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第1章『流浪の元聖女』
第19話「フローラの願い」
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森を進むフローラたちは、オルセンたちを後方に残して二手に分かれていた。
それはオルセンが味方の救援が現れた事を目撃したからだ。
ヴァージルは念の為に、オルセンともう一人を街道近くに残し、危急の折は合図を送るように指示をして、それからフローラを連れて森の奥へと急いでいた。
その少し後だった。
幾らか森の奥へと進んだ所で合図があったのだ。
「合図がありました。オルセンのほうで何かあったようです」
『合図がありました』と聞いた瞬間、フローラの胸がギュッと締め付けられる。
心と身体が縛られるような不快な感覚も感じていた。
「はい、もう決着が着いたのでしょうか……」
「分かりません。一先ずここで周囲を警戒しつつ、オルセンを待ちましょう」
ヴァージルの提案に、首を縦に振って同意を示した。
言われるがままに従っただけだった。
フローラも徐々に変わりつつはあるが、まだまだ経験が足りない。それも仕方がない部分はある。
そもそも聖女なのだ。
神殿暮らしが本来の彼女の本分だった。
それが危険な逃避行に身を投じて、仲間の死を乗り越えなければならない。
そんな残酷な運命に、どれだけの人間が耐えられると言うのだろうか。
この場で待機する判断を下したヴァージルは、周囲の警戒態勢を厳重にしていた。
こんな深い森の中では当然、見通しは利かない。
どこから敵が襲ってくるかは、わからないのだ。
しかし、そんな心配は杞憂だった。
ガサガサと草を踏む足音がして、警戒心が呼び起こされたが、その足音の正体は、外ならぬオルセンだった。
戦いの一部始終を見届けたオルセンは、もう一人の仲間をリコ司祭の元へ知らせに行かせると、自身も合図を出してすぐさまフローラたちの後を追った。急いで追い付いてフローラを連れ戻し、国境を抜けなくてはならないからだ。
今なら関所は無人だ。何の抵抗もなく向う側へ辿り着ける。
やってきたオルセンから話を聞いた一行は、急いできた道を戻って行った。
―――
戦場となったこの場所に、剣聖クレールはうつ伏せになって倒れていた。
彼の身体からは、血が川のように流れだしている。
すぐ傍には蒼褪めた顔でアナスタシアが立ち尽くしていたが、彼女の身体にも激戦の傷痕が痛々しく刻まれていた。
だけど彼女は、そのようなことは全く意に介さない。
目の前に横たわるクレールを凝視して、他の事には気が回っていない様子だった。
ぐるっと周りを見渡せば、他にも倒れて動かない者や、酷い傷を負ってうずくまっている者、精根尽き果てて座り込んでいる者なども幾人も居た。
それに、敵方の大勢の遺体も野ざらしになったままだ。
文字通りに、ここは修羅場と言えよう。
鼻が曲がるほどの臓腑の匂いに、血の匂いも辺りを漂っている。
目を背けたくなる凄惨な光景が広がっていた。
地獄と言うものを見たことがあるならば、正しくここが、その地獄だと言うべき場所だと即答できるかもしれない。
それほどに先ほどの戦いは、激しさを極めていた。
「司祭さま! リコ司祭さまですよね!!」
呆然と立ち尽くしていたリコ司祭は、自分を呼ぶ声で意識を引き戻された。
声のしたほうに顔を向けると、そこには見知った顔の女性がこちらに駆けてくる姿が目に入る。
イルマだった。
彼女の後ろには、更に十数名の者たちが続いている。
「司祭さま! 大丈夫ですか!!」
「……あ、ああ、大丈夫です。それよりどうしてここに?」
彼も傷は受けていたが、命に別状はない様子だ。顔色は青くなっているが、それはどちらかと言えば失った仲間や、さっきまでの戦いの余韻が彼の表情を蒼褪めさせている。
「お姉さま……いえ、フローラさまがいらっしゃると聞いて……」
「はい。程なくこちらへ参られると思いますよ」
そう言ってリコ司祭は微笑んだ。
イルマがやってきたならば、フローラはきっと喜ぶだろう。そう思うと心の中で温かいものを感じていた。
「こいつは酷いな……」
ようやくユーグたちも追いついてきたようだ。
「怪我人を運ばないと……ユーグ、お願いできる?」
「ああ、とりあえずパトラに運ぼう。あそこが一番近いからな」
「お手伝い頂き感謝します。見ての通り人手が足りていませんから」
ユーグはリコ司祭と軽く挨拶を交わした後に、仲間たちに素早く指示を出した。この先の街道を進むと、少し先に小さな港町がある。
ユーグとイルマはその港町に、怪我人を運ぶ作業に取り掛かった。
「しかし、クレールさまは無理だろうな……」
リコ司祭は誰に言うでもなく、すぐそこで横たわるクレールを見遣って、そう呟いていた。
―――
ようやく森の中からフローラたちが姿を現していた。
森の切れ目から、藪が生い茂る草地に出ると、遠目に戦いの跡が見えてくる
「……酷い」
フローラの居る場所からも、戦場の様子は良く見える。
余りに凄惨に感じられるその雰囲気に、彼女以外の者たちも、思わず足を止めていた。
「急ぎましょう。急いで国を出ないといけません」
「はい。皆さんの様子を早く確認しないと……」
しかし、街道に近付くにつれて、遠目に見えるある男の姿に、フローラは心に引っかかるものを感じていた。
その男は地面にうつ伏せになって倒れ伏していた。
赤い髪の男が、身体中を鮮血で真っ赤に染めていた。
「……まさか、クレール……さま?」
様子がおかしいフローラに、周囲の者が声を掛けたが反応は無かった。
それ処か突然、クレールの所に向かって走り出していた。
「クレールさま! クレールさま!!」
普段は物静かな彼女らしくはなかった。悲鳴をあげて一心不乱に駆けている。
他の事には一切構わず、誰が声を掛けようとも、まるで聞こえていない。
「クレールさま!! そんな! そんなあ!! なんで!! なんでですか!!!」
クレールの傍まで駆けよると、そのまま彼の身体の上に覆いかぶさった。クレールの背中の上で、必死に彼の名前を呼んでは泣き叫んでいる。
「お姉さま……」
イルマも傍までやってくるが、余りに取り乱すフローラの姿に、どう声を掛けてやれば良いのか分からないでいる。
恐らくこの場の誰もが、その答えを知らないのだろう。
誰もが何もしてやれない無力感に心を痛めながら、フローラの悲痛な鳴き声を、ただただ黙って聞いているしかなかった。
「クレールさまは……死なせません。早く、早くこの方を運んで下さい!!」
クレールさま!
貴方は必ず私がお助けします……!
だから、死なないで。
死なないで……
―――
つい先ほど、この港町パトラに全ての怪我人を運び終えていた。
その中には敵方の怪我人も居たが、殺すわけにも行かず、とりあえず彼らも連れて来ていた。
戦場の習いに照らせば、殺すべきだったかもしれない。
だが、そんな無慈悲な行いをする気にはなれなかった。
味方であるとか、敵であるとかは関係ない。もう人の死はたくさんだった。
「フローラさまの様子はどうだ?」
「今はそっとしておこうと思うの。お姉さまの好きにさせたほうがいいわ」
「そうだな、あの方はもう助からないだろうし……」
言葉を途切れさせて、ユーグも暗い顔をしている。
自分たちがもっと早くついていれば、結果は変わったかもしれない。
そうすればフローラを悲しませることも、クレールが命を危うくすることも避けられたかもしれない。
ユーグもそう考えるていることに、辛い気持ちを抱えていた。
「しばらくしたら、また様子を見に行くわ。私たちも自分の仕事をしないと」
「ああ、他にも怪我人は大勢居るからな。できるだけ救ってやらないとな」
クレールはパトラの領主邸に運び込まれていた。
小さな町だった為に、腕の良い医師は手配できなかったが、代わりにリコ司祭やフローラが必死に治療を施した事で、とりあえず一命は取り留めた。けれども、予断を許さない状況に変わりはなかった。
今この部屋はクレールの病室として宛がわれている。
傍にはフローラがずっと寄り添って、看病を続けていた。
クレールさま。
最後に貴方がオルビアの神殿にいらした時の事を、覚えておいででしょうか?
