況は変わらない。
他の人に頼んで送ってもらう、という手はない。
今作っている転移魔法はコノハオリジナルの魔法であるので。
勿論、作ろうとしている人は多いがまだ完成に至っていない。
まだ誰も転移魔法を完成させていないのだ。
「とりあえず、調べよう……」
そう思ってキョロキョロと首を動かしながら手がかりを探す。
そして、見つけた。
コノハはそれを拾いまじまじと見る。
「これって―――」
コノハが推測から確信したそのとき。
「―――~~って!!!」
誰かの怒鳴り声。
コノハは即座にその方向へ目を向ける。
遠すぎてあまり何を叫んでいるのかは聞こえないが、森の中で叫ぶのは良くない。
その声で気づいた魔物がやってくる可能性がある。
コノハは面倒くさがりだがさすがに人を見捨てることはあまりしない。
(しょうがない)
正直気が向かないがそれでほったらかして人が死ぬとかたまらない。
さっき見つけたものをマジックボックスに入れてから、コノハは声が聞こえた方向へ走りだした―――
そこに見える光景は予想外のものだった。
「…………………は?」
コノハは意味がわからないと言わんばかりに茫然と呟いた。
実際、意味がわからないのだから仕方がない。
(ど、どういうこと!?)
なんか足元が光り始めて、それがからだ全体を覆ったと思って、眩しすぎる光に目を瞑って―――
気付いたら。
(ここ…………どこぉ!!!)
知らない場所だった。
いや、森、ということに変わりはない。
一面、木などの緑なので。
だが、圧倒的に違うのは森の“気配”だった。
コノハがいた迷いの森はSランクなので魔物も強い。
ゆえに気配は並みの冒険者でなければ足を踏み出せないほどの威圧感を感じさせる。
コノハは並みの冒険者とかには収まらない部類に入る。
Sランクとか全然問題ない。
………コノハの話は置いといて。
要するに、この森はそういう威圧感を全く感じない。
魔物の気配もあるがせいぜいDランクといったところだ。
そんなの初心者の冒険者であっても油断しなければ普通に勝つことが出来るくらいの弱さだ。
こんなのが迷いの森で生き残れる訳がない。
つまり、ここは迷いの森ではない。
「………………」
とりあえず今分かる事を分析したが、結論は「意味がわからない」だ。
判断材料が少なすぎる。
そもそもどうしてこうなったのかがさっぱりだし、誰かの策略であれば今すぐ全力で逃げ出したい。
一瞬、あのカラスが思い浮かんだが無視してここがどこか探ろうと歩き出す。
ここがどこかわからなければ帰る方向もわからないので。
「転移魔法完成させとけば良かった………。あ、でも今の状況では使えないからなぁ。意味ないか……」
彼女は竜を殺した代償として自分が自分自身にかける魔法が使えない。
飛行魔法しかり、治療魔法しかり。
その中には勿論、転移魔法も含まれている。
飛行魔法は空気中の風に干渉することで自分を浮かせる、という飛行魔法っぽい魔法『空中浮遊』は使うことが出来るが扱いが細かく少しバランスを崩すと立て直すのが大変だ。
まぁ、コノハは普通に使うが飛行魔法より劣ってる感は否めない。
兎に角、転移魔法が完成してようがいまいが状況は変わらない。
他の人に頼んで送ってもらう、という手はない。
今作っている転移魔法はコノハオリジナルの魔法であるので。
勿論、作ろうとしている人は多いがまだ完成に至っていない。
まだ誰も転移魔法を完成させていないのだ。
「とりあえず、調べよう……」
そう思ってキョロキョロと首を動かしながら手がかりを探す。
そして、見つけた。
コノハはそれを拾いまじまじと見る。
「これって―――」
コノハが推測から確信したそのとき。
「―――~~って!!!」
誰かの怒鳴り声。
コノハは即座にその方向へ目を向ける。
遠すぎてあまり何を叫んでいるのかは聞こえないが、森の中で叫ぶのは良くない。
その声で気づいた魔物がやってくる可能性がある。
コノハは面倒くさがりだがさすがに人を見捨てることはあまりしない。
(しょうがない)
正直気が向かないがそれでほったらかして人が死ぬとかたまらない。
さっき見つけたものをマジックボックスに入れてから、コノハは声が聞こえた方向へ走りだした―――
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
(完結)私より妹を優先する夫
青空一夏
恋愛
私はキャロル・トゥー。トゥー伯爵との間に3歳の娘がいる。私達は愛し合っていたし、子煩悩の夫とはずっと幸せが続く、そう思っていた。
ところが、夫の妹が離婚して同じく3歳の息子を連れて出戻ってきてから夫は変わってしまった。
ショートショートですが、途中タグの追加や変更がある場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる