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第2章『聖女王フローラ』
第22話「愚王クラウス、転落の序曲」
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ここはパトラの町の領主邸だ。
領主はあの愚王との戦いの場に臨席していたが、愚王が逃げ去った後もその場に留まり続け、自分が起こした事を包み隠さず正直に話していた。止む無く愚王に従ったが、それでもフローラに対して大罪を犯したと涙ながらに悔いていた。
勿論フローラは領主ヘイゼルの行いを責めはしなかった。
あれから数日、事態もだいぶ落ち着いて来ていた。
フローラたちは今後の方針を決める為に、領主邸に集まって話し合いをしている。
これは話し合いの冒頭に、やや興奮冷めやらぬと言った感じで、ユーグがフローラを大絶賛した事への、フローラの返事だ。
「それは違います。クレールさまや、ヴァレンテさま、それに他の皆さんが私に前を向く勇気と、戦う力をくれたから、天使さまを呼ぶことができたのです。私一人だけの力だったわけではないのですよ」
この場にはクレールも同席していた。
未だ傷は癒えてはいなかったし、ベッドの上を離れるのは辛い状況だった。しかし、どうしても自分も話し合いに参加したいと言ってこの場に同席している。
そして今のフローラの言葉を、熱の籠った想いで受け止めていた。
やはり、この御方しかいない。
私の仕えるべき英主はフローラさましかいない。
この御方の命ならば、例え地獄の業火にでも身を投じることができる。
強い想いを新たにフローラを見つめるものだから、その視線に気付いてフローラは思わず俯いてしまう。
けれどもそんなフローラもクレールを意識しているので、周囲の者たちにはバレバレである。バレてないと思っているのはフローラとクレールの二人だけだ。
もっともクレールはフローラを"そういう"対象とするのを良しとしていない。
仕えるべき君主なのだから、愛だの恋だので目を曇らせるべきではないと考えている。
そんな立派な考えをしているくせに、無意識にフローラを意識している。
全く不器用すぎる男である。
「あの愚かな王も懲りたでしょうし、実際これ以上こちらにかまけてはいられないでしょう」
フローラとクレールの様子に苦笑いを浮かべつつ、リコ司祭がこう発言した。
「ここより先の辺境地帯なら、新たに国を興す隙間もあるでしょう」
こう発言したのはヴァージルだ。彼は握りこぶしを作って力強く言い放った。
このヴァージルの発言に対して、何人かが頷いて同意を示している。
「先立つ物が必要ですが、その案には俺も賛成します。オルビアからはなるべく離れましょう」
ユーグがヴァージルの意見を後押ししようと意見を述べた。
「いずれはそうするべきですが、今はまだ時期尚早ですね」
意見を認めつつも『今はまだ』と否定を織り交ぜてリコ司祭が答えた。
「……国を興すと言うのはどういう意味でしょう?」
会話の成り行きを黙って聞いていたフローラが疑問を口にした。彼女もどういう事かは薄々分かってはいるのだが、自分自身が国を統べることに現実感が持てないのだ。だから疑問に思っている。
「フローラさまの本意ではないでしょう。でも大義を成すには力も必要なのです」
説得し、言い聞かせるような口調でヴァージルが返答をした。
ヴァージルの言うことにも一理はある。
実際これまでは力を持たずにいたことで翻弄されてきた。その事で危うくクレールを失い、フローラも愚王の虜囚になるところだった。
フローラが力を持つことで、今後愚王のみならず、野心を持ってフローラを利用しようとする者を、抑えようというのも悪い手ではない。
やろうと思えば天使を呼ぶことはできる。
だがあれはフローラに掛かる負担が大きすぎる。毎回命を損なわない保証は誰にもできない。
そういう意味でヴァージルは、フローラを守るには、もっと別の手段でと考えている。
「この事については良く考えてみます」
ヴァージルの言葉を受けて、フローラはこう返答をした。
―――
その日、オルビア全土に、そしてオルビアの王宮に激震が走った。
玉座の上で熾天使に斬りつけられた指先を大事そうにさするクラウス王は、あの戦いを思い出すたびに"ガタガタ"震えていた。
必ず仕返しをすると言い残したが、王都に逃げ帰ってからもあの時の恐怖を拭いされないでいた。もうこの王にフローラに刃向かおうと言う気持ちは残っていない。
