上 下
4 / 11

第4話

しおりを挟む
 午後の外来も終わり、パソコンの電源を落として私が診察室を出ようとした時だった。


 「君島先生、今夜はどちらへお出掛けですか?」

 ナースの理恵が医療器具の後片付けをしながら、笑顔で話し掛けて来た。

 「そうだなあー、鮨でも摘んでその後はキャバクラだな?」
 「あら勿体ない。キャバ嬢にお金をあげるなら私に下さいよ。サービスしますよ、私の方が」
 「その方が金が掛かりそうだけどな?」

 理恵はバツイチの32歳、子供はいない。
 離婚の原因は旦那の浮気だと言っていたが、おそらくその逆だろう。
 理恵は看護師としては優秀ではあるが、美人で気が多い。
 誰とでもフランクに話すので、彼女は男たちの標的になっていた。


 「いいなあ、私もしばらく回らないお寿司なんて食べてないですよ」

 (俺を誘っている?)

 理恵クラスになると、男が誘い易いようにわざと緩い外角低めのストレートを投げてくる。
 ここのところ美沙子も忙しいようで、の方もご無沙汰だった。
 私は軽い気持ちで理恵を誘った。

 「一緒に食べに行くか? その後は俺が君を食べちゃうけどそれでいいなら?」
 「もう、先生のエッチ! 食べられてもいいかどうかは先生次第ですけどね?」
 
 中々いいリアクションだった。
 明らかに私に抱かれる気が満々だ。
 これで何人の男たちが沈んだことだろう?
 


 私は彼女をクルマに乗せ、エンジンをかけた。
 理恵は通勤にはそぐわない、ドレッシーな服装に着替えていた。
 どうやら今夜、彼女はそのつもりだったらしい。

 「いいねその服。それに見合うところに案内しないと悪いな?」
 「気にしないで下さい。いつもの普段着ですから」
 
 私は彼女の仕掛けた罠に嵌ってやることにした。
 丸見えのその罠に。




 私たちは鮨を食べ、軽く日本酒を飲んだ。


 「君島先生、おひとりで寂しくないんですか?」
 「もう慣れたよ。俺、家事も料理も好きだし。
 君はどうなんだ? ひとりで寝るの、寂しくないの?」
 「全然平気ですよ、独りって。
 食べたい時に食べて、寝たい時に寝て、だから家ではいつもパンツ一枚だけです」
 「見てみたいな? 君のパンイチ」
 「見たいですか? 私のパンイチ姿?」
 「いや、遠慮しておくよ、石になるのはイヤだからね?」
 「もうなっているじゃないですか? ここが石に」

 理恵がカウンターの下から私の股間に触れた。




 鮨屋を出て、ホテルのバーラウンジへ移動した。
 いつもなら葉巻が吸えるシガーバーにするところだったが、理恵の髪や服に葉巻の香が沁み込むのを私は遠慮した。


 「私はボーモアの12年を。理恵ちゃんは?」
 「私はブラッディ・マリーをお願いします」
 「じゃあ、それを」
 「かしこまりました」

 気の利いたバーテンダーは酒を作り終えるとゆっくりとその場を離れ、カウンター端の常連と話しを始めた。
 理恵は酔ったふりをして私の手に自分の手を重ねた。

 
 「なんだか酔っちゃったみたい。先生と一緒にいると凄く癒されるの・・・」

 私はその理恵の手を逆転させ、しなやかな彼女の指の間にさりげなく自分の指を入れた。

 理恵がビクンと小さく反応した。
 そして今度は私の肩に自分の頬を預けてきた。


 「先生、何だか眠くなっちゃった」

 私はそのままホテルに部屋を取り、理恵にお仕置きをすることにした。




 「ほら、どう? もっと強くして欲しいか?」

 私は理恵のピンと尖った乳首を強く摘まんだ。

 「もっと強く、先生、もっと強く私を虐めて下さい」
 「いけない女だな? このくらいはどうだ?」
 「もっと強く・・・」

 すると彼女は軽く果てた。
 私は彼女の口に自分をあてがい、フェラを促した。
 すると理恵はまるで別人のように、強力なバキュームで頭を激しく上下させた。

 私は体制を変え、彼女の秘貝のぬめり具合を確かめ、それが妥当だと判断すると、彼女に四つん這いになるように命じた。

 ゆっくりと挿入を開始すると、彼女は興奮し、艶めかしいメスの声をあげた。
 私は彼女の子宮に届くまで突いた。

 「お尻を、お尻を叩いて!」

 理恵の白い美尻に痕が残らないようにと、滑らせるようにスパンキングをした。

 そして彼女が絶頂を迎えると、私は彼女の顔に征服した証として射精をした。
 彼女の痙攣が続いていた。


 その時、私の携帯が鳴った。
 ベッドサイドの携帯に、美沙子からのLINEが届いた。
 私は既読することなく電源を切った。

 「女から?」
 「隣の家の猫からだった」
 「今、先生は私だけのもの。さあ続けましょう。
 今度は私があなたを気持ち良くしてあげる」

 彼女はトカゲのように舌を這わせ、私のカラダを舐め始めた。

 男は愛が無くても女を抱ける動物だ。少なくとも今の私はそうだった。
 
 私たちの戯れは朝まで続いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

★【完結】傷だらけのダイヤモンド(作品230411)

菊池昭仁
恋愛
真実の愛とは何でしょう? ダイヤモンドのような強固な意志を持って生きる雪乃は、恋人だった真也との死別によって、男を愛することが出来なくなってしまう。 そんな雪乃は再び愛を取り戻すことが出来るのだろうか?

★【完結】棘のない薔薇(作品230327)

菊池昭仁
恋愛
聡と辛い別れをした遥はその傷が癒えぬまま、学生時代のサークル仲間、光一郎と寂しさから結婚してしまい、娘の紅葉が生まれてしあわせな日々を過ごしていた。そんな時、遙の会社の取引先の商社マン、冴島と出会い、遙は恋に落ちてしまう。花を売るイタリアンレストラン『ナポリの黄昏』のスタッフたちはそんな遥をやさしく見守る。都会を漂う男と女。傷つけ傷つけられて愛が加速してゆく。遙の愛の行方はどこに進んで行くのだろうか?

★【完結】歌姫(後編)作品230824

菊池昭仁
恋愛
琴子の新たな人生の始まり 愛とは? 歌とは? そして人は何のために生きるのか? 

★【完結】ダブルファミリー(作品230717)

菊池昭仁
恋愛
結婚とはなんだろう? 生涯1人の女を愛し、ひとつの家族を大切にすることが人間としてのあるべき姿なのだろうか? 手を差し伸べてはいけないのか? 好きになっては、愛してはいけないのか? 結婚と恋愛。恋愛と形骸化した生活。 結婚している者が配偶者以外の人間を愛することを「倫理に非ず」不倫という。 男女の恋愛の意義とは?

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...