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第3章『女王陛下と剣聖』
第53話「お風呂にて♪」
しおりを挟む「わぁ、フローラさまのお肌、真っ白ですねぇ?」
小麦色に焼けた肢体を晒しながら、ミランダはフローラの肌に釘付けになっていた。
「そうなんですよ! あれだけ野良仕事をしているくせに!!」
ミランダとイルマの二人を伴って、カシナシオスお勧めの温泉までやって来ているのだが、一糸まとわぬ姿のフローラに、二人はたちまち不平を漏らして文句を言い始めた。
(ええ! 私の身体に何か問題が……?)
自らの身体を滑らせるように触れてみる。触った感じでは特に違和感は無かったが、それでも二人の様子は変わらない。
「いいな~。私もこんな身体ならユーグをすぐにでも……」
「彼氏が居るだけましじゃない! 私なんか何年独りで居ると思っているの?」
フローラの身体をまじまじと見つめながら、口では男性の話をしているミランダだった。彼女は実際の所、本来は男性が対象なのだが、フローラなら同性同士でも良いと思ってしまっている。
だから今の状況は、ミランダにとっては、この上ないほどにご褒美な状況だったのだ。
「イルマ、貴方は想い人と一緒になれて、それだけでも幸せですよ」
(わ、私もクレールさまと一緒になれました。とても嬉しいし、し、幸せです……)
頬を赤らめてクレールの姿を思い浮かべている。本当は彼と一緒に来たかったが流石にそれは、という事で後ろ髪を引かれる想いをしつつ、クレールを置いてイルマたちと温泉を訪れている。
しかし、相変わらず、分かりやすすぎる態度をしていた。
「はああ、フローラさまもお幸せそうだし、いい加減諦めて男を探そうかなあ」
「ええ? お姉さまの事、諦めちゃうんですか?」
「だってもう、どうにもなりそうにないじゃない?」
「分かりませんよ! 鈍感男と天然女じゃ進展遅そうだし」
(え? ミランダさんは私を好き?? そ、それに、私が幸せそうって……まさか! 万全を期して隠してあるのです。ちゃんと隠せているはずです……)
「ねぇ、フローラさまぁ」
湯の中をすうっと距離を詰めて、ミランダはいつの間にか、フローラのすぐ隣に貼り付いていた。突然の出来事にフローラはびっくりしつつも、どうしていいか分からずに硬直してしまっていた。
「あ、ミランダさん。ずるいです!」
何を思ったのか、今度はイルマまでもがフローラのすぐ傍まで寄って来た。
(あわわわ……ふ、二人は何を? わ、私たちは女性同士ですよ? あわわわ……)
「間近で見ると本当に白い。いいなぁ、これを触れるあの人が羨ましいな」
「ですよね。私もユーグなんかやめて、お姉さまに鞍替えしようかな?」
フローラの肢体を二人して、食い入るように見つめている。ミランダなどは手をワキワキさせて、今にも触れてしまいそうに鼻息まで荒くしていた。
「ふ、二人とも! お、怒りますよ!」
温泉の熱気も相まって、フローラは顔中を真っ赤にして怒っているというよりは、照れてしまっていた。
「この程度で照れていたら、いざという時に困りますって!」
『だから私が試します』とでも言いたいのか、ミランダの目は既に野獣の目になっている。フローラとミランダなら美女と美女だが、この場合は美女と野獣のようになっていた。
「そうですよって言いたい所ですが、私もまだユーグとはそこまで行ってないし……」
そう言うイルマは自分の身体に目を落として、手で触れてみたり、フローラと見比べてみたりしては、ため息をついている。比較対象がフローラではイルマには気の毒というものだ。
「しょうがないなぁ。お姉さんが教えてあげようか? 私はこれでも冒険者時代からモテた方だからね……」
(……こ、これは、聞いておいた方がいいのでは? ミランダさんは三歳も年上の女性ですし、お綺麗な方ですから、経験も豊富なはずですし)
「でも良かったですね? クレールさまが男色かもしれないって、お姉さま心配していたじゃないですか」
そう。
クレール男色疑惑のでどころは、フローラの誤解が原因だったのだ。
それを最初に聞いたイルマが、さまざまな人々に拡散した事で疑惑が深まった。
ただ、この場合は、元凶はイルマと言った方が正しい。
「そうそう! クレールさまと司教さまの噂で持ち切りだったのにねぇ? あ、でもクレールさまって、どっちもイケる口?」
「ああ~! そうですね!! クレールさまってそういう人なんですね!! 早速後でみんなに教えないと~」
新たな噂がクレールについて回るのは、時間の問題かもしれない。
(あわわわ……何かクレールさまとの事が漏れている気がします……そ、そんなはずは……あわわわ……そ、それに、ミランダさんの体験談を……あ、あの、聞きたいのですが……?)
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サービスシーン?(´ー+`)
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