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第二章 乗っ取られた国

30 魔女の家

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「広い………」
 
 入って気づいた。
 《希代の魔女》の家は広かった。
 それにとても綺麗だった。
 
 (《希代の魔女》って生きてたの大分前でしょ?何で埃すらないの………)
 
 どこを見ても埃の“ほ”の字もなかった。
 謎だ。
 
 とりあえず、家を見てみることにした。
 まず1階。
 いくつか見たが、本当に今すぐ住めるくらいに家具やらなんやらがそのままだ。
 《希代の魔女》が急死したのがよくわかる。
 お風呂やキッチンなどの普通に必要な設備もしっかりあったし、使えたので問題なし。
 
 (……今の時代と同じくらいの性能持ってるんだけど……)
 
 ………問題……なし?
 まぁ、楽でいいということで。
 
 階段があったので2階へ。
 そこは五つのドアがある。
 一人部屋ということだろうか。
 
 (え?でもこんなに部屋いる?一人暮らしだよね?)
 
 《希代の魔女》の思考回路はよくわからない………
 
 とりあえず、一番近いドアを開けてみた。
 
 「わぁ………」
 
 どうやら《希代の魔女》が使っていた部屋のようで棚にはいろんな魔道具や薬などが置いてあった。
 几帳面に種類別に並べられている。
 
 「すごい!!!」
 
 テンションが上がったコノハ。
 魔法や魔道具関係になると周りのことを忘れてしまう。
 
 「あれはどんな効果持っているのかなぁ~…」
 
 いろいろ見て回っていたのだが、机の上に一冊のノートがあることに気づいた。
 そこそこの分厚さを誇るそのノートは使い古されたと分かるくらいにぼろぼろだった。
 
 「これは……?」
 
 気になり、ノートをペラペラとめくる。
 どうやら魔法の研究などをまとめたものらしい。
 魔道具なども書かれていた。
 コノハはある一つのページが目に止まった。
 それは精神系の魔道具で、どうやら生き物と生き物を縛るような効果を持つようだ。
 契約を結ぶような……
 
 「あれかな?人と使い魔の契約を強化する感じ?」
 
 使い魔を使役する人も多いため、繋がりを強化する魔道具は割りと世に出回っている。
 悪用されないように相互の同意や試験があって使っている人はあまり見たことはないが。
 コノハは自分が使うものを作るのでこういう人と一緒に使うようなものは作ったことがなかった。
 
 「《希代の魔女》すごい……」
 
 そう改めて思った時だった。
 
 (っ!?)
 
 どこかから、視線を感じた。
 ばっ、とコノハは窓を見る。
 そこには―――――
 

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