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第3話

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 会社で事務処理をしていると携帯が鳴った。綾乃からのLINEだった。

   
    今日はお店を休んだの
    仕事が終わったら会えない?

                   了解
                   後で電話する

    愛してるわよ 弘



 私はまた綾乃の美しいカラダを抱けるのかと思うと、ソワソワして嬉しくなった。


 「貝塚さん、LINEなんか見て、何をニヤニヤしているんですか?
 奥さんからのラブ・メッセージですか? それとも綺麗な愛人だったりして?」
 「バカ野郎。取引先だよ」
 「怪しいなあ。たまにはゴハン、連れて行って下さいね?」
 「ランチならいつでもいいぞ」
 「ランチじゃなくてディナーがいいなあ。貝塚さんとお酒が飲みたい」
 「そのうちな?」
 「約束ですよ」

 そう言って営業事務の森山沙都子が去って行った。
 小さな尻が左右に揺れていた。



 私と綾乃は上野の焼肉屋にいた。

 「ナンバーワンのお前がよく店を休めたな?」
 「今日は女の子だからってママに嘘を言って休んじゃった。うふっ 生理はまだ来てないけどね?」
 
 綾乃はそう言って笑うと、塩タンを口にし、旨そうにビールを飲んだ。
 
 (本当にこの眼の前にいる女があの「顔無し」なのか?)

 私にはとても信じることが出来なかった。

 「さあ弘もたくさん食べて飲んで。
 今夜もまた、がんばってもらわないといけないんだから」

 私は再び始まる行為を想像し、欲情した。

 「ハラミも食べるか?」
 「ニンニクの素揚げと、オイキムチもお願い」

 私たちはよく飲み、よく食べた。



 その日の綾乃はさらに奔放ほんぽう大胆だいたんだった。

 「あ あ あ うん あう はあ はあ・・・ いや、だめ・・・。そう、それがいいの」
 「はあ はあ はあ はあ」

 私も綾乃をイかせるため、激しくバックから腰を打ち付けた。

 「すごい すごくいい! 弘! お顔にかけて! あなたのザーメンを私にかけて!」

 私は体位を正常位に変え、再び律動を繰り返した。
 見れば見るほど美しい女だと思った。

 すると突然、綾乃が潮を吹いた。
 温かい感触がペニスを包んだ。
 私はさらにピストン運動を加速させ、クライマックスの直前でそれを素早く抜き去ると、綾乃の美しい顔に射精した。
 私は部屋にスプレーで落書きをしたような恍惚的背徳感に襲われ、激しいエクスタシーを感じた。
 私は満足だった。男は美しい物を汚すことで征服感を満たす動物だからだ。

 
 少しの間、綾乃のカラダが痙攣けいれんし、正気に戻った彼女は口のまわりに飛び散った精子を妖艶に舐めた。

 「弘のザーメン、美味しい・・・」

 その言葉で私は現実に引き戻された。
 妻の冴子に対する激しい罪悪感が私を襲った。

 「どうしたの? 私、よくなかった?」
 「やはりもう会うのは辞めよう。これ以上お前といたら、俺は家族を失うことになりそうだから。
 俺は家庭を手放すつもりはないんだ。すまない」

 綾乃はベッドから降りて、テーブルの上の俺のタバコを咥え、火を点けた。

 「つまんない人。これからじゃないの、お楽しみは?」

 そう言って俺を見て笑う綾乃は、まるで白雪姫に出てくる魔女のようだった。
 俺は綾乃という「毒リンゴ」を口にしてしまったのかもしれない。

 「もう離さないわよ。だってゲームは始まったんだから。あはははは あはははは」

 (ゲーム?)


 その後も私と綾乃の逢瀬は、月2回ほどのペースで続いていた。
 綾乃との甘美なセックスは、妻の冴子とのおざなりなセックスとは違い、次第に私を綾乃の性のとりこにしていった。
 私はどんどん綾乃という沼の深みへとハマって行った。

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