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第19話 龍と虎
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午後3時、歌舞伎町の開店前のキャバクラには、龍と虎が対峙していた。
佐竹が胸のホルスターからトカレフを抜くと、ガラステーブルの上にそれを置いた。
「どうもこんな重てえ物を持っていると、肩が凝っていけねえ。
小次郎、おめえは大丈夫か?」
すると小次郎も、腰ベルトに挟んでいたコルトガバメントを抜き、同じように静かにテーブルに置いた。
「佐竹さん、先日はとんだご挨拶をいただき、驚きましたよ、本気なんですね?」
「勘違いするな、小次郎。
最初に仕掛けたのはおめえの方じゃねえか?
人のビジネスの邪魔をしやがって、今さら被害者ツラか?」
「それは言い掛かりと言う物ですよ、私はゴミを見つけたのでそれをゴミ箱に捨てただけです。
街が汚れないように、ゴミが落ちていたらそれを拾う。
学校で教わりませんでしたか?」
「生憎だなあ? 俺はお前と違って中卒なんでね、そんなの知らねえなあ。俺の先公は何も教えてはくれなかったぜ。
小次郎、10年前の事を忘れたわけじゃあるめえ。
お前に組を潰された俺は、1日たりともそれを忘れた事はなかったぜ。
俺の時計は10年間、ずっと止まったままだ。
それがようやく動き出したまでよ」
「やられたらやり返す。
いつになったらその憎しみのスパイラルが終わるんでしょうか?」
佐竹は上目遣いに小次郎を睨み付けた。
「それが俺たちの渡世だ。
強い者が正義なんだよ、勝てば官軍、負ければ賊軍よ」
「任侠道はどこへ消えたんでしょうね?
清水の次郎長、森の石松はもう昔話なんでしょうか?」
「御託を並べるんじゃねえ!
小次郎、決着をつけようぜ。
3日後、差しで勝負だ。
場所は中央大通り、早朝4時、いいな!」
小次郎はタバコに火を点け、佐竹を見据えた。
「佐竹さん、お命、頂戴します」
「それは俺のセリフだぜ、小次郎」
龍と虎、ついに決着をつける時がやって来た。
佐竹が胸のホルスターからトカレフを抜くと、ガラステーブルの上にそれを置いた。
「どうもこんな重てえ物を持っていると、肩が凝っていけねえ。
小次郎、おめえは大丈夫か?」
すると小次郎も、腰ベルトに挟んでいたコルトガバメントを抜き、同じように静かにテーブルに置いた。
「佐竹さん、先日はとんだご挨拶をいただき、驚きましたよ、本気なんですね?」
「勘違いするな、小次郎。
最初に仕掛けたのはおめえの方じゃねえか?
人のビジネスの邪魔をしやがって、今さら被害者ツラか?」
「それは言い掛かりと言う物ですよ、私はゴミを見つけたのでそれをゴミ箱に捨てただけです。
街が汚れないように、ゴミが落ちていたらそれを拾う。
学校で教わりませんでしたか?」
「生憎だなあ? 俺はお前と違って中卒なんでね、そんなの知らねえなあ。俺の先公は何も教えてはくれなかったぜ。
小次郎、10年前の事を忘れたわけじゃあるめえ。
お前に組を潰された俺は、1日たりともそれを忘れた事はなかったぜ。
俺の時計は10年間、ずっと止まったままだ。
それがようやく動き出したまでよ」
「やられたらやり返す。
いつになったらその憎しみのスパイラルが終わるんでしょうか?」
佐竹は上目遣いに小次郎を睨み付けた。
「それが俺たちの渡世だ。
強い者が正義なんだよ、勝てば官軍、負ければ賊軍よ」
「任侠道はどこへ消えたんでしょうね?
清水の次郎長、森の石松はもう昔話なんでしょうか?」
「御託を並べるんじゃねえ!
小次郎、決着をつけようぜ。
3日後、差しで勝負だ。
場所は中央大通り、早朝4時、いいな!」
小次郎はタバコに火を点け、佐竹を見据えた。
「佐竹さん、お命、頂戴します」
「それは俺のセリフだぜ、小次郎」
龍と虎、ついに決着をつける時がやって来た。
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