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その9
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「ボク、あのお客さんたちキライです」
「親の七光り、『レインボー・トリオ』のことか?」
「自分には実力もないくせに」
「その親に生まれた運はあるぞ」
「ボクもラオチュウ料理長みたいなジャイアント・パンダに生まれたかったです。
こんなお腹の真っ黒なレッサーパンダじゃなくて。
だって熊猫ですよ? ボクはネコですか? それともクマですか?」
「俺は大熊猫だけどな?」
『レインボー・トリオ』が酒盛りをしていた。
「俺ん家はさあ、「メシを食う時は絶対に酒を飲め」って言うのがパパの掟なんだよ」
「瞬きばっかりしているお前の親父って、嘘つきジジイだったよな? いつもハッタリばかりのパフォーマンス親父」
「うるせえよ、シゲシゲ! お前の親父だって野球の神様っ言われているのに、お前みたいに野球が下手っぴなバカ息子を『攻撃の巨人』に入れちゃったくせによお!」
「なんだと! このポンコツ天気予報士!
お前の天気予報はいつも気象庁の受け売りじゃねえか!」
「シゲシゲなんか『ショウム二』の江角マキコさんに「バカ息子!」ってシャッターに書かれていたくせに!」
「うるせえイカズミ! ヘボ役者のくせしやがって!」
「ふたりとも止めなさいよ、みっともない」
「チイちゃんだって、高いバイオリンが泣いてるよ。下手くそだって」
ワインボトルでチイ子に頭を殴られるバカ息子、シゲシゲ。
瓶が割れて頭から流血している。
「何すんだよチイちゃん! 少しは手加減しろよ、死んじゃうじゃねえか!」
「大丈夫、バカは死なないから。
それより止めてよねえ、黒鳥さんの朝の情報番組で、わけのわかんない政治とかのコメントするの。
ハラハラして聞いてらんないから」
シゲシゲは幼い頃から世間の誹謗中傷にさらされて育ったので、メンタルだけは強かった。
身体もデカくて極真カラテの有段者でもある。
そして最近は開き直って自虐ネタでウケを狙って稼いでいた。バカではない。
「私のパパはね、ビートルズの日本語タイトルを考えた人なのよ、凄いでしょう?」
「知ってるよそれ、『Norwegian Wood』を『ノルウェイの森』って訳しちゃった人だろう?
『ノルウェイの家具』とか『ノルウェイの材木』の意味なのに」
「いいじゃないの! それであの村上春樹の名作、『ノルウェイの森』が生まれたんだから。
読んだことないけど」
「何それ? 村上春樹って角川春樹のことか?」
「お前はいいんだよ、バカなんだから」
「お前なんか4人兄弟、全員バカじゃねえか! 長男は元クソ政治家で比例でも落選したけどな。
四男はあのテロ教団、『九官鳥』の信者画家だったからお前の親父はそれで運輸大臣を突然辞任したんだったよな? 色々屁理屈言って。三男は・・・、何だっけ?」
「国会議員だよ!」
「影が薄くてわかんねえよ!」
「今度、コンサートやるからアンタたちも来なさいよ」
「嫌だよ、黒板を爪で引っ掻いたようなチイちゃんのバイオリンなんて。
それに自分を美人だと思って、うっとり自分に酔ってバイオリンを弾いてるし。
諏訪内晶子じゃないんだからさあ」
ブッチャーのようにイカズミの頭にフォークを突き刺すチイ子。
「あらごめんなさい。手が滑っちゃった」
こんなレインボー・トリオ、もうテレビに出すな!(筆者)
「親の七光り、『レインボー・トリオ』のことか?」
「自分には実力もないくせに」
「その親に生まれた運はあるぞ」
「ボクもラオチュウ料理長みたいなジャイアント・パンダに生まれたかったです。
こんなお腹の真っ黒なレッサーパンダじゃなくて。
だって熊猫ですよ? ボクはネコですか? それともクマですか?」
「俺は大熊猫だけどな?」
『レインボー・トリオ』が酒盛りをしていた。
「俺ん家はさあ、「メシを食う時は絶対に酒を飲め」って言うのがパパの掟なんだよ」
「瞬きばっかりしているお前の親父って、嘘つきジジイだったよな? いつもハッタリばかりのパフォーマンス親父」
「うるせえよ、シゲシゲ! お前の親父だって野球の神様っ言われているのに、お前みたいに野球が下手っぴなバカ息子を『攻撃の巨人』に入れちゃったくせによお!」
「なんだと! このポンコツ天気予報士!
お前の天気予報はいつも気象庁の受け売りじゃねえか!」
「シゲシゲなんか『ショウム二』の江角マキコさんに「バカ息子!」ってシャッターに書かれていたくせに!」
「うるせえイカズミ! ヘボ役者のくせしやがって!」
「ふたりとも止めなさいよ、みっともない」
「チイちゃんだって、高いバイオリンが泣いてるよ。下手くそだって」
ワインボトルでチイ子に頭を殴られるバカ息子、シゲシゲ。
瓶が割れて頭から流血している。
「何すんだよチイちゃん! 少しは手加減しろよ、死んじゃうじゃねえか!」
「大丈夫、バカは死なないから。
それより止めてよねえ、黒鳥さんの朝の情報番組で、わけのわかんない政治とかのコメントするの。
ハラハラして聞いてらんないから」
シゲシゲは幼い頃から世間の誹謗中傷にさらされて育ったので、メンタルだけは強かった。
身体もデカくて極真カラテの有段者でもある。
そして最近は開き直って自虐ネタでウケを狙って稼いでいた。バカではない。
「私のパパはね、ビートルズの日本語タイトルを考えた人なのよ、凄いでしょう?」
「知ってるよそれ、『Norwegian Wood』を『ノルウェイの森』って訳しちゃった人だろう?
『ノルウェイの家具』とか『ノルウェイの材木』の意味なのに」
「いいじゃないの! それであの村上春樹の名作、『ノルウェイの森』が生まれたんだから。
読んだことないけど」
「何それ? 村上春樹って角川春樹のことか?」
「お前はいいんだよ、バカなんだから」
「お前なんか4人兄弟、全員バカじゃねえか! 長男は元クソ政治家で比例でも落選したけどな。
四男はあのテロ教団、『九官鳥』の信者画家だったからお前の親父はそれで運輸大臣を突然辞任したんだったよな? 色々屁理屈言って。三男は・・・、何だっけ?」
「国会議員だよ!」
「影が薄くてわかんねえよ!」
「今度、コンサートやるからアンタたちも来なさいよ」
「嫌だよ、黒板を爪で引っ掻いたようなチイちゃんのバイオリンなんて。
それに自分を美人だと思って、うっとり自分に酔ってバイオリンを弾いてるし。
諏訪内晶子じゃないんだからさあ」
ブッチャーのようにイカズミの頭にフォークを突き刺すチイ子。
「あらごめんなさい。手が滑っちゃった」
こんなレインボー・トリオ、もうテレビに出すな!(筆者)
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