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第8話 愚者の口は無知を吐き出す
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その日、桃子は山本という若い男を待っていた。
16時の待ち合わせに、その山本は定刻通りにやって来た。
山本と名乗るその男は、マッチングアプリの画像とは少し違っていた。
ニューヨークヤンキースのキャップを被り、ヘッドフォンをして彼は現れた。
胸板が薄く、薄笑いをするその表情が鼻についた。
いつもの桃子なら、相手にしないタイプではあったが、この2日間、桃子はお茶を引いていた。
少しでもお金を稼ごうと、桃子はその男とホテルについて行った。
部屋に入り、桃子が料金の説明をしようとした時、突然、男から拳で殴られた。
桃子はそのままベッドに押し倒され、服や下着をはぎ取られてしまった。
「やめて! 何をするの! 警察に言うわよ!」
男はスマホを構え、動画撮影を始めた。
「いいねえ、その表情。最高じゃん」
そして今度は下腹部を蹴られた。
「こんなこと、して、私にはね、青龍会の・・・」
桃子はまた殴られた。
「青龍会がどうしたって? うひゃひゃひゃひゃ。
俺はね、こうしないと興奮しないの。
ほら、もっと抵抗しろ、暴れろよ、そうしないと俺は燃えないんだから。ふふふふふっ」
桃子は顔を往復ビンタされ、携帯も取りあげられてしまった。
男は自分のズボンからベルトを引き抜くと、それで桃子を打ち付けた。
「あう、やめて! 痛い! お願い!」
「ほら、もっとわめけ! ほらほら、どうだ! 痛いか? ほら、泣き叫べ! この淫売! あはははは」
桃子がフロントへ助けを呼ぼうとすると、再び顔面を殴られた。
鼻血が出た。
鼻が折れたようだった。
「なんだ、濡れてねえじゃねえか?
ほら濡らしてみろよ、まだやられたいのか? イヒヒヒヒヒ」
桃子はまた顔を殴られ、腹を回し蹴りされた。
髪を捕まれ引き摺り倒された。
「じゃあ、やらせてもらうかな?」
男は無理やり桃子に襲い掛かって来た。
「いやあーーーー!」
桃子は遠のく意識の中で、大湊の名を呼んだ。
「助け、て・・・、牧師・・・さん、・・・」
桃子が眼をさましたのは病院だった。
私と直人、美樹、そして祖母、権藤たちもいた。
「肋骨が3本、左鎖骨骨折。鼻の骨も折れていました。
それから前歯が2本、折られています。
おびただしい打撲痕。脳に異常は認められませんでしたが酷い状態です。
警察には通報しましたが、全治3カ月の重傷です」
その中年の医師は痛々しそうに顔をしかめた。
包帯でぐるぐる巻きにされ、点滴をされている桃子を見て、美樹たち家族は泣いた。
「よくもモモ姉をこんな酷い目に・・・」
私は桃子の手を握った。
「美樹ちゃんたちのことは心配しなくていいからね?
私が面倒を看るから、モモちゃんは安心して治療に専念すればいい。わかったね?」
桃子は痛々しい声で、
「ごめんなさい、牧師さん・・・」
桃子の目から涙が零れた。
権藤は美樹に見舞いの花と、100万円の札束の入った封筒を渡すと、そのまま無言で病室を出て行った。
権藤たちは古い小さな自動車修理工場にいた。
その男は顔の判別が出来ないほど、殴りつけられていた。
「おい、丸焼きとコンクリート詰めで海へドボン、どっちがいい?」
「お、お願いです、た、助けて下さい!」
「お前は都合がいい奴だなあ? ウチの娘をあんなに可愛がっておいて、自分は命乞いか? どこまでもクズ野郎だな?
おいケン、そいつの携帯を寄越せ」
「ヘイ」
権藤がその携帯のフォルダーを開くと、そこに桃子がレイプされている動画が残されていた。
「随分、良く撮れてんじゃねえか?
お前、AV監督の才能あるなあ」
「お、お金なら払います! 勘弁して下さい!」
「いくら払う?」
「ひゃ、百万円」
「安いなあ、ウチのアイドルだぜ? 看板商品をあんなにされて100万ねえ?」
「1,000万、1,000万払います! だから・・・」
「世の中にはな、カネでは買えない物もあるんだぜ。
そうか、おめえは悪くねえ。
おめえは悪くねえんだ。
悪いのはコイツだな? コイツがついてるから女を襲いたくなる。
これ、無い方がいいんじゃねえか?
お前の大好きな、女にしてやろうか? なあ? いいぜ女は? 男みたいに出して終わりじゃねえからなあ」
すると権藤の部下たちは男を押さえつけ、ズボンを脱がせると股間にオイルライターのオイルを掛けた。
「や、やめろっーーーーーー!」
「なんだって? 聴こえねえなあ?
俺も最近、耳が遠くなっちまってよ、眼も暗くなると見えねえんだ」
権藤はオイルライターでタバコに火を点けた。
「クリスマスはもう終わったけど、この小せえキャンドルで我慢するか?
今日は冷えるし、風邪引くといけねえからな? ほれ、温まれや」
権藤は火のついたタバコを男の陰部に押し付けた。
「うぎゃーーーーっ!」
男の断末魔の叫び声と、陰毛の焦げたニオイが辺りに立ち込めた。
権藤はそのまま、警察へと出頭した。
16時の待ち合わせに、その山本は定刻通りにやって来た。
山本と名乗るその男は、マッチングアプリの画像とは少し違っていた。
ニューヨークヤンキースのキャップを被り、ヘッドフォンをして彼は現れた。
胸板が薄く、薄笑いをするその表情が鼻についた。
いつもの桃子なら、相手にしないタイプではあったが、この2日間、桃子はお茶を引いていた。
少しでもお金を稼ごうと、桃子はその男とホテルについて行った。
部屋に入り、桃子が料金の説明をしようとした時、突然、男から拳で殴られた。
桃子はそのままベッドに押し倒され、服や下着をはぎ取られてしまった。
「やめて! 何をするの! 警察に言うわよ!」
男はスマホを構え、動画撮影を始めた。
「いいねえ、その表情。最高じゃん」
そして今度は下腹部を蹴られた。
「こんなこと、して、私にはね、青龍会の・・・」
桃子はまた殴られた。
「青龍会がどうしたって? うひゃひゃひゃひゃ。
俺はね、こうしないと興奮しないの。
ほら、もっと抵抗しろ、暴れろよ、そうしないと俺は燃えないんだから。ふふふふふっ」
桃子は顔を往復ビンタされ、携帯も取りあげられてしまった。
男は自分のズボンからベルトを引き抜くと、それで桃子を打ち付けた。
「あう、やめて! 痛い! お願い!」
「ほら、もっとわめけ! ほらほら、どうだ! 痛いか? ほら、泣き叫べ! この淫売! あはははは」
桃子がフロントへ助けを呼ぼうとすると、再び顔面を殴られた。
鼻血が出た。
鼻が折れたようだった。
「なんだ、濡れてねえじゃねえか?
ほら濡らしてみろよ、まだやられたいのか? イヒヒヒヒヒ」
桃子はまた顔を殴られ、腹を回し蹴りされた。
髪を捕まれ引き摺り倒された。
「じゃあ、やらせてもらうかな?」
男は無理やり桃子に襲い掛かって来た。
「いやあーーーー!」
桃子は遠のく意識の中で、大湊の名を呼んだ。
「助け、て・・・、牧師・・・さん、・・・」
桃子が眼をさましたのは病院だった。
私と直人、美樹、そして祖母、権藤たちもいた。
「肋骨が3本、左鎖骨骨折。鼻の骨も折れていました。
それから前歯が2本、折られています。
おびただしい打撲痕。脳に異常は認められませんでしたが酷い状態です。
警察には通報しましたが、全治3カ月の重傷です」
その中年の医師は痛々しそうに顔をしかめた。
包帯でぐるぐる巻きにされ、点滴をされている桃子を見て、美樹たち家族は泣いた。
「よくもモモ姉をこんな酷い目に・・・」
私は桃子の手を握った。
「美樹ちゃんたちのことは心配しなくていいからね?
私が面倒を看るから、モモちゃんは安心して治療に専念すればいい。わかったね?」
桃子は痛々しい声で、
「ごめんなさい、牧師さん・・・」
桃子の目から涙が零れた。
権藤は美樹に見舞いの花と、100万円の札束の入った封筒を渡すと、そのまま無言で病室を出て行った。
権藤たちは古い小さな自動車修理工場にいた。
その男は顔の判別が出来ないほど、殴りつけられていた。
「おい、丸焼きとコンクリート詰めで海へドボン、どっちがいい?」
「お、お願いです、た、助けて下さい!」
「お前は都合がいい奴だなあ? ウチの娘をあんなに可愛がっておいて、自分は命乞いか? どこまでもクズ野郎だな?
おいケン、そいつの携帯を寄越せ」
「ヘイ」
権藤がその携帯のフォルダーを開くと、そこに桃子がレイプされている動画が残されていた。
「随分、良く撮れてんじゃねえか?
お前、AV監督の才能あるなあ」
「お、お金なら払います! 勘弁して下さい!」
「いくら払う?」
「ひゃ、百万円」
「安いなあ、ウチのアイドルだぜ? 看板商品をあんなにされて100万ねえ?」
「1,000万、1,000万払います! だから・・・」
「世の中にはな、カネでは買えない物もあるんだぜ。
そうか、おめえは悪くねえ。
おめえは悪くねえんだ。
悪いのはコイツだな? コイツがついてるから女を襲いたくなる。
これ、無い方がいいんじゃねえか?
お前の大好きな、女にしてやろうか? なあ? いいぜ女は? 男みたいに出して終わりじゃねえからなあ」
すると権藤の部下たちは男を押さえつけ、ズボンを脱がせると股間にオイルライターのオイルを掛けた。
「や、やめろっーーーーーー!」
「なんだって? 聴こえねえなあ?
俺も最近、耳が遠くなっちまってよ、眼も暗くなると見えねえんだ」
権藤はオイルライターでタバコに火を点けた。
「クリスマスはもう終わったけど、この小せえキャンドルで我慢するか?
今日は冷えるし、風邪引くといけねえからな? ほれ、温まれや」
権藤は火のついたタバコを男の陰部に押し付けた。
「うぎゃーーーーっ!」
男の断末魔の叫び声と、陰毛の焦げたニオイが辺りに立ち込めた。
権藤はそのまま、警察へと出頭した。
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