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第一章 始まり

9 嫌な予感

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 次にコノハが行動したのは日が暮れて真っ暗な夜だ。
 月の光がぼんやりと彼女の姿を照らす。
 夜に行動するのは、「あれ?夜動けば誰にも邪魔されないじゃん!!」と気づいたからだ。
 一応、真っ黒なローブ(自作)を着て、二階の窓から外に出て屋根の上。
 ちなみにローブには『どんなに風がきても絶対に落ちない』という魔法がかかっている。
 もちろん、コノハが自分でかけた。
 だが、真夜中だ。
 そんな時間にお店がやってる訳がなかった。
 
 
 
 
 
 
 
 (あ、夜中だからお店やってないじゃん!!!)
 
 屋根の上を音を立てず、全力疾走していたコノハはやっとその事実に気づき、その動きを止めた。
 
 (家を出てきた意味!!!)
 
 地味なショックを受けながら、予定を変更して森に狩りに行くことにした。
 
 
 
 
 
 
 
 ◇◆◇
 やり過ぎた。
 
 この辺の魔物で彼女を殺せる者などいないので、いろいろ実験しながら魔物を倒していたのだか。
 いつもならさらっと出せる魔法ができなかったり、夜ということもあり、かなり集中していたらしい。
 
 (んー、なんか明るい~…?)
 
 気づいたら、太陽が顔を出そうとしていた。
 
 (え、もう朝?)
 
 もう一度言う、やり過ぎた。
 コノハは急いで収納魔法を使い、倒した魔物を回収して、森を全力疾走して出た。
 
 
 
 
 
 
 太陽が顔を出したといってもまだほんの少し。
 町の人はまだ起きていないようだ。
 内心安堵しながら、行きと同じように屋根の上を全力疾走。音など絶対に立てない。
 家に近づいて来たそんな時。

 
 彼女の家の向かいの路地で息を潜める二人がいることにコノハは気づいた。
 

 (…………)
 

 嫌な予感しかない彼女はその人達の様子を屋根の上から観察することにした───
 



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