狂ったドリアン

菊池昭仁

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政治と「お金」

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 政治腐敗はなくならない。東大法学部を出ても道徳心も理性も政治家としての矜持もない。
 不祥事が露呈すると醜い言い訳をして、議員を辞めない。
 裏金だろうが不倫だろうがパパ活だろうがなんでもありである。
 こんな連中に日本が動かされているのだ。おそらくこいつらの親はもっと酷いはずだ。
 
 なぜ政治は良くならない? それはみんなカネが欲しいからだ。

      権力=カネ

 と言っても過言ではない。
 カネが出来れば権力が欲しくなる。権力を手にすればまたカネが集まる。
 利権が欲しいからとカネを渡す連中。そして世話になったらまたそのお礼だと言ってカネを渡し、そして「また次もお願いしますね」と、更に関係が深くなるのだ。

 つまり、政治家とカネの欲しい連中は「持ちつ持たれつ」なのだ。

 「オリンピックをやるぞ」
 「大阪万博をやるぞ」
 「リニアを通すぞ」
 「日本でカジノをやるぞ」

 それで誰が潤うのかということだ。国民は所得の半分も税金等に取られてだ。
 クタクタになって1,000万円稼いでも500万円も手元に残らない。
 国家事業に企業を参入させ、そのリベートが政治家に還流されている。
 利用される者と利用する者。
 いつまでもなくならない政治腐敗。

 どうして? お互いにカネが欲しいからだ。


 例えば自分の子供を町役場に入れて欲しいと町長にお願いする。
 なんで役場に入りたいのか? 公務員で安定しているからだ。つまり安定しているということは「安定してお金がもらえる」からだ。

 「口利きにいくら出せばいい? 相場は?」
 「150万円らしいぞ」
 「そうか、わかった」

 そして町役場に就職出来ると今度は、

 「選挙の時は頼むよ」
 「もちろんですよ!」

 その繰り返しである。だから町長や村長になると長期政権になる。
 選挙圏が狭いからだ。町や村の権力者と顔見知りだからである。
 セクハラにパワハラとやりたい放題。倫理観ゼロ。
 それは住民が自分に利益をもたらしてくれる政治家を選ぶからだ。

 知り合いの秘書が言っていた。

 「下っ端の国会議員になるより村長の方が儲かるよ」

 それが実情である。

 
 権力者と知り合いである、友人である、子分であると自慢する。
 国民や企業から税金を集め、 それを自由に勝手に使う大物政治家たち。
 それは日本が建国されてから変わらない。
 政治は麻薬である。人もカネも思い通りだ。だから辞めないし、辞められない。
 だから子供や孫、曾孫にまで世襲させようとする。
 それだけ政治家は旨味のあるなのだ。

 「ここに道路を通せ」
 「俺の地元に空港を作れ」
 「高速道路をここに作れよ」
 「アフリカに資金援助だ」
 「ウクライナに支援を出せ」
 「アメリカから武器を買え」

 そしてそれを業者に発注してまたカネを取る。
 結果、業者も政治家も潤い、どんどん肥大化してゆく。電通、吉本興業、大手ゼネコンたち。
 誰のカネで? 国民の血税でだ。

 募金は赤十字や政府、地方自治体にしてはいけない。有効に使われるかどうか分かったもんじゃない。
 とくに現金での寄付は本当に入金扱いになっているのだろうか?
 
 宝くじの宣伝も盛んにやっているが、その売上は約8,000億円。そのうちの約半分、4,000億円が当選金に充てられ、公共事業や福祉、社会貢献には約15%の1,200億円。そして残りの約35%の2,800億円がなんと、手数料である。銀行やそういうところに流れている可能性は否めない。
 賭け麻雀や野球賭博、闇カジノでは逮捕されてしまうのにだ。
 でもパチンコ、競艇、競馬、競輪、オートレースは公営ギャンブル的に認可され、そして今度はカジノもやるという。
 そしてその莫大なカネが有力政治家に流れるシステムだ。


      政治腐敗はなくならない。


 ではどうすればいいか? それは政治家が何をしたかをマスコミが正確に公表するべきだ。
 そしてそれを国民がチェックする。
 つまり集めたカネを何に使ったかを国民は知る必要があるのである。

 国益にならないことばかりをしている政党、政治家は処罰されなければならない。
 政治家だけではない、メディアも同じだ。
 政治家に忖度しているテレビや新聞は糾弾しなければならない。
 文春は独立して正しいジャーナリズムを貫いて欲しいものである。

 特にテレビの腐敗は酷い。NHKも同じだ。
 自民党の手先、宣伝広告媒体に成り下がっている。
 NHK会長はNHK経営委員会の12人の委員のうち、9人の同意が得られれば会長に任命されるという。
 そしてその12人の委員は衆参両院の同意を得て首相が任命するのである。
 その経緯は明らかにされてはいない。
 

 歴史は時の権力者によって作られる。変えられてしまうのだ。

 それでも今の日本はまだいい。戦争中はそうはいかない。人権は簡単に無視されてしまうのだ。

 だが私は政治腐敗はあまり気にならない。
 なぜならそんな下劣な政治家たちは「死後、裁きにあい、生まれ変わると悲惨な人生を辿ることになる」からだ。
 少なくともそう思いたい。

 政治に正義を求めるのは無理なのかも知れない。
 人間に欲望が消えない限り。

  
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