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第6話
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キャンディは香水に使う薔薇をバスケットにたくさん摘んで、宮廷のバラ園から戻る途中だった。
「こんなにたくさん採れちゃったもんねー。うーん、いい香り。
来年の春の新作はこれでバッチリだわ。
お姉ちゃんのシーナ王妃もきっと喜んでくれるはず」
その時、ガガ王女が自分の王国から一緒に連れて来た、ユニコーンと何やら話しているのを見掛けた。
(ガガ王女は何を話しているのかしら?)
キャンディはそっと物陰に隠れ、聞き耳を立てた。
「私たちは一体いつになったら王国に帰れるのかしらね? ユニ太郎。
それは私たちの王国にはこのアキバ王国のような華やかさや優雅さも、そしてAKB48もメイドカフェもないわ。
でもね、ダ・サイタマ王国には美しい田園風景が広がり、ネギや小松菜、そしてチューリップだってある。
どうして国民は分かってくれないのかしら?
国王も王妃も、そしてわたくしも国民と共にありたいのに、どうして王制を消滅させようとするの?
ああ、パパとママに会いたい。 もちろんダーリンにも。
帰りたいでしょ? ユニ太郎。ダ・サイタマへ」
ガガ王女はユニコーンの角を撫で、ユニ太郎はこっくりと頷いた。
(いつも強気なガガ王女が泣いている)
キャンディは思わずガガ王女に声を掛けた。
「これ、あげる」
キャンディはバスケットから虹色の薔薇を3本取出し、ガガ王女に差し出した。
ガガ王女はすぐに涙を拭うと、そのレインボウ・ローズの香を嗅いだ。
「なんていい香り。いいのキャンディ? 貰っても?」
「うん。いい香りでしょう? 七色に光ってキレイな薔薇でしょう?
これで香水を作るんだよ。
私が作る香水はね? お姉ちゃんも大好きなんだ」
「なんていう香水なの?」
「ドッチ&ガバガバだよ。ムスク・ローズなんだ」
「なんだか歌って踊りたくなるような名前ね?」
「私もこの香水を嗅ぐとね、貞子みたいに踊りたくなるんだ。
こんな風に」
キャンディが『貞子』の貞子みたいに踊ると、ガガ王女はお腹を抱えて笑った。
「あはは あはは 上手上手、キャンディ、貞子みたい。あはははは
私も嗅いでみたいな? その香水」
「いいよ、これから作るから一緒においでよ」
キャンディは調香アトリエにガガ王女を案内した。
「すごーい! 理科の実験室みたいね? とてもいい香りがする。
キャンディは何でも出来るのね?」
ガガ王女はアトリエの中を見渡しながらキャンディを褒めた。
流石はアラフィフ姐さん、美熟女だ。
キャンディは褒められて伸びるタイプである。チョッパーのようにメロメロになってしまった。
「止めてよ、天才だなんて。
私はただの可愛くてお洒落でオッパイの感度がいい、七の段以外の九九なら完璧に言える、才色兼備のただのメイドよ。
いやだなあもう、ガガ王女ったら、そんな本当のこと言って。
私、照れちゃうじゃない。ウヘヘヘへ」
「私はただ「キャンディは何でも出来るのね?」と言っただけで、「天才」とは言ってないけど?」
「いいから、いいから。
ガガの心の声は確かに私には聞こえているから安心して。
じゃあ早速始めるわよ」
キャンディは先程摘んだばかりのレインボー・ローズを釜の中に入れると、それを蒸し始めた。
「次はスパイスを入れるのよ。
香水はね、女と一緒なの。
甘くて優しいだけの女はすぐに男性から飽きられてしまうわ。「コイツ、俺のためならどんなエッチなこともするな?」ってすぐつけ上がるでしょう?
だから女は小悪魔でいなくっちゃいけない。
香水作りにもスパイスは重要なの。カルダモンとかジンジャーとかね?」
「へえー、スパイスも入れるのね? なんだかカレーみたい」
「それから動物性成分も重要なのよ。俗にいうところのムスクとか。
ジャコウ鹿、ジャコウ猫、ジャコウネズミ、それからマッコウクジラの生殖腺の分泌液も大切なの」
「生殖腺って、あのニャンタマ袋とかのこと?」
「おチ〇ポのそこに近いところかしらね?
これ、今年の新作なんだけどちょっと嗅いでみる?」
ガガ王女はそっと紫の小瓶の香りを嗅いでみた。
「うわー、素敵な香りね? まるで天国に昇りそうな香りだわ!」
「香水はね? カラダに付けるとどんどん変化していくの。
香りには揮発性があるでしょう? その人の持っている体臭と相まって、よりオリジナルの香りに変化するのよ。
トップノート、ミドルノート、ラストノートがあるわ。
気に入ったんならそれ、ガガにあげる」
「いいの、貰っても?」
「どうぞ、あなたも大変なのね? 王国が早く平和になるといいわね?
でもね、ジャスティン様は私のものよ、どんなにあなたが王女として苦悩しているとしても、彼だけは譲れない」
「キャンディ、それなら安心して。私、婚約しているの、アカサカ王国のヨシキ王子と」
「えーっつ! 驚き桃の木山椒の木! あのアカサカ王国のイケメン王子、ヨシキ王子と婚約!
あの鞭打ち症になるくらい、沢山の太鼓叩いて、ガラスのピアノをうっとりと弾く、あのヨシキ王子とガガが婚約!」
「そうなの、だからジャスティン王子とどうにかなろうなんて全然考えていないから大丈夫。安心して。
それはヨシキと離れて寂しいから、時々ムラムラすることもあるわよ? チャット・セックスだけじゃ物足りないし。
ジャスティンはセフレにはいいけど、結婚は出来ないの」
「お、おいガガ。セフレもダメだからね? 絶対にダメ!
私だけのジャスティン様なんだからあ!」
「ごめんごめん、冗談よ冗談。
応援するわね? キャンディとジャスティンが結ばれる事」
「ありがとう、ガガ王女」
キャンディにはまた一人、素敵なお姉ちゃん? ママ? が増えた。
歳はママと同じだけど。
「こんなにたくさん採れちゃったもんねー。うーん、いい香り。
来年の春の新作はこれでバッチリだわ。
お姉ちゃんのシーナ王妃もきっと喜んでくれるはず」
その時、ガガ王女が自分の王国から一緒に連れて来た、ユニコーンと何やら話しているのを見掛けた。
(ガガ王女は何を話しているのかしら?)
キャンディはそっと物陰に隠れ、聞き耳を立てた。
「私たちは一体いつになったら王国に帰れるのかしらね? ユニ太郎。
それは私たちの王国にはこのアキバ王国のような華やかさや優雅さも、そしてAKB48もメイドカフェもないわ。
でもね、ダ・サイタマ王国には美しい田園風景が広がり、ネギや小松菜、そしてチューリップだってある。
どうして国民は分かってくれないのかしら?
国王も王妃も、そしてわたくしも国民と共にありたいのに、どうして王制を消滅させようとするの?
ああ、パパとママに会いたい。 もちろんダーリンにも。
帰りたいでしょ? ユニ太郎。ダ・サイタマへ」
ガガ王女はユニコーンの角を撫で、ユニ太郎はこっくりと頷いた。
(いつも強気なガガ王女が泣いている)
キャンディは思わずガガ王女に声を掛けた。
「これ、あげる」
キャンディはバスケットから虹色の薔薇を3本取出し、ガガ王女に差し出した。
ガガ王女はすぐに涙を拭うと、そのレインボウ・ローズの香を嗅いだ。
「なんていい香り。いいのキャンディ? 貰っても?」
「うん。いい香りでしょう? 七色に光ってキレイな薔薇でしょう?
これで香水を作るんだよ。
私が作る香水はね? お姉ちゃんも大好きなんだ」
「なんていう香水なの?」
「ドッチ&ガバガバだよ。ムスク・ローズなんだ」
「なんだか歌って踊りたくなるような名前ね?」
「私もこの香水を嗅ぐとね、貞子みたいに踊りたくなるんだ。
こんな風に」
キャンディが『貞子』の貞子みたいに踊ると、ガガ王女はお腹を抱えて笑った。
「あはは あはは 上手上手、キャンディ、貞子みたい。あはははは
私も嗅いでみたいな? その香水」
「いいよ、これから作るから一緒においでよ」
キャンディは調香アトリエにガガ王女を案内した。
「すごーい! 理科の実験室みたいね? とてもいい香りがする。
キャンディは何でも出来るのね?」
ガガ王女はアトリエの中を見渡しながらキャンディを褒めた。
流石はアラフィフ姐さん、美熟女だ。
キャンディは褒められて伸びるタイプである。チョッパーのようにメロメロになってしまった。
「止めてよ、天才だなんて。
私はただの可愛くてお洒落でオッパイの感度がいい、七の段以外の九九なら完璧に言える、才色兼備のただのメイドよ。
いやだなあもう、ガガ王女ったら、そんな本当のこと言って。
私、照れちゃうじゃない。ウヘヘヘへ」
「私はただ「キャンディは何でも出来るのね?」と言っただけで、「天才」とは言ってないけど?」
「いいから、いいから。
ガガの心の声は確かに私には聞こえているから安心して。
じゃあ早速始めるわよ」
キャンディは先程摘んだばかりのレインボー・ローズを釜の中に入れると、それを蒸し始めた。
「次はスパイスを入れるのよ。
香水はね、女と一緒なの。
甘くて優しいだけの女はすぐに男性から飽きられてしまうわ。「コイツ、俺のためならどんなエッチなこともするな?」ってすぐつけ上がるでしょう?
だから女は小悪魔でいなくっちゃいけない。
香水作りにもスパイスは重要なの。カルダモンとかジンジャーとかね?」
「へえー、スパイスも入れるのね? なんだかカレーみたい」
「それから動物性成分も重要なのよ。俗にいうところのムスクとか。
ジャコウ鹿、ジャコウ猫、ジャコウネズミ、それからマッコウクジラの生殖腺の分泌液も大切なの」
「生殖腺って、あのニャンタマ袋とかのこと?」
「おチ〇ポのそこに近いところかしらね?
これ、今年の新作なんだけどちょっと嗅いでみる?」
ガガ王女はそっと紫の小瓶の香りを嗅いでみた。
「うわー、素敵な香りね? まるで天国に昇りそうな香りだわ!」
「香水はね? カラダに付けるとどんどん変化していくの。
香りには揮発性があるでしょう? その人の持っている体臭と相まって、よりオリジナルの香りに変化するのよ。
トップノート、ミドルノート、ラストノートがあるわ。
気に入ったんならそれ、ガガにあげる」
「いいの、貰っても?」
「どうぞ、あなたも大変なのね? 王国が早く平和になるといいわね?
でもね、ジャスティン様は私のものよ、どんなにあなたが王女として苦悩しているとしても、彼だけは譲れない」
「キャンディ、それなら安心して。私、婚約しているの、アカサカ王国のヨシキ王子と」
「えーっつ! 驚き桃の木山椒の木! あのアカサカ王国のイケメン王子、ヨシキ王子と婚約!
あの鞭打ち症になるくらい、沢山の太鼓叩いて、ガラスのピアノをうっとりと弾く、あのヨシキ王子とガガが婚約!」
「そうなの、だからジャスティン王子とどうにかなろうなんて全然考えていないから大丈夫。安心して。
それはヨシキと離れて寂しいから、時々ムラムラすることもあるわよ? チャット・セックスだけじゃ物足りないし。
ジャスティンはセフレにはいいけど、結婚は出来ないの」
「お、おいガガ。セフレもダメだからね? 絶対にダメ!
私だけのジャスティン様なんだからあ!」
「ごめんごめん、冗談よ冗談。
応援するわね? キャンディとジャスティンが結ばれる事」
「ありがとう、ガガ王女」
キャンディにはまた一人、素敵なお姉ちゃん? ママ? が増えた。
歳はママと同じだけど。
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