上 下
27 / 81
第一章 始まり

17 犯罪者組織に(誘拐されて)潜入しよう

しおりを挟む
 路地に入ったコノハの前にはいくつかの人影がある。
 もちろん、コノハは気配で気づいていた。
 
 「嬢ちゃん、こんな所で何やってるんだ?」
 (話しかけられた!)
 「あのねー、おかあさんにお使い頼まれたからその帰りだよー」
 「そうか、そうか」
 
 前から人が近づいてくる。
 そして後ろからも。
 前に注意を引きつけ、後ろから攫うのだろう。
 そんな中、コノハは心の中で格闘していた。
 
 (防衛反応が……条件反射で………抑えろ抑えろ……)
 
 条件反射を必死に抑えていた。
 そして、後ろから口を布か何かで覆われる。
 コノハはバタバタと抵抗(形だけ)した。
 だがどうやら眠り薬を嗅がされているようで意識がぼんやりしてきた。
 どうせ売ることが目的だろうから、いきなり殺されることはないだろう。
 なので、コノハは睡魔に身を任せることにした───
 
 
 
 
 
 


 
 ◇◆◇
 次に目覚めた時、まず首に違和感。
 手で触ってみる。どうやら奴隷用の首輪をつけられているようだ。
 奴隷用の首輪には魔法がかかっており、主人に逆らうと耐えられないほどの痛みが襲う。
 本で存在は知っていたが実物は初めて見る。
 奴隷などほとんど見ないし。

 すぐに解析してみたかったが、やっと今の自分の状況を思い出した。
 
 (まぁ、奴隷用の牢獄だろうね)
 
 ろうそくなどの明かりがなく、小さな窓からの月明かりがぼんやりと照らす程度だ。
 見ることはできないが、気配的には自分の他に子どもが10人ほどいる。
 全員が衰弱しているのが気配でわかる。
 マスターが言っていた人数より少し少ない。おそらく売られてしまったのだろう。
 
 (そっちは……マスターに任せよう)
 
 コノハもそれほど暇じゃない。今回だってたまたまそれっぽいヤツと出会ったので、ついでに組織ごと潰そうと思っただけである。
 …まぁ、マスターもそこまで暇じゃないと思うが。

 (その方が楽だしねー)
 
 コノハはそういう子である。
 
 面倒と思ったことは全力で回避する。
 面倒事に巻き込まれた場合は一番楽な方法を選択しどんな周り道もしない。
 ……その方法のほとんどはコノハ以外には絶対に出来ないので誰もしようとしないが。
 ちなみに今回もそんな中の一つだ。
 
 「あなたも………さらわれたの?」
 
 そんな中、コノハに声をかけてきた少女がいた。
 彼女はすぐに“その辺の町娘” の仮面を被ってその少女と話し始めた───
 
 

──────────────
こんにちは、柊レイです。
ストックがやばいので明日は休みです。

次は明後日です!
では、また!
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします

暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。 いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。 子を身ごもってからでは遅いのです。 あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」 伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。 女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。 妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。 だから恥じた。 「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。 本当に恥ずかしい… 私は潔く身を引くことにしますわ………」 そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。 「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。 私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。 手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。 そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」 こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。 --------------------------------------------- ※架空のお話です。 ※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。 ※現実世界とは異なりますのでご理解ください。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

呪われ姫の絶唱

朝露ココア
ファンタジー
――呪われ姫には近づくな。 伯爵令嬢のエレオノーラは、他人を恐怖させてしまう呪いを持っている。 『呪われ姫』と呼ばれて恐れられる彼女は、屋敷の離れでひっそりと人目につかないように暮らしていた。 ある日、エレオノーラのもとに一人の客人が訪れる。 なぜか呪いが効かない公爵令息と出会い、エレオノーラは呪いを抑える方法を発見。 そして彼に導かれ、屋敷の外へ飛び出す。 自らの呪いを解明するため、エレオノーラは貴族が通う学園へと入学するのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...