あの時は本当に楽しかったですね。
貴方は良く神殿にお出でになっては、神々と私によくよく仕えてくれましたね。
そんな貴方なら神々は見捨てたりしません。
どんなことをしてでも、必ず私が貴方を救います。
だから、置いて行かないで下さい。
貴方が目を覚ますまで、ずっとお傍に居ますから。
またあの笑顔を見せて下さいね。
フローラは誰が止めるのも聞かず、クレールの傍を片時も離れずに看病をし続けていた。
窓の外にはすっかり辺りを黒く染め抜く、夜の時間がやってきていた。
空にはどす黒く、そして分厚い雲がかかっていた。
そのさまはまるで、クレールの運命を暗示しているかのようだった。
*****
時間があれば夜に、本編もう1話更新します(´ー+`)
*****
それはオルセンが味方の救援が現れた事を目撃したからだ。
ヴァージルは念の為に、オルセンともう一人を街道近くに残し、危急の折は合図を送るように指示をして、それからフローラを連れて森の奥へと急いでいた。
その少し後だった。
幾らか森の奥へと進んだ所で合図があったのだ。
「合図がありました。オルセンのほうで何かあったようです」
『合図がありました』と聞いた瞬間、フローラの胸がギュッと締め付けられる。
心と身体が縛られるような不快な感覚も感じていた。
「はい、もう決着が着いたのでしょうか……」
「分かりません。一先ずここで周囲を警戒しつつ、オルセンを待ちましょう」
ヴァージルの提案に、首を縦に振って同意を示した。
言われるがままに従っただけだった。
フローラも徐々に変わりつつはあるが、まだまだ経験が足りない。それも仕方がない部分はある。
そもそも聖女なのだ。
神殿暮らしが本来の彼女の本分だった。
それが危険な逃避行に身を投じて、仲間の死を乗り越えなければならない。
そんな残酷な運命に、どれだけの人間が耐えられると言うのだろうか。
この場で待機する判断を下したヴァージルは、周囲の警戒態勢を厳重にしていた。
こんな深い森の中では当然、見通しは利かない。
どこから敵が襲ってくるかは、わからないのだ。
しかし、そんな心配は杞憂だった。
ガサガサと草を踏む足音がして、警戒心が呼び起こされたが、その足音の正体は、外ならぬオルセンだった。
戦いの一部始終を見届けたオルセンは、もう一人の仲間をリコ司祭の元へ知らせに行かせると、自身も合図を出してすぐさまフローラたちの後を追った。急いで追い付いてフローラを連れ戻し、国境を抜けなくてはならないからだ。
今なら関所は無人だ。何の抵抗もなく向う側へ辿り着ける。
やってきたオルセンから話を聞いた一行は、急いできた道を戻って行った。
―――
戦場となったこの場所に、剣聖クレールはうつ伏せになって倒れていた。
彼の身体からは、血が川のように流れだしている。
すぐ傍には蒼褪めた顔でアナスタシアが立ち尽くしていたが、彼女の身体にも激戦の傷痕が痛々しく刻まれていた。
だけど彼女は、そのようなことは全く意に介さない。
目の前に横たわるクレールを凝視して、他の事には気が回っていない様子だった。
ぐるっと周りを見渡せば、他にも倒れて動かない者や、酷い傷を負ってうずくまっている者、精根尽き果てて座り込んでいる者なども幾人も居た。
それに、敵方の大勢の遺体も野ざらしになったままだ。
文字通りに、ここは修羅場と言えよう。
鼻が曲がるほどの臓腑の匂いに、血の匂いも辺りを漂っている。
目を背けたくなる凄惨な光景が広がっていた。
地獄と言うものを見たことがあるならば、正しくここが、その地獄だと言うべき場所だと即答できるかもしれない。
それほどに先ほどの戦いは、激しさを極めていた。
「司祭さま! リコ司祭さまですよね!!」
呆然と立ち尽くしていたリコ司祭は、自分を呼ぶ声で意識を引き戻された。
声のしたほうに顔を向けると、そこには見知った顔の女性がこちらに駆けてくる姿が目に入る。
イルマだった。
彼女の後ろには、更に十数名の者たちが続いている。
「司祭さま! 大丈夫ですか!!」
「……あ、ああ、大丈夫です。それよりどうしてここに?」
彼も傷は受けていたが、命に別状はない様子だ。顔色は青くなっているが、それはどちらかと言えば失った仲間や、さっきまでの戦いの余韻が彼の表情を蒼褪めさせている。
「お姉さま……いえ、フローラさまがいらっしゃると聞いて……」
「はい。程なくこちらへ参られると思いますよ」
そう言ってリコ司祭は微笑んだ。
イルマがやってきたならば、フローラはきっと喜ぶだろう。そう思うと心の中で温かいものを感じていた。
「こいつは酷いな……」
ようやくユーグたちも追いついてきたようだ。
「怪我人を運ばないと……ユーグ、お願いできる?」
「ああ、とりあえずパトラに運ぼう。あそこが一番近いからな」
「お手伝い頂き感謝します。見ての通り人手が足りていませんから」
ユーグはリコ司祭と軽く挨拶を交わした後に、仲間たちに素早く指示を出した。この先の街道を進むと、少し先に小さな港町がある。
ユーグとイルマはその港町に、怪我人を運ぶ作業に取り掛かった。
「しかし、クレールさまは無理だろうな……」
リコ司祭は誰に言うでもなく、すぐそこで横たわるクレールを見遣って、そう呟いていた。
―――
ようやく森の中からフローラたちが姿を現していた。
森の切れ目から、藪が生い茂る草地に出ると、遠目に戦いの跡が見えてくる
「……酷い」
フローラの居る場所からも、戦場の様子は良く見える。
余りに凄惨に感じられるその雰囲気に、彼女以外の者たちも、思わず足を止めていた。
「急ぎましょう。急いで国を出ないといけません」
「はい。皆さんの様子を早く確認しないと……」
しかし、街道に近付くにつれて、遠目に見えるある男の姿に、フローラは心に引っかかるものを感じていた。
その男は地面にうつ伏せになって倒れ伏していた。
赤い髪の男が、身体中を鮮血で真っ赤に染めていた。
「……まさか、クレール……さま?」
様子がおかしいフローラに、周囲の者が声を掛けたが反応は無かった。
それ処か突然、クレールの所に向かって走り出していた。
「クレールさま! クレールさま!!」
普段は物静かな彼女らしくはなかった。悲鳴をあげて一心不乱に駆けている。
他の事には一切構わず、誰が声を掛けようとも、まるで聞こえていない。
「クレールさま!! そんな! そんなあ!! なんで!! なんでですか!!!」
クレールの傍まで駆けよると、そのまま彼の身体の上に覆いかぶさった。クレールの背中の上で、必死に彼の名前を呼んでは泣き叫んでいる。
「お姉さま……」
イルマも傍までやってくるが、余りに取り乱すフローラの姿に、どう声を掛けてやれば良いのか分からないでいる。
恐らくこの場の誰もが、その答えを知らないのだろう。
誰もが何もしてやれない無力感に心を痛めながら、フローラの悲痛な鳴き声を、ただただ黙って聞いているしかなかった。
「クレールさまは……死なせません。早く、早くこの方を運んで下さい!!」
クレールさま!
貴方は必ず私がお助けします……!
だから、死なないで。
死なないで……
―――
つい先ほど、この港町パトラに全ての怪我人を運び終えていた。
その中には敵方の怪我人も居たが、殺すわけにも行かず、とりあえず彼らも連れて来ていた。
戦場の習いに照らせば、殺すべきだったかもしれない。
だが、そんな無慈悲な行いをする気にはなれなかった。
味方であるとか、敵であるとかは関係ない。もう人の死はたくさんだった。
「フローラさまの様子はどうだ?」
「今はそっとしておこうと思うの。お姉さまの好きにさせたほうがいいわ」
「そうだな、あの方はもう助からないだろうし……」
言葉を途切れさせて、ユーグも暗い顔をしている。
自分たちがもっと早くついていれば、結果は変わったかもしれない。
そうすればフローラを悲しませることも、クレールが命を危うくすることも避けられたかもしれない。
ユーグもそう考えるていることに、辛い気持ちを抱えていた。
「しばらくしたら、また様子を見に行くわ。私たちも自分の仕事をしないと」
「ああ、他にも怪我人は大勢居るからな。できるだけ救ってやらないとな」
クレールはパトラの領主邸に運び込まれていた。
小さな町だった為に、腕の良い医師は手配できなかったが、代わりにリコ司祭やフローラが必死に治療を施した事で、とりあえず一命は取り留めた。けれども、予断を許さない状況に変わりはなかった。
今この部屋はクレールの病室として宛がわれている。
傍にはフローラがずっと寄り添って、看病を続けていた。
クレールさま。
最後に貴方がオルビアの神殿にいらした時の事を、覚えておいででしょうか?
あの時は本当に楽しかったですね。
貴方は良く神殿にお出でになっては、神々と私によくよく仕えてくれましたね。
そんな貴方なら神々は見捨てたりしません。
どんなことをしてでも、必ず私が貴方を救います。
だから、置いて行かないで下さい。
貴方が目を覚ますまで、ずっとお傍に居ますから。
またあの笑顔を見せて下さいね。
フローラは誰が止めるのも聞かず、クレールの傍を片時も離れずに看病をし続けていた。
窓の外にはすっかり辺りを黒く染め抜く、夜の時間がやってきていた。
空にはどす黒く、そして分厚い雲がかかっていた。
そのさまはまるで、クレールの運命を暗示しているかのようだった。
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