30 / 47
第四章
第8話 愛すればこそ
しおりを挟む
祥子は俺に優しくキスをして、部屋の灯りを消した。
「約束して下さい、これが最初で最後だと」
「どうして?」
「社長のことを、ずっと愛していたいからです」
俺は祥子を抱き締めた。
「お前は俺の会社での女房だからな? 祥子は他の誰よりも俺を理解してくれている。そしてどの女よりも祥子といることの方が長い」
「会社での女房ですか? うれしい・・・」
俺と祥子は薄明りの中でソファに並んで座った。
エアコンの音と冷蔵庫の音。
そして祥子の甘い吐息が漏れて来た。
長いキスの後、俺たちは服を脱ぎ始めた。
下着姿になった祥子は洗面所へ消え、彼女がシャワーを浴びる音が聞こえて来た。
窓のないラブホテル。
俺はトランクスだけになり、そのままベッドで彼女が来るのを待った。
「お待たせ・・・」
「俺もシャワーを浴びて来るよ」
「浴びなくていいの。そのままで。
あなたの香りを覚えておきたいから」
バスタオルを巻いた祥子が俺の隣に横たわった。
口づけを交わしながら俺は下着を脱ぎ捨て、祥子のバスタオルを剥いだ。
滑らかな素肌の感触。
まだ祥子の体はシャワーを浴びたばかりで、しっとりとしていた。
俺たちは五感のすべてを使い、お互いのカラダを確かめ合った。
「あっ、あん、んっ、あ・・・」
祥子の喘ぐ声と俺の呼吸が次第に荒くなってゆく。
「ハアハアハアハア、祥子・・・」
「すぎ、た、さん!」
今までにない快感が、俺たちのカラダを何度も貫いた。
そして俺たちは心地良い解放感に包まれていた。
「今日の杉田さん、とっても素敵でした。外国映画のヒーローみたいでした。
だから今日、どうしても杉田さんとこうなりたかった」
「お前のお陰だよ、祥子」
俺は祥子を抱き寄せた。
「私なんです、直子さんに決断を迫ったの。
会社に残りたいなら社長と別れなさいって。
そしてもし、社長を諦め切れないなら、その時は会社を辞めて欲しいって。
そうしたら彼女、会社を辞める道を選びました。
私、彼女に嫉妬しました。
杉田さんを盗られてしまったって」
「知ってたよ。社長の俺には社内恋愛は許されないからな?」
「間違っていますよ、それ。社内恋愛じゃなくて社内不倫です」
祥子は俺の肩を甘噛みした。
「そして直子さんは私に訊きました。
「課長は社長を愛しているんですね?」って?」
「それで? 何と答えたんだ?」
「愛しているわよ。だからお付き合いはしないって答えました」
祥子は秘書課長の目をしていた。
「俺は女癖が悪いからなあ」
「杉田さんはやさしいんですよ。スケベでやさしくて、罪な人・・・」
「千葉辺りの海沿いに、デカイ屋敷を建てて、みんなで仲良く暮らせたらいいのになあ」
「ハーレムですね? 今日は奥さんとして、明日は直子さん? その次の日には絹世さんで、そして最後が私・・・。
大変ですね? カラダが持ちますか?」
「なあ祥子、どうして日本は一夫多妻や一妻多夫が駄目なんだろうな?」
「それは女も男も、自分の好きな相手を独り占めしたいからですよ。自分以外の異性といるなんてイヤだからです」
「一般的には一緒の食事は許せても、セックスはダメだと言う。
俺は同じ事だと思うんだ。メシを食うのもセックスをするのも同じだ。
どちらも五感で楽しむ物だからな?
俺は女が食べている姿にエロスを感じる」
「でもSEXはお互いを裸のままで結合させるんですよ? 素肌のままで」
「じゃあ手を繫ぐのも駄目なのか?」
「駄目に決まっているじゃないですか。それは浮気です」
「そうか・・・。男と女のカラダって、合体するように出来てるじゃねえか? そして子供が出来る。
セックスってそんなに特別な事なのか?
俺はエロとエロスは違うと思う。
エロは猥雑だがエロスは愛だ。
愛のあるSEXは罪ではない。
アダムとエヴァが人類の起源なら、みんな兄妹じゃねえのかなあ? 近親相姦の繰り返し。
つまり俺たちは「ファミリー」じゃねえのか?
だったら一緒に暮らしたり、魅力的な女や男がいれば、何人と付き合ってもいいんじゃねえのか?
俺っておかしいのか?」
祥子は俺にキスをして言った。
「おかしくはないですけど、ヘンです」
「そうか? お前でもそう思うか・・・」
「ヘンですけど、好きです。あなたの事が・・・」
もう朝が近づいているはずだ。
俺たちの一夜限りの夢が消えようとしていた。
「忘れないよ、今日の日のことは」
「私も忘れません。絶対に」
最後の口づけは、甘く切ない余韻を残して。
「約束して下さい、これが最初で最後だと」
「どうして?」
「社長のことを、ずっと愛していたいからです」
俺は祥子を抱き締めた。
「お前は俺の会社での女房だからな? 祥子は他の誰よりも俺を理解してくれている。そしてどの女よりも祥子といることの方が長い」
「会社での女房ですか? うれしい・・・」
俺と祥子は薄明りの中でソファに並んで座った。
エアコンの音と冷蔵庫の音。
そして祥子の甘い吐息が漏れて来た。
長いキスの後、俺たちは服を脱ぎ始めた。
下着姿になった祥子は洗面所へ消え、彼女がシャワーを浴びる音が聞こえて来た。
窓のないラブホテル。
俺はトランクスだけになり、そのままベッドで彼女が来るのを待った。
「お待たせ・・・」
「俺もシャワーを浴びて来るよ」
「浴びなくていいの。そのままで。
あなたの香りを覚えておきたいから」
バスタオルを巻いた祥子が俺の隣に横たわった。
口づけを交わしながら俺は下着を脱ぎ捨て、祥子のバスタオルを剥いだ。
滑らかな素肌の感触。
まだ祥子の体はシャワーを浴びたばかりで、しっとりとしていた。
俺たちは五感のすべてを使い、お互いのカラダを確かめ合った。
「あっ、あん、んっ、あ・・・」
祥子の喘ぐ声と俺の呼吸が次第に荒くなってゆく。
「ハアハアハアハア、祥子・・・」
「すぎ、た、さん!」
今までにない快感が、俺たちのカラダを何度も貫いた。
そして俺たちは心地良い解放感に包まれていた。
「今日の杉田さん、とっても素敵でした。外国映画のヒーローみたいでした。
だから今日、どうしても杉田さんとこうなりたかった」
「お前のお陰だよ、祥子」
俺は祥子を抱き寄せた。
「私なんです、直子さんに決断を迫ったの。
会社に残りたいなら社長と別れなさいって。
そしてもし、社長を諦め切れないなら、その時は会社を辞めて欲しいって。
そうしたら彼女、会社を辞める道を選びました。
私、彼女に嫉妬しました。
杉田さんを盗られてしまったって」
「知ってたよ。社長の俺には社内恋愛は許されないからな?」
「間違っていますよ、それ。社内恋愛じゃなくて社内不倫です」
祥子は俺の肩を甘噛みした。
「そして直子さんは私に訊きました。
「課長は社長を愛しているんですね?」って?」
「それで? 何と答えたんだ?」
「愛しているわよ。だからお付き合いはしないって答えました」
祥子は秘書課長の目をしていた。
「俺は女癖が悪いからなあ」
「杉田さんはやさしいんですよ。スケベでやさしくて、罪な人・・・」
「千葉辺りの海沿いに、デカイ屋敷を建てて、みんなで仲良く暮らせたらいいのになあ」
「ハーレムですね? 今日は奥さんとして、明日は直子さん? その次の日には絹世さんで、そして最後が私・・・。
大変ですね? カラダが持ちますか?」
「なあ祥子、どうして日本は一夫多妻や一妻多夫が駄目なんだろうな?」
「それは女も男も、自分の好きな相手を独り占めしたいからですよ。自分以外の異性といるなんてイヤだからです」
「一般的には一緒の食事は許せても、セックスはダメだと言う。
俺は同じ事だと思うんだ。メシを食うのもセックスをするのも同じだ。
どちらも五感で楽しむ物だからな?
俺は女が食べている姿にエロスを感じる」
「でもSEXはお互いを裸のままで結合させるんですよ? 素肌のままで」
「じゃあ手を繫ぐのも駄目なのか?」
「駄目に決まっているじゃないですか。それは浮気です」
「そうか・・・。男と女のカラダって、合体するように出来てるじゃねえか? そして子供が出来る。
セックスってそんなに特別な事なのか?
俺はエロとエロスは違うと思う。
エロは猥雑だがエロスは愛だ。
愛のあるSEXは罪ではない。
アダムとエヴァが人類の起源なら、みんな兄妹じゃねえのかなあ? 近親相姦の繰り返し。
つまり俺たちは「ファミリー」じゃねえのか?
だったら一緒に暮らしたり、魅力的な女や男がいれば、何人と付き合ってもいいんじゃねえのか?
俺っておかしいのか?」
祥子は俺にキスをして言った。
「おかしくはないですけど、ヘンです」
「そうか? お前でもそう思うか・・・」
「ヘンですけど、好きです。あなたの事が・・・」
もう朝が近づいているはずだ。
俺たちの一夜限りの夢が消えようとしていた。
「忘れないよ、今日の日のことは」
「私も忘れません。絶対に」
最後の口づけは、甘く切ない余韻を残して。
10
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
傷痕~想い出に変わるまで~
櫻井音衣
恋愛
あの人との未来を手放したのはもうずっと前。
私たちは確かに愛し合っていたはずなのに
いつの頃からか
視線の先にあるものが違い始めた。
だからさよなら。
私の愛した人。
今もまだ私は
あなたと過ごした幸せだった日々と
あなたを傷付け裏切られた日の
悲しみの狭間でさまよっている。
篠宮 瑞希は32歳バツイチ独身。
勝山 光との
5年間の結婚生活に終止符を打って5年。
同じくバツイチ独身の同期
門倉 凌平 32歳。
3年間の結婚生活に終止符を打って3年。
なぜ離婚したのか。
あの時どうすれば離婚を回避できたのか。
『禊』と称して
後悔と反省を繰り返す二人に
本当の幸せは訪れるのか?
~その傷痕が癒える頃には
すべてが想い出に変わっているだろう~
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる