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第5話

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 キャンディはスキップしながら出来立てホヤホヤのあの『媚薬』を手に、午後のティー・パーティにやって来た。

 「キャンディ、なんだか凄くうれしそうだね?
 君の手に持っているその茶色の小瓶は何だい?」

 ジャスティン王子はキャンディが手にしているのが『媚薬』だとも知らず、それに興味を示した。

 「ヘヘーン、王子様。これはね? これはその~つまりー、あれがあれしてこれがこうで、だからこうなるという魔法の滋養強壮剤です。
 ドンケル黄帝液の1,000倍の効果があるんですよ。
 もっと分かり易く言うとね? 黎明酒とドンケルと、まむしドリンクとヤキルト1000を混ぜたようなものね?    
 隠し味にフィイザー社製のあれ、アキバグラも入れてあるの。
 これを飲めば殿方は元気モリモリ、あそこはビンビンびんぼっちゃまよ!
 そして女の子はもっとかわゆく、オバサンもそれなりに若く見えるという、まさに魔法のお薬なのよー! オーッホッホッホッ」
 「そんなに凄いのかい? 最近、ボクは夏の疲れが残ってしまって、バテバテなんだよ。食欲もあまりないんだ」
 「だったらラクダ倶楽部じゃないけどどうぞどうぞ。苦いのでオレンジペコーに混ぜるといいですよ」
 「じゃあ試してみようかな? いいのかい? そんな貴重な物を?」
 「どーぞどーぞ!」

 (シメシメ、これでジャスティン様がガガ王女に惚れることはなくなるわね。
 何しろこれは、相手を「嫌いになるお薬」なんですもの) 
 
 そこにガガ王女がチャチャを入れた。

 「ジャスティン、そんな変な訳の分からない物なんか飲まない方がいいわよ。
 こんな小娘、何を入れたのかわかったもんじゃないから」
 「うるせえんだよ、このうんこババア!
 これは代々このアキバ王国に伝わる秘薬、『ブラックブル1000皇帝液』なの!
 ダ・サイタマ王国にはないでしょうけどね!
 これさえ飲めばヤリたくなること間違いなしなんだから!
 オバサンは黙っていなさいよ!
 またの名を『赤ちゃんポコポコ』と言って、チューしただけですぐに妊娠しちゃうんだから!」
 「そんなインチキ薬なんか、我が王国にはないわよ! 薬事法違反だし!」

 ガガ王女はキャンディに食って掛かった。

 「こんなオバチャンのことは放っておいて、さあ王子、どうぞ召し上がれ」

 キャンディはそれが媚薬とも知らず、ジャスティンのティーカップにそれを数滴垂らした。

 王子はそれを飲んだ。
 するとジャスティンはみるみる顔を紅潮させ、鼻息が荒くなり、目は血走ってガガ王女に飛び掛かり、王女を芝生の上に押し倒してしまった。

 「ジャスティン、いけないわこんなところで。
 そんなにしたいなら、私のベッドに行きましょう」
 「ダメだよガガ、ボクはもう自分がコントロール出来ないんだ!
 か、からだが勝手に・・・」
 「ジャスティン王子! どうしたの? 股間が、股間がまるで東京ドームみたいにパンパンになっているじゃないの!
 苦しいのね? 金属バットが。
 わかったわ、すぐに気持ちよくしてあげる!」

 (あれれ、どうなっちゃっているのかしら? 王子が飲むとガガ王女を嫌いになるハズなのに、全然逆効果じゃないの! 製法を間違えちゃったのかしら?)

 キャンディは魔法の箒、プリウスを呼んだ。

 「プリウスーッ! 早く来てちょうだーい!」

 するとプリウスがすっ飛んで来た。

 「お呼びですか? キャンディ様!」
 「すぐに王子を宮廷病院へ運んで頂戴!」
 「アイアイ・サー!」

 プリウスはジャスティン王子を咥えると赤色回転灯を点け、宮廷病院へと王子を運んだ。

 ピーポー、ピーポー

 
 「ドクターSEX、あっ間違えたドクターXだった。どうなの? 王子の様態は?」
 「これは急性媚薬中毒ですな? 大丈夫、このチョー苦い、ゲロ不味い青汁を飲めばすぐに良くなります。
 ご安心下さい。
 でもどうして媚薬なんかをジャスティン様が・・・」


 キャンディはすぐに魔法実験室に戻ると、あらためて事典を読み直してみた。
 するとそこには、

 「ナニナニ? 「・・・以上が強力惚れ薬『金立ちキンキン1000』の作り方である。 
 これを『キライキライダイッキライ500』にするには、この薬にキングコブラとタランチュラの毒、そして人魚の涙を入れれば完成である。
 なお取り扱いには十分注意し、魔法薬剤師の指示の基、用法・用量を守ってご使用下さい」だあ?
 アチャアー、全く逆のやつを飲ませちゃったー!
 どちらにしても人魚の涙なんて手に入らないから無理。仕方がない、別な方法を考えるしかないわね?」

 キャンディは一休さんのように座禅を組み、

 「あわてないあわてない。ひとやすみひとやすみ」

 と、ツインテールの頭を撫でた。

 果たしてキャンディにいい案は浮かぶのだろうか?

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