あんな酷い惨敗をしておいて、再び立ち上がれるような性根など、欠片も持ち合わせいない。
熾天使オルネアの圧倒的な力で、完全に心をへし折られている。
その証拠に王都へ帰還して以降、クラウス王は自室に籠りがちで、謁見の間にも滅多に顔を出していない。
本来ならば主力8千を失った後処理に奔走すべきなのに、そんな事は既にこの王の頭からは抜け落ちていて、ひたすら頭を抱えて恐怖に震えているだけだった。頭の片隅にはフローラを従えれば、大陸の支配者になれるぞという悪魔の囁きもあったが、今の彼にはそれに耳を貸せるような気持ちの余裕は全くない。
それに加えて、聖女フローラが新たな奇跡を再現し、愚かなる王クラウスに神罰を与えたと言う噂がオルビア国内に広まり、それらは徐々に周辺諸国にも流出しつつあった。
これらは全てクラウス王自身が招いた自業自得なのに、彼は身の不幸を嘆くだけだった。
一度この崩れかけた堤防に、ほんの少しの穴でも生じれば、一気に決壊してしまうだろう。
そしてその崩壊を招くような急報が王都にもたらされたのだ。
それは愕然とする内容だった。
急報を告げようとする使者の様子は明らかに狼狽している。
「クラウス王陛下にお伝えします!! 近隣の四ヶ国が一斉蜂起!! オルビアに対して侵攻を始めました!!!!!」
謁見の間に静寂が訪れた。
『この者は何を言っている?』
この場に居合わせた者が皆でそう思っている。余りに非現実的すぎて、頭で理解が追い付かないでいる。
そんな事が起きるわけがないと言う奢りの気持ちもあったのだろう。
しかし、その気持ちを利用した策謀が裏で進んでいたとは誰が気付くだろうか。
この"近隣四ヶ国一斉蜂起"は、ある男が企んだ策謀だった。
聖女フローラを追放した事を心底恨みに持つ男が、ほとんど一人でこれだけの大事をやってのけた。
「な……な、なんだと? 四ヶ国だと? そんなバカな……」
しばらく、"ぽかん"と口を開け、固まったままだったクラウス王が口を開いた。
彼は明らかに様子がおかしい。
顔面を真っ白にして、頼りなく虚空を見つめている。
「へ、陛下! 一大事ですぞ!!」
「不味いぞ!! 主力8千を失ったばかりだ! 援軍をどうやって……!」
「それに聖女はどうする? あの女がこちらへ攻め寄せたら……」
「おい貴様!! 聖女さまをあの女呼ばわりとは、無礼者め!!!」
「お、落ち着け! まずは国境に援軍を出さねば…………国が滅ぶぞ!!」
『国が滅ぶぞ』、この言葉が発せられると、途端に皆が言葉を吐き出すのをやめていた。
そして玉座の上で未だに放心状態のクラウス王に視線が集まる。
頼りない王だが、王なのだ、皆が縋るように見つめている。
「ユ、ユリウスがおる、アイツが居れば……」
最早この愚王の頼みの綱はユリウス将軍だけだった。
オルビア全土には、まだ数万の兵が存在する。しかしそれらは決して小さくはないオルビアを守るための兵士たちだ。
如何にユリウスが名将でも4つの国を相手に、聖女フローラを敵に回したオルビアを守り切るのは厳しいだろう。
「陛下! ユリウス殿を大将軍に任じて防衛軍を指揮させますが、宜しいですね!!!」
家臣の一人がこう叫ぶと、クラウス王は無言のまま頷いた。
「オルビア大聖堂にも、神官戦士団を出させるように知らせを!」
「大聖堂? しかし大司教は聖女派だぞ!」
「知るか! 無理やりにでもやらせないと、滅ぶんだよ! 国が!!」
家臣たちからは次々と意見が噴出するが、どれもこれも決め手に欠ける内容ばかりだった。
玉座の上のクラウス王は、紛糾する話し合いを制する処ではなく、自分の心の内で増大する不安や恐怖と言った気持ちを抑えるので精一杯だった。
そんな気持ちの中、ようやっとこの言葉を絞り出した。
「せ、聖女さま……聖女フローラさまに、使いを出せ……これまでの非礼を詫び、神殿にお戻り下さいと……」
「そ、それしかない!! さすが陛下です!」
「よくご決心なさいました!! 聖女さまに使者を出せ!!」
「そうだ! 国賓待遇でお迎えしよう! そうすれば我らを救って下さるはずだ!!」
玉座の上でクラウス王は思っていた。
これこそ聖王クラウスの処世術だと、自分だから危機を救えるのだと。そして聖女フローラに再び会えたなら心から謝罪をしようと。その上で今度は優しく愛をささやこうと。
かつて強国だったオルビアに暗雲が垂れ込めている。
この暗雲を切り払えるのは、最早フローラをおいて他には居なかった。
*****
ここから実にしつこく愚王ざまあが始まります(´ー+`)
*****
領主はあの愚王との戦いの場に臨席していたが、愚王が逃げ去った後もその場に留まり続け、自分が起こした事を包み隠さず正直に話していた。止む無く愚王に従ったが、それでもフローラに対して大罪を犯したと涙ながらに悔いていた。
勿論フローラは領主ヘイゼルの行いを責めはしなかった。
あれから数日、事態もだいぶ落ち着いて来ていた。
フローラたちは今後の方針を決める為に、領主邸に集まって話し合いをしている。
これは話し合いの冒頭に、やや興奮冷めやらぬと言った感じで、ユーグがフローラを大絶賛した事への、フローラの返事だ。
「それは違います。クレールさまや、ヴァレンテさま、それに他の皆さんが私に前を向く勇気と、戦う力をくれたから、天使さまを呼ぶことができたのです。私一人だけの力だったわけではないのですよ」
この場にはクレールも同席していた。
未だ傷は癒えてはいなかったし、ベッドの上を離れるのは辛い状況だった。しかし、どうしても自分も話し合いに参加したいと言ってこの場に同席している。
そして今のフローラの言葉を、熱の籠った想いで受け止めていた。
やはり、この御方しかいない。
私の仕えるべき英主はフローラさましかいない。
この御方の命ならば、例え地獄の業火にでも身を投じることができる。
強い想いを新たにフローラを見つめるものだから、その視線に気付いてフローラは思わず俯いてしまう。
けれどもそんなフローラもクレールを意識しているので、周囲の者たちにはバレバレである。バレてないと思っているのはフローラとクレールの二人だけだ。
もっともクレールはフローラを"そういう"対象とするのを良しとしていない。
仕えるべき君主なのだから、愛だの恋だので目を曇らせるべきではないと考えている。
そんな立派な考えをしているくせに、無意識にフローラを意識している。
全く不器用すぎる男である。
「あの愚かな王も懲りたでしょうし、実際これ以上こちらにかまけてはいられないでしょう」
フローラとクレールの様子に苦笑いを浮かべつつ、リコ司祭がこう発言した。
「ここより先の辺境地帯なら、新たに国を興す隙間もあるでしょう」
こう発言したのはヴァージルだ。彼は握りこぶしを作って力強く言い放った。
このヴァージルの発言に対して、何人かが頷いて同意を示している。
「先立つ物が必要ですが、その案には俺も賛成します。オルビアからはなるべく離れましょう」
ユーグがヴァージルの意見を後押ししようと意見を述べた。
「いずれはそうするべきですが、今はまだ時期尚早ですね」
意見を認めつつも『今はまだ』と否定を織り交ぜてリコ司祭が答えた。
「……国を興すと言うのはどういう意味でしょう?」
会話の成り行きを黙って聞いていたフローラが疑問を口にした。彼女もどういう事かは薄々分かってはいるのだが、自分自身が国を統べることに現実感が持てないのだ。だから疑問に思っている。
「フローラさまの本意ではないでしょう。でも大義を成すには力も必要なのです」
説得し、言い聞かせるような口調でヴァージルが返答をした。
ヴァージルの言うことにも一理はある。
実際これまでは力を持たずにいたことで翻弄されてきた。その事で危うくクレールを失い、フローラも愚王の虜囚になるところだった。
フローラが力を持つことで、今後愚王のみならず、野心を持ってフローラを利用しようとする者を、抑えようというのも悪い手ではない。
やろうと思えば天使を呼ぶことはできる。
だがあれはフローラに掛かる負担が大きすぎる。毎回命を損なわない保証は誰にもできない。
そういう意味でヴァージルは、フローラを守るには、もっと別の手段でと考えている。
「この事については良く考えてみます」
ヴァージルの言葉を受けて、フローラはこう返答をした。
―――
その日、オルビア全土に、そしてオルビアの王宮に激震が走った。
玉座の上で熾天使に斬りつけられた指先を大事そうにさするクラウス王は、あの戦いを思い出すたびに"ガタガタ"震えていた。
必ず仕返しをすると言い残したが、王都に逃げ帰ってからもあの時の恐怖を拭いされないでいた。もうこの王にフローラに刃向かおうと言う気持ちは残っていない。
あんな酷い惨敗をしておいて、再び立ち上がれるような性根など、欠片も持ち合わせいない。
熾天使オルネアの圧倒的な力で、完全に心をへし折られている。
その証拠に王都へ帰還して以降、クラウス王は自室に籠りがちで、謁見の間にも滅多に顔を出していない。
本来ならば主力8千を失った後処理に奔走すべきなのに、そんな事は既にこの王の頭からは抜け落ちていて、ひたすら頭を抱えて恐怖に震えているだけだった。頭の片隅にはフローラを従えれば、大陸の支配者になれるぞという悪魔の囁きもあったが、今の彼にはそれに耳を貸せるような気持ちの余裕は全くない。
それに加えて、聖女フローラが新たな奇跡を再現し、愚かなる王クラウスに神罰を与えたと言う噂がオルビア国内に広まり、それらは徐々に周辺諸国にも流出しつつあった。
これらは全てクラウス王自身が招いた自業自得なのに、彼は身の不幸を嘆くだけだった。
一度この崩れかけた堤防に、ほんの少しの穴でも生じれば、一気に決壊してしまうだろう。
そしてその崩壊を招くような急報が王都にもたらされたのだ。
それは愕然とする内容だった。
急報を告げようとする使者の様子は明らかに狼狽している。
「クラウス王陛下にお伝えします!! 近隣の四ヶ国が一斉蜂起!! オルビアに対して侵攻を始めました!!!!!」
謁見の間に静寂が訪れた。
『この者は何を言っている?』
この場に居合わせた者が皆でそう思っている。余りに非現実的すぎて、頭で理解が追い付かないでいる。
そんな事が起きるわけがないと言う奢りの気持ちもあったのだろう。
しかし、その気持ちを利用した策謀が裏で進んでいたとは誰が気付くだろうか。
この"近隣四ヶ国一斉蜂起"は、ある男が企んだ策謀だった。
聖女フローラを追放した事を心底恨みに持つ男が、ほとんど一人でこれだけの大事をやってのけた。
「な……な、なんだと? 四ヶ国だと? そんなバカな……」
しばらく、"ぽかん"と口を開け、固まったままだったクラウス王が口を開いた。
彼は明らかに様子がおかしい。
顔面を真っ白にして、頼りなく虚空を見つめている。
「へ、陛下! 一大事ですぞ!!」
「不味いぞ!! 主力8千を失ったばかりだ! 援軍をどうやって……!」
「それに聖女はどうする? あの女がこちらへ攻め寄せたら……」
「おい貴様!! 聖女さまをあの女呼ばわりとは、無礼者め!!!」
「お、落ち着け! まずは国境に援軍を出さねば…………国が滅ぶぞ!!」
『国が滅ぶぞ』、この言葉が発せられると、途端に皆が言葉を吐き出すのをやめていた。
そして玉座の上で未だに放心状態のクラウス王に視線が集まる。
頼りない王だが、王なのだ、皆が縋るように見つめている。
「ユ、ユリウスがおる、アイツが居れば……」
最早この愚王の頼みの綱はユリウス将軍だけだった。
オルビア全土には、まだ数万の兵が存在する。しかしそれらは決して小さくはないオルビアを守るための兵士たちだ。
如何にユリウスが名将でも4つの国を相手に、聖女フローラを敵に回したオルビアを守り切るのは厳しいだろう。
「陛下! ユリウス殿を大将軍に任じて防衛軍を指揮させますが、宜しいですね!!!」
家臣の一人がこう叫ぶと、クラウス王は無言のまま頷いた。
「オルビア大聖堂にも、神官戦士団を出させるように知らせを!」
「大聖堂? しかし大司教は聖女派だぞ!」
「知るか! 無理やりにでもやらせないと、滅ぶんだよ! 国が!!」
家臣たちからは次々と意見が噴出するが、どれもこれも決め手に欠ける内容ばかりだった。
玉座の上のクラウス王は、紛糾する話し合いを制する処ではなく、自分の心の内で増大する不安や恐怖と言った気持ちを抑えるので精一杯だった。
そんな気持ちの中、ようやっとこの言葉を絞り出した。
「せ、聖女さま……聖女フローラさまに、使いを出せ……これまでの非礼を詫び、神殿にお戻り下さいと……」
「そ、それしかない!! さすが陛下です!」
「よくご決心なさいました!! 聖女さまに使者を出せ!!」
「そうだ! 国賓待遇でお迎えしよう! そうすれば我らを救って下さるはずだ!!」
玉座の上でクラウス王は思っていた。
これこそ聖王クラウスの処世術だと、自分だから危機を救えるのだと。そして聖女フローラに再び会えたなら心から謝罪をしようと。その上で今度は優しく愛をささやこうと。
かつて強国だったオルビアに暗雲が垂れ込めている。
この暗雲を切り払えるのは、最早フローラをおいて他には居なかった。
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ここから実にしつこく愚王ざまあが始まります(´ー+`)
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