9 / 13
第9話
しおりを挟む
朝、いつものように銀行に出勤すると、梨奈に好奇と蔑みの目が注がれた。
「おはようございます」
誰も返事をする者はいない。
すると部下の石橋が梨奈にメモを渡した。
次長の画像がネットに晒されています
パソコンを立ち上げると、一斉メールが届いていた。
それは霧島頭取が保険として保存しておいた、梨奈の行為中の裸を撮影した淫らな画像だった。
霧島が仕掛けたリベンジポルノだった。
梨奈は支店長の小田から支店長室に呼ばれた。
「当行は君を解雇することになった。
解雇とは言っても君からはすでに辞意の申し出があったので、形としては依願退職という扱いにしてあるから、退職金その他については影響はしないように配慮させてもらった。実に残念だよ、こんな形で送別会すら出来ないまま、君とお別れすることになるとはね?
物事というのは始めるのは簡単だが、終わり方は慎重にしなければならない。わかるね?」
「ご高配、ありがとうございました」
梨奈は別に驚きもしなかった。それはすでに予想していたことだったからだ。
数日後、梨奈は匿名で金融庁と国税庁、そして検察に霧島の裏金の証拠が入ったUSBメモリーを郵送した。
もちろんリベンジポルノも警察に被害届を提出しようとしたが握り潰されてしまった。
だがそれも想定内であった。梨奈は霧島と民事で争うことにした。
予想通り、すぐに霧島の代理人弁護士から示談金の提示があった。
梨奈は示談に応じた。
霧島帝国はあっけなく崩壊した。
梨奈は霧島から上村とのことを妨害されないようにと、周到に計画を立てて実行し、霧島からすべての権力を剥奪した。
霧島はただの「老いぼれ」になったのである。
直ちに報復人事が行われ、頭取派は一掃され、常務派と入れ替わる人事が発表された。
頭取派だった本店の支店長の小田は倒産寸前の病院の事務長への出向が決まり、三浦は融資課長から廃店が決まっていた田舎の支店長へと飛ばされてしまった。
「おはようございます」
誰も返事をする者はいない。
すると部下の石橋が梨奈にメモを渡した。
次長の画像がネットに晒されています
パソコンを立ち上げると、一斉メールが届いていた。
それは霧島頭取が保険として保存しておいた、梨奈の行為中の裸を撮影した淫らな画像だった。
霧島が仕掛けたリベンジポルノだった。
梨奈は支店長の小田から支店長室に呼ばれた。
「当行は君を解雇することになった。
解雇とは言っても君からはすでに辞意の申し出があったので、形としては依願退職という扱いにしてあるから、退職金その他については影響はしないように配慮させてもらった。実に残念だよ、こんな形で送別会すら出来ないまま、君とお別れすることになるとはね?
物事というのは始めるのは簡単だが、終わり方は慎重にしなければならない。わかるね?」
「ご高配、ありがとうございました」
梨奈は別に驚きもしなかった。それはすでに予想していたことだったからだ。
数日後、梨奈は匿名で金融庁と国税庁、そして検察に霧島の裏金の証拠が入ったUSBメモリーを郵送した。
もちろんリベンジポルノも警察に被害届を提出しようとしたが握り潰されてしまった。
だがそれも想定内であった。梨奈は霧島と民事で争うことにした。
予想通り、すぐに霧島の代理人弁護士から示談金の提示があった。
梨奈は示談に応じた。
霧島帝国はあっけなく崩壊した。
梨奈は霧島から上村とのことを妨害されないようにと、周到に計画を立てて実行し、霧島からすべての権力を剥奪した。
霧島はただの「老いぼれ」になったのである。
直ちに報復人事が行われ、頭取派は一掃され、常務派と入れ替わる人事が発表された。
頭取派だった本店の支店長の小田は倒産寸前の病院の事務長への出向が決まり、三浦は融資課長から廃店が決まっていた田舎の支店長へと飛ばされてしまった。